第3話 オリエンテーションで地味ダサ女と同じ班になりました

イベントが、王子様とお近づきになるイベントがまたこの地味ダサ女のせいで駄目になった。

もう絶対にこの女は許さない!


折角ゲームの世界にヒロインで転生したのに、クラスは平民クラスのCクラスだった。

何故? 私はヒロインなのよ?


ひょっとして私がCになったのはこの地味ダサ女のせいなのか?


私は前の席の地味ダサ女を睨みつけた。


そうクラスに入ると私の席はこの地味ダサ女の後ろだったのだ。


先頭はヨーナス・スオラハティ、次の地味ダサ女はニーナ・イナリで、私はライラ・ハナミ、次がアハティ・ヴオリストってどんな順番に席は決めているのよ! 本当にムカつくわ!


いやいや、落ち着け!


本来私はハナミ商会の令嬢でお貴族様なのだ。前世の平民の時とは違う。


私は大きく深呼吸して気を落ち着けた。


「どうしたの、ライラ? あなたも緊張しているの?」

私の深呼吸の原因の地味ダサ女が後ろを見て言ってきたのだ。


なわけあるか! あなたのせいでしょ!

私は大声で叫びそうになった。


駄目だ駄目だ! 

ここは押さえないと。


私はニコリとして

「ううん、何でもないわ」

とすましてやったのだ。

本当に自分を褒めてやりたかった。


そして、ホームルーム。我がクラスの担任は平民出の女だった。


本当に平民クラスはどうしようもない。

ざっと見渡した感じ、我が家の商売とは関係のない平民が大半だし、お貴族様である男爵家の関係者なんて本当に一握りだ。

それもあまり金を持っていなさそうな男爵家ばかりだった。付き合うだけ無駄だろう。

何故私はこんなクラスになったんだろう?


自己紹介で私の番になったので、

「ライラ・ハナミと言います。父はハナミ商会を運営しています」

そこで皆の驚きの声が上がる。


皆、私を見て望ましそうにしている。そうそう、普通はそう言う反応なのだ。


見たか? 地味ダサ女よ


優越感にしたって見ると、地味ダサ女もショックを受けているみたいだった。


そうそう、それで良いのだ。

まあ、でも、どこで第一王子殿下に話が聞こえるか判らないので、ここはちゃんとさっきの挨拶を聞いていましたアピールをしておいたほうが良いだろう。


「せっかく王立学園に入れたので、貴族も平民もなく、お友達になってくれたら嬉しいです」

そう言っておいたのだ。


でもね。平民の皆。これはあくまでも建前なのよ。間違えないでね。

私は心のなかでちゃんと平民の皆には言ったのだ。


でも、私の前の席のやつが必死に喜んで手を叩いているんだけど……


そうだった。こいつは空気が読めないんだ。こいつの前では建前じゃなくて本音を前面に出すべきだったかもしれない。


私の後のあの生意気な赤髪のアハティの父が男爵家の次男だって聞いた途端に、地味ダサ女は

「えっ、お父さんが男爵家の次男ってことは今は平民ってことじゃないの?」

私に大声で聞いてきたのだ。


そう、貴族を名のれるのは基本は嫡男だけで、その次男、三男は自分の子の代からは貴族ではなくなるのだ。別名貴族崩れって言われているんだけど。

我が国は準男爵はないので、男爵位の次は階級的には平民落ちになるのだ。


だからこの学園でも、貴族の次男三男や継承権のない貴族の女たちは皆必死なのだ。


各貴族の嫡男は余裕だが、次男三男はもとより女の子たちも嫡男に嫁げない限り自分の子供は確実に平民になってしまうのだ。だから爵位持ちの嫡男はものすごい倍率だし、女しかいない家の長女も凄まじい倍率になるのだ。


貴族の中でも確実に人気は分かれるのだ。


はっきり言うと子爵家の次男より男爵家の嫡男、他の爵位を持っていない伯爵家の次男よりも男爵家の嫡男なのだ。侯爵家や公爵家になると流石に他の爵位もあっていきなり次男や三男の子供が平民落ちすることはないが、その子の代までは判らなかった。貴族社会の中でも凄まじい競争社会なのだ。


そして、そこには当然成績も関係してくる。


優秀な成績の者には学園から推薦があり王宮の文官や女官等に成れる。高級官僚や女官になれば、貴族の婿養子や嫁にしてもらえる可能性も上がるのだ。功績によっては爵位持ちに成れるかもしれない。たとえ王宮に就職できなくても、先生から婿養子や嫁に推薦してもらえる可能性もあるのだ。

だから勉強とはいえ、皆必死になるのだ。


そういった事から考えても、王子様や公爵令息様に群がる女たちは仕方がない面もあるのだ。

何しろその配偶者になれば玉の輿だし、貴族で無くなる心配はないのだから。

女たちにししてもいわば今後の地位が決まるのだからある意味命がけの面もあるのだ。


当然、現在兄がいる男爵家の長女の私もその競争の中に入らないといけないのだが、基本的には入るつもりは無い。何故なら私はヒロインなのだからあぶれる心配はないのだ。



「ではお昼ごはんの後、新入生の皆さんがこの学園になれるようにオリエンテーションを始めます。その班分けは教室の席順、つまり縦の列で一つの班にするのでそのつもりで」

そんな私に平民の担任がとんでもないことを言い出したのだ。


ええええ!


私、この地味ダサ女と一緒の班なの!

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ここまで読んで頂いて有難うございました。

続きは明朝です。


この話の地味ださ女視点の物語

『転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて恋してしまいました。』

https://kakuyomu.jp/works/16817330667785316908


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