第36話〜半蔵の判断〜
「問題ない……我らの仲間内に大剣使いはおらぬからな」
「ありがとうございます! それ以外も使えるものがあったらいただけますか?」
「構わんよ。ゲームとは違って、素材に戻したら劣化してしまうから、そのまま使えるのならその方が良い」
「助かります!」
(気になることがあるけれど、後回しだ!)
半蔵さんの了承を得て、俺は倒れている狂戦士の元へ歩みを進めた。
「ちょっと見させてもらうぞ」
装備品の確認をするふりをしながら、狂戦士のステータスを覗き込む。
◆
【名前】ダミアーノ・ガヴァッツィ
【種族】オーク族
【年齢】28歳
【職業】狂戦士
【レベル】102
【基礎能力値】
体 力:0/16,700
魔 力:0/490
筋 力:120(職業による補正+30)
生命力:50
敏捷性:30
器用さ:20
知 力:20
幸 運:15
スキル:両手剣熟練度Lv10(両手剣使用時攻撃力10%増加)
狂化Lv10(攻撃力2倍 防御力半減)
空破斬Lv10(範囲攻撃:攻撃力1000%)
…………
装備品:オリハルコンの両手剣:攻撃力400
状 態:
討伐者:
《能力値をステータスに変換しますか?》
◆
(そうだよな!! モンスターだけじゃなくて、人の能力も変換できるよな!! これなら!!)
俺は狂戦士のステータスを覗きながら、心の中でガッツボーズをする。
半蔵さんが権利を放棄したことで、狂戦士が誰の物にもなっていない。
「トールさん? 死体漁りなんてみっともない真似しないでよ」
そんな俺へマリンが軽蔑するような視線を送ってきた。
(こいつ……わかっていないのか?)
文句を言いたい気持ちをグッと抑えて、俺は何も返さずに能力を変換した。
◆
【名前】トール
【種族】人間族
【年齢】18歳
【レベル】0
【基礎能力値】
体 力:2,900/5,000(★)
魔 力:810/1,995
筋 力:50+2(★)
生命力:50(★)
敏捷性:50+5(★)
器用さ:50+5(★)
知 力:50(★)
幸 運:29
スキル:吸血Lv1《与えたダメージの1%体力が回復する》
急所攻撃Lv1《1%の確率で即死》
状態異常耐性Lv1《10%の確率で状態異常を無効化》
フィールドアシミレーションLv1《1メートル圏内のフィールドを自分の意のままに操る》
パラライズミストLv1《相手を麻痺させる霧を放つ》
装備品:ミスリルの短剣:攻撃力20(俊敏性+5 器用さ+5)
革の胸当て:防御力0(大破:防御力ー5)
革の肘あて:防御力2
《警告》
ランク1では取得できるスキルは2つまでです
この中から選択してください
スキル:両手剣熟練度Lv10(両手剣使用時攻撃力10%増加)
狂化Lv10(攻撃力2倍 防御力半減)
空破斬Lv10(範囲攻撃:攻撃力1000%)
…………
◆
(全部じゃないのか!? それなら……どれにするかな……)
俺は狂戦士が持つスキルの中から自分にとって役立ちそうなものを吟味する。
「ねーねー、トールさん。聞いてる? そんなに真剣に見てもお宝は武器以外なさそうよ?」
狂戦士をじっと見つめている俺へ、マリンが不機嫌そうに声を掛けてくる。
下手なことを言って後ろの半蔵さんに聞こえても困るので、マリンを追い払うしかない。
「リディアさんの治療は終わったのか?」
「当たり前でしょう。私を誰だと思ってるの? スーパープリーストのマリンさまよ」
「はいはいそうですねー。マリンさまは凄いですねー」
「そうよ、もっと褒めなさい」
上機嫌になったマリンをあしらいつつ、狂戦士が消滅してしまう前にスキルを決定した。
◆
スキルを返還しました
熟練度が足りないため、Lv1になります
両手剣熟練度Lv1(両手剣使用時攻撃力1%増加)
空破斬Lv1(範囲攻撃:攻撃力100%)
◆
(これからオリハルコンの大剣を使うし、3次職の攻撃スキルがあればいいだろう)
そう考えて納得すると、狂戦士の体が徐々に薄くなっていく。
完全に消える前にオリハルコンの大剣を手に取るが、重くて持ち上げられない。
「んん!? 重っ!?」
腰を落とし、両手で引っ張るが持ち上がる気配がない。
必死に力を込める俺はオリハルコンの大剣を睨みつけた。
------
種類:オリハルコンの大剣
攻撃力:400
属 性:斬性
効 果:物理攻撃力+100%
条 件:筋力80
制 限:戦士系のみ装備可能
詳 細:神々の力が宿るオリハルコン性の大剣。
切れ味が良いが、重さがあるため非常に扱いづらい。
自己修復能力を持つ。
所有者:トール
------
(筋力が足りない……今はまだ使えないな……)
そんな感想を思い浮かべながら、両手から力を抜く。
「マリン、これを入れておいてくれるか?」
「任せなさい。私の鞄に入れておけばいいのね」
「ああ、頼むよ」
「はーい!」
嬉しそうに返事をしたマリンはマジックバックへオリハルコンの剣を収納してくれた。
地面に横たわる大剣が急に消える光景は違和感しかない。
やることが終わったので、半蔵さんの方へ向き直った。
「それではリディアどの、あとは頼みます」
「ええ、任されたわ。お気をつけて」
「失礼!」
リディアさんと言葉を交わしていた半蔵さんは風のように去っていった。
手を振って見送るリディアさんに近付こうとした。
「空が!!」
マリンが見上げた先にある破滅紋が一層輝きを増していく。
赤い光が辺り一面に広がり、地面が激しく揺れると同時に、遠くで爆音が響いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ご覧いただきありがとうございました。
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