第26話 片道20分の罠
「じゃあ、お父さん。行ってきま~す!!」
「おう、お弁当持った? ハンカチは? 車には気をつけるんだよ」
「もう、子供じゃないだから、心配し過ぎよ」
黒埼明日菜は基本的に自転車通学である。
フェルトと言うドイツ製メーカーの黄色いロードバイクに乗って通学している、制服姿でロードバイクに乗るその姿は、色々な意味で危険だ。
美少女の太ももがちらちらと見えるのだ、そのため彼女に見惚れたドライバーが衝突事故を起こす事が良く有り、彼女の通学路は事故率がとても高い、非常に迷惑な話しである。もっとも、注目されることに慣れきっている彼女は、それに気づいてないのだが。(パンツ見えてるのよ、羞恥心を持ちなさい!! by赤城春)
機械いじりが得意な母が彼女の為に色々いじり倒したロードバイクは、完璧にサイズ調整されているのでライディングフォームもとても美しい、今日もジャーとロードノイズをあげながら軽快に自転車のペダルを漕ぐ。
「今日はいい天気だな、自転車に乗るには丁度いい暖かさだわ」
学院に後少しで到着という距離で、彼女の隣に一台の白いオープンカーが並走して来た。
「おはようございます。黒埼会長」
うわー、青桐先生のロードスターだ! 今日は朝からついてる! 思わす満面の笑顔になる。
「おはようございます! 青桐先生!」
「あ、黒埼会長、ちょっと……」
先生が車を横に停めて手招きしてくる。何かな、何かな? 淡い期待を胸に自転車に跨がったまま先生の車に顔を近づける。
「……ちょっと言いづらいんですが、その、パンツ見えちゃってますよ、黒埼会長」
小声で言った先生の言葉を理解した途端、顔が真っ赤になる。
きゃーーーーーっ! 先生にパンツ見られた、えっ、今日どんなの履いてたっけ、うそ~っ!! お母さんに勧められた白レースの超エロい奴だーー。なんで今日に限って、こんなの履いて来ちゃったの私! 違うの、今日はたまたまなの、いつもはもっと清楚で可愛い感じなんですよ~~~~!!!
頭を抱えて悶える私に「だ、大丈夫、とても美しかったですよ。ちょっと、エッチですけど」と先生が止めを刺してくる。
うきゃーー、恥かしすぎて死ぬ~っ!!!
その翌日から黒埼会長は、スカートの下にスパッツを着用して自転車通学する事になる、それを見た男子生徒全員が滂沱の涙を流して悔しがり(一部の者にはあれはあれで有りと言う意見もあった)、長野県警交通課からは事故が減ると感謝される。これで彼女のお父さんも一安心だ。
「まったく黒崎会長は、私があれほど注意しても、聞く耳持たなかったくせに!」
「だって~。先生にエッチって言われて、すっごい恥かしかったんだもん!!」
「ええぇい、泣くな。今まで散々生足晒しといて今更か!!」
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