第29話029「シンボルマークとマヨネーズが決定したようです」



「「シンボルマーク?」」

「はい。孤児院で販売している物だとわかる『目印』みたいなものです。今後、マヨネーズが売れて、さらにその後売り出す商品も売れることとなったら、この『目印』が『ブランド』になるので⋯⋯」

「なるほど。ブランドか⋯⋯。それは良いアイデアだな」

「そうね。そんな目印があればここで作った物だと買う人たちにアピールできるわね」

「はい。しかも『ブランド化』はその商品の『信用』にもつながるので、この目印も含めて商品登録したいですね」

「なるほど。信用⋯⋯か」

「確かにそうね! それはすごく良いと思うわ」


 二人が大絶賛してくれた。


「じゃあ、どんなマークを入れましょうか?」

「そうねぇ、他には無いものがいいんだろうけど⋯⋯」


 と、二人がうんうんと頭を捻っている。


 そんな二人を見て、俺はすかさず提案をした。


「あのぅ⋯⋯ちなみにですけど、こういうものって見たことありますか?」


 そう言って、俺は『六芒星』のマークを書いて二人に見せた。


 え? 何で六芒星かって?


 だって、この世界で見たことなかったし、何かかっこいいし、俺『厨二病』だし。


「これは⋯⋯何だ? 何か神殿の『五芒星』に似ているようだが⋯⋯」


 そう、この世界には『五芒星』はあるが『六芒星』がない。だから、俺は六芒星をウチのシンボルマークにしようと思ったのだ。しかし、


「うーん⋯⋯五芒星が主に魔法とか神様・神殿に関わるものだし、そもそも五芒星は神殿のシンボルのようなマークだからマズいわね」

「えー」


 ショック! リオショック!


 マジかよー。でも『神殿』に関わるものならマズイよなぁ。


 いや、待てよ? それじゃ⋯⋯あれ・・は?


「これはどう?」

「「っ!?」」


 俺が二人に提示したのは『十六菊花紋』だった。


 そう、『日本の皇室の菊花紋』である。厨二っぽいでしょ?


 オカルト都市伝説でよく語られる家紋の1つだからね。ちなみに『十六菊花紋』は俺の好きな厨二的シンボルマークの1つである。


「これは⋯⋯キクかしら?」

「え? 見覚えがあるの⋯⋯シスター・マリー?」


 意外にもシスター・マリーはこのシンボルが『菊』であることを一発で言い当てた。ていうか、この世界に『菊』があるのか? しかも名称もそのまま『菊(キク)』らしいし⋯⋯。


「え、ええ。古代遺跡の近くによく生えている植物よ」

「へぇ〜」


 古代遺跡⋯⋯か。


 たしか、この世界の神様って、妙に『日本』っぽい名前なんだよなぁ〜。


 まさか、この世界と日本って何か関係がある⋯⋯とか?


 いや、まさかな。だって、ここは異世界で俺のいた世界とは違うんだから。その証拠にこの世界には前世の世界にはない『魔法』ってものがあるわけだし。


 まーそれはいいとして、この『十六菊花紋』をシンボルマークにするのはダメなのだろうか?


「シスター・マリー⋯⋯俺の見せたマークは使えそう?」

「そうね。古代遺跡近くに群生する花ってだけで、別にそれが何か神殿に関わるなんてことはないはずよ」


 と、シスター・マリーが否定。


「じゃ、じゃあ⋯⋯このマークで採用?」

「いいんじゃない? シンプルだし⋯⋯。ウラノスはどう?」

「ああ、良いと思うぞ」


 ということで、俺が提案した『十六菊花紋』が孤児院ウチのブランドイメージとして正式採用された。


「よし。じゃあ、瓶のほうは俺の信頼できる職人何人かに発注をかけよう。今回決まったリオのロゴもそこまで難しいものではないだろうからそこまで時間はかからんだろう。⋯⋯あと必要なものは何がある? これで全部か?」

「そうですね。こんなもんじゃないでしょうか」

「そうね。必要なものはこれで全部じゃない?」


 ということで、ついに『マヨネーズ』を販売する目処が立ったので、その後、俺たちはすぐにマヨネーズの量産化に着手した。



********************



——5分後


「よーし、みんな集まっているな〜」

「「「「「はーーーーーい!!!!」」」」」


 良い返事だ。


 院長室から出た俺たちは子供達に外に集合するよう伝え、そして今に至る。


「えー、今度また新しい商品を売り出すので、みんなにはその商品を作る手助けをしてもらいたいです」

「え? 新しい商品?」

「初めて⋯⋯聞いた」

「すごい! さすがリオ兄!!」


 俺の突然の言葉に皆が意外だったのか、不安だったのか、ざわざわと騒ぎ出した。


「今度の商品は『ヘチウマたわし』よりも売れると思う。しかも、狙っているお客さんは平民と貴族だ」

「「「「「え⋯⋯貴族?」」」」」


 今回の孤児院の運営資金である寄付が止まったのが『貴族のわがまま』ということもあるので、皆が一斉に不安な表情を浮かべる。


「心配しなくていいぞ、みんな。何せ、商業ギルドのギルド長を味方につけたからな! そう簡単に貴族も手を出せない⋯⋯はず?」

「「「「「え〜〜〜〜〜、頼りな〜い!! ブー! ブー!」」」」」


 はっきりしない俺の言葉に、皆から一斉にブーイングが飛んでくる。


「だ、大丈夫! 大丈夫だから!!」


 俺は皆に「本当に心配ないから?!」と強調して再度説明。それで何とか納得してもらえた(ホッ)。



「さ、さて⋯⋯それじゃあ改めて、今度の新しく売り出す商品『マヨネーズ』をこれから作るからよく見てろ」

「「「「「はーーーーーーい!!!!」」」」」」


 そう言って、俺は皆にマヨネーズの作り方を見せる。すると、


「えーこんな簡単にできるのー! すごーい!」

「本当だ。本当に⋯⋯さっき食べたマヨネーズの味だ⋯⋯」

「美味しいー!」

「コラ! どさくさに紛れて食べるんじゃありません!」


 どうやら子供達にもマヨネーズ作りは難しくない様子。これなら作業もはかどりそうだ。


「よーし! それじゃー皆でどんどん作っていくぞー!」

「「「「「おおーーーっ!!!!」」」」」



——1週間後


「「「「「終わったぁぁぁーーっ!!!!」」」」」

「皆、お疲れっ!!」


 構想から約10日——遂に最初の販売分となるマヨネーズ100個が完成したのであった。





********************


【毎日12時更新】

 明日もまたお楽しみください。

 あと、下記2作品も読んでいただければ幸いです。


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://kakuyomu.jp/works/16817330650503458404


「生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜」

https://kakuyomu.jp/works/16817330655156379837

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