【最強の無能力者】追放された隠し職業「レベル0」はシステム外のチート機能で破滅世界を無双する~クリア特典としてダ女神もついてきました~

陽和

プロローグ

プロローグ①~佐々木徹異世界へ~

新連載を始めました。

これから完結まで末永くよろしくお願いいたします。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 目を開けるとそこは一面真っ白な空間だった。

 床も壁も天井もない不思議な空間に俺は立っている。


「これが転生? なにもないじゃないか」


 俺はアポカリプスオンラインの最終ボスを倒して、その特典としてゲームの世界に転生したはずだ。


(これは夢か? 一体なんなんだ?)


 それなのに、目の前に広がる景色には何もない。


「あ、あの……」

「ん?」


 ふと背後から声をかけられたので振り返るとそこには一人の少女がいた。

 綺麗な金色のショートヘアーで10台前半のように見える。

 白いドレスを着ており、頭には大きさに合っていないティアラが置いてある。

 そして、なぜか背後から無駄に神々しい光が放たれていた。


「はじめ……まして、私はこの世界? の女神セイレンです。えーっと……その……」


 俺が無駄だと思ったのは、彼女の態度が神々しい光に合っていなかったからだ。


(おどおどしているというかなんというか……というよりも、女神?)


 彼女から放たれたか細い声の中に聞き捨てならない単語が含まれていた。

 身長もだいぶ低く、俺の抱いている女神という存在からはかけ離れている。

 それを問いただすために、咳ばらいをしてから子供の対応をするように優しく話しかける。


「あなたが俺をこの世界に連れてきたんですか?」

「え、えっと、はい、そうです。あなたが転生を選択したため、私がここに呼びました」


 どうやら彼女は本当に女神らしい。

 俺が報酬の画面で転生を選択したことを知っているようだ。

 だが、俺としてはもっと別のことが気になる。


「なんで、俺を呼んだんですか?」

「そ、それはですね、あなたにアポカリプスオンラインの世界を救ってほしくて……その……」

「本当にアポカリプスオンラインの世界に転生できるんですか?」

「もちろんです! ……あ、すいません。すこし興奮してしまって」


 俺の反応を見て不安になったのか、彼女は急にしおらしくなる。

 そんな彼女の態度を見ているとなんだかこっちが悪いことをした気分になる。

 だから、なるべく穏和に接することにした。


「大丈夫です。落ち着いてください。それで、なんで俺なんですか?」

「あなたがクリア不可能だと言われていた敵を一人で倒せたからです」


 俺の態度を見て話しやすくなったのか、セイレンは普通に話ができている。

 俺としてもアポカリプスオンラインの世界に転生できるのなら願ったりかなったりだ。


「敵っていうのは最後のボスのことですか?」

「そうです。徹さんは一人で倒しましたよね? でも、あの敵は【本来倒すことのできない】存在だったのです」

「どういうことですか?」

「ひっ!」


 思わず語気が強くなってしまい、セイレンが小さく悲鳴を上げる。

 怖がるセイレンを見てしまったと思い、すぐに謝罪をする。


「ごめんなさい。つい……」

「いえ、いいんです。徹さんが怒るのも理解できます」


 セイレンは少し寂しそうな表情を浮かべながら頷く。

 アポカリプスオンラインには【何度も】世界を破滅に導こうとするボスが出現してきた。

 俺が最後に倒したのは、運営が本当に最後のボスと銘打ったもの。

 今まで出てきたボスとは強さの次元が違う化け物だった。

 何百万というプレイヤーが挑んできたが誰一人として倒せずにいた。


(誰も倒せなかったボスを俺が十年の月日をかけて攻略した)


 ボスの攻撃パターンをすべて把握し、攻略用に装備やスキルも新調した。

 それでもギリギリの戦いだったが、俺は勝ったのだ。


「倒すことができないと誰が言ったんですか?」

「それは──」


 セイレンが口を噤み、言いよどむ。


(どう問うべきかな……)


バチン!!!!

「グッ!?」


 あまり委縮させずにセイレンに口を開かせる聞き方を考えていると、背後から肩を強く叩かれた。


「あんたが私の作った史上最悪最強ボスを倒した男ね!! やるじゃない!!」


 少し高めの声が聞こえると同時に、肩を叩いた張本人が俺の正面に回り込んできた。

 身長は160cmほどで銀髪のロングヘアーを揺らしている。

 服装はセイレンと同じ服の素材だが、露出度の高い踊り子のような格好をしており、スタイル抜群の女性であることがわかる。


「いやー、なかなか倒されないからどうしたものかと考えていたけれど、倒してくれてよかったわ!!」


 俺を賞賛しながら何度もバシバシと肩や背中を叩かれるので対応に困る。


「先輩……あの……そろそろやめてあげてください」

「ん? ああ、そうね。しつこい女は嫌われるわよね」


 セイレンが止めに入ってくれたおかげで、彼女が叩くのをやめてくれたので助かった。


(セイレンの知り合いなのはわかるが……先輩? それなら女神なのか? いや、それより……)


 この女性には見覚えがあった。いや、正確には知っていると言った方が正しいかもしれない。

 俺が知る彼女は『アポカリプスオンライン』に登場するヘルプキャラクターだ。


(クエストやシステムについて質問すると、親切丁寧に答えてくれるNPCなのだが……)


 目の前にいる彼女は俺の印象とはだいぶ違う行動をとっている。

 俺が困惑しているとセイレンが困ったように口を開いた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る