第17話017「トラブルに巻き込まれたようです」



「オスカーさん、それよりも『ヘチウマたわし』の商品登録についてのお話を聞かせてほしいです」


 俺は自分の話になりそうところを何とか誤魔化して、今回の主題メインテーマについての話を切り出した。


「あ、ああ、そうだね。えーと『ヘチウマたわし』か。⋯⋯あれ? ヘチウマたわしって、たしか2ヶ月前くらいからタスク中央街で流行りだしたっていうあの掃除道具のこと?」

「流行っているのかどうかはわかりませんが、私が考案して半年前に売り出した商品が『ヘチウマたわし』です」

「な、何と⋯⋯あれをリオ君が⋯⋯。そ、そうか、すごいな⋯⋯」

「あ、あのオスカーさん⋯⋯『ヘチウマたわし』ってタスク中央街で流行っているんですか?」

「流行っているんですか⋯⋯って、リオ君は知ってただろ? だって、元々はタスク地区で流行っていたものを耳聡いタスク中央街の人たちがタスク地区の住人から聞き出し、その噂がタスク中央街に広まった頃、まるで見計らったかのように・・・・・・・・・・・・・『ヘチウマたわし』を売る子供達が現れた⋯⋯と聞いてるよ?」

「え? あ、いや、その⋯⋯ははは」


 何とか笑って誤魔化した。


「笑っても誤魔化されてないからね?」

「あ⋯⋯⋯⋯はい」


 誤魔化されてませんでした。



「とりあえず、リオ君の話はわかりました。つまり、この『ヘチウマたわし』はリオ君たちが作った商品だと。しかし、最近その『ヘチウマたわし』の偽造品が販売されていることを知って、それで商業ギルドに来て商品登録についての話や、偽造品が『ヘチウマたわし』として商品登録されているのかどうかを確認しに来た⋯⋯ということですね?」

「はい、そうです!」

「ふむ、なるほど。そのことなんですが、まー、この商品は最近タスク地区から始まりタスク中央街まで流行っているので私も知っています。なので、これが今どういう状況なのかは把握しています。なので、正直に申しましょう。この商品は⋯⋯」

「「「「⋯⋯(ごくり)」」」」

「すでに、商品登録されています」



********************



「ええっ!? な、なんで⋯⋯!」

「う、嘘っ!?」

「そ、そんな⋯⋯」


 商業ギルド長オスカーの言葉を聞いて、ペトラ、ミトリ、ケビンがショックのあまり思わず声を上げる。


「⋯⋯それは、間違いないんですか?」

「ええ、間違いありません」

「そう⋯⋯ですか」


 リオは、一度オスカーに確認を取ったが、オスカーがはっきりとした口調で「間違いない」と言うのを聞いて、それ以上聞くことはなく、そのまま顔を沈ませた。


 それを見たオスカーがリオに言葉を紡ぐ。


「リオ君。ショックだろうが、これはもうどうしようもない事実だ。そして、これは⋯⋯君たちの落ち度でもある」

「っ!? そう⋯⋯ですね⋯⋯」


 リオはオスカーの言葉を聞いて、まさにその通りだと⋯⋯大正論だと悟る。


「しかしね、リオ君。君たちはそれ以上に⋯⋯」


 しかし、オスカーはさらにリオにゆっくりと何かを伝えようとしていた⋯⋯その時だった。


「お久しぶりですな、ギルド長!」


 突然、オスカーとリオの会話に割り込んで入ってきたのは、


「!⋯⋯⋯⋯バグズ卿」


 大商人として商業ギルド長オスカーと同じ平民から『底位貴族ボトムノーブル』の貴族へと成り上がったバグズ卿こと⋯⋯『ゲリーニ・バグズ』。そして、この男こそ、


「いや、今ここいらでね、我々が開発した・・・・・・・『ヘチウマたわし』をだよ、さも自分たちが作ったとでも言いたげな、そんな、まるで耳を疑うような話が聞こえてきたのでね、声をかけた次第なのだよ」


 今回の偽造品を商品登録した『張本人』だった。


「「「な⋯⋯っ?!」」」


 そして、そのバグズ卿の言葉に反応するペトラ、ミトリ、ケビン。


 すると、その3人の子供たちの反応を察したオスカーが、すぐさま子供達とバグズ卿の間に入って対処する。


「な、なるほど、そうでしたか。それはそれは⋯⋯いや、お騒がせしました。ですが、別に問題はありません。『ヘチウマたわし』の話はこの子達の何かの勘違いだったようなので⋯⋯」


 オスカーが何とかその場をやり過ごそうとしていたのだが、しかしそこで、


「何、言ってんだ! この『ヘチウマたわし』は俺たちが作った商品⋯⋯むぐぅぅ!?」


 空気を読まずに貴族であるバグズ卿に向かって進言したのは『歩くトラブルメーカー』こと、ペトラだった。そして、そのペトラの行動をいち早く察知したリオがペトラの口を強引に塞ぎ、静まるよう諭す。


(⋯⋯やめろ、ペトラ)

「んん〜〜〜っ!! んんん〜〜〜〜っ!!」


 ちなみに、ペトラは脳筋タイプで身体能力の高い子供ではあったが、4年間筋トレを施したリオの『パーフェクト細マッチョボデー完璧肉体』の敵ではなかったようで、ペトラは完全にリオに抑えられた。




 リオの4年間の筋トレの成果が発揮された瞬間であった(※そんなつもりで筋トレしたわけではない(リオ談))。





********************


【毎日12時更新】

 明日もまたお楽しみください。

 あと、下記2作品も読んでいただければ幸いです。


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://kakuyomu.jp/works/16817330650503458404


「生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜」

https://kakuyomu.jp/works/16817330655156379837


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