第25話 終わりの味
白い飴はどうやったら入手できるのか。
そもそも、奴らはどうやって機械を作り出したのか。動力源は相変わらず不明だが、補修する様子もないので機械の製法自体が不明だった。
奴らの工業力の根幹が解明できたら、不死殺しの毒たる白い飴も製造できるに違いない。
ある日、あのフェリーから降りてきた新しいネズミ色たちが、陸の奥の何もない場所に集まりだした。
すると奇妙なことに、ウィンドブレーカーの中から様々な金属部品を取り出して機械を組み立て始めた。それで新しい製造ラインを作っているのはわかるが、まるで服の中が四次元ポケットか何かだと言わんばかり、身体の体積の4倍はある部品を取り出して見せる。
メカニズムを示す決定的な例では、取り付けるために使っていた指がそのまま部品に変形して機械に貼り付き、残留したりする。
そもそも、奴らの身体は頑丈な何かが人間に擬態しているだけだ。模造するものを変えれば思い通りの物が作れるのか。
東雲がポケットから黒い飴を次々と取り出してたのはポケットの中で飴を模造していたのだ。
そんな危険な物の製法をほいほいと下っ端に教えるとは思えないが、ダメで元々だ。檻に接近したネズミ色に話しかける。
「東雲さん。白い飴が欲しい人がいるんです」
何にも考えていない人形顔が突然悲しそうな顔に変わる。
「....そうか....そうか....ダメか...そうか」
なんだその小芝居は。
ネズミ色はアルミホイルを取り出し、そこへ握りしめた片手を開き、白い飴を1粒落とす。
白く濁り、外側だけ艶やかな飴だった。
アルミをねじって包んだあと、さらにその上からアルミで包む。
「...本人に開けさせてください。触っても発動する可能性があります」
「ええ。きっと喜んでくれると思いますよ」
「...その人に、お疲れ様と伝えてください」
何がお疲れ様だ。
人類から全てを奪い、生命をことごとく殺戮した罪をあがなえ。
終わりの味はどんな味か聞いてやる。
お前の作った毒で、お前は消滅するんだ。
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