第19話 試合前の話し合い
第2体育館、午後1時。少し話しを巻き戻す。
「えっ、僕も試合に出るんですか?」
「当たり前です。先生は生徒会の顧問ですよね。当然、わ・た・しの味方ですよね!」
黒崎明日菜が口を尖らせながら青桐をギロリと睨む。
「はあ、まあ確かに僕は、生徒会の顧問ですけれど、教師がこう言うのに出るのはちょっとどうかと……」
「昨日は2-bの屋台を手伝ってたじゃないですか、それと一緒です」
「いや、それも黒崎会長が無理矢理」
「では、私。ちょっと美鈴さんに話しつけてきますから」プイッ
「ちょ、黒埼会長」
黒崎会長が言うだけ言ってスタスタと桐生さんのもとに歩いて行く、まるで取りつく島もない。
「ああ、行っちゃいました。……はぁ、バレーですか」
「もしかしてバレーは苦手なんですか先生?」
「あ、赤城副会長」
黒埼会長に強引に出場宣告されて、ため息をついてる青桐先生に声を掛ける。まぁ、この流れだと先生が出ないなんてことは、会長は絶対に許さないだろう。身から出た錆とはいえ、ご愁傷さまです。
でも、青桐先生って運動苦手なのかな?
「いや~、僕、運動服もってないんですよ。この格好で出ていいもんですかね?」
あ~。確かに美術教師の青桐先生が、普段からジャージなんて持っているわけないか。
「まぁ、白衣じゃなきゃ、いいんじゃないですか? 動きづらいでしょ、それ」
「確かに。でも、黒埼会長はなんで急にこんな試合なんて思いついたんですかね? 桐生さんを見て閃いたんですか?」
うわ~~っ、説教してぇ~!あんたが桐生さんとイチャイチャしてたのが原因だろう、気付けよ、黒埼会長も恋愛
今ほど、会長に同情を覚えたことはないよ、口には出さないけど。おのれ〜、嫌みくらい言っとくか。
「さぁ、昼食食べ損ねて、機嫌悪いからじゃないですか、どっかの誰かさんはしっかり食べていたようですけど」チクチク
「あぁ、お腹空いてると人間機嫌悪くなりますからね。でもそんな理由で?」
うわ~ん!黒埼会長。この人、カフェインの取り過ぎで頭悪くなってます~!!
「まぁ、しょうがないですね。やるからには勝ちに行きましょう、赤城副会長!」
そう言って、白衣を脱ぎだした青桐先生。おりょ、意外と筋肉あるね、おいおい、そんな色っぽくネクタイを外すな、私にそんなサービスいらないから。
Yシャツのボタンを第2まで開けて、腕まくりをした先生は妙に色気があって、こちらを見ていたギャラリーの女生徒から、キャーキャーと黄色い声が上がった。やばい、青桐先生の白衣には、フェロモンを封印する効果があったのか!
「鉄先生。お写真撮ってもよろしいでしょうか。ついでに二の腕に触っても」
「うわっ! 吃驚した。 江戸川さん、いつからそこに」
まゆちゃんが、速攻で引き寄せられてるよ。
なんか試合前に疲れてきた、大丈夫かなこの試合?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます