第28話028「マヨネーズ試食会のようです」



「マヨネーズ試食会を開催いたします!」


 ぽかーん。


 シスター・マリーが皆が集まった食堂でいきなりそんな宣言をした。当然、皆ぽかーんである。


「あ、俺から説明しますね」

「お願いね、リオ」


 ということで、早速皆に説明を始めた。


「えっと⋯⋯皆、聞いていると思うけどこれまで販売していた『ヘチウマたわし』は孤児院で販売することはできなくなったんだ。それで、その代わりになる新しい商品をちょっと作ったんだ。それがこの⋯⋯マヨネーズだ」

「「「「「まよねーず?」」」」」

「マヨネーズな? これは俺が作ったやつだけど、作り方は簡単なのでもしこれを売り出すことになったらみんなにも作り方を教える」


 俺はとりあえず今日の朝のうちに設計書を見ながらマヨネーズを作った。設計書がわかりやすかったので初めてマヨネーズを作った俺でも一発で成功した。設計書すげーから。


「ということで、今日はこのマヨネーズが売れるかどうかを含めて皆に味見をしてほしいってわけなんだけど、どうかな⋯⋯?」

「やるー!」

「俺もやるー!」

「何か食べることならやるー!」

「面白そうー!」


 予想はしてたが皆、とても乗り気だ。ありがたい。


「えっと⋯⋯このマヨネーズっていうのは食材に付けて食べるものなんだけど⋯⋯まずは俺の言う通りにやって食べてみてくれ」


 俺はそういって、テーブルにある『きゅうり』に似た食材『キュウリン』にマヨネーズをつける。キュウリンはスティック状にカットして皿に置いてある。他にも『にんじん』に似た食材の『キャロッテ』も同じようにスティック状にカットして一緒に置いてある。


 ちなみに、マヨネーズは直径10センチ、高さ15センチほどの瓶に詰めており、スプーンですくって皿に移して使っている。小瓶は孤児院にあったものを使っているだけで、マヨネーズを売り出すことが決まれば改めて入れ物も作る必要があると思う。


 まーそれもこれも、この試食会の皆の反応の如何によって決まるんだが⋯⋯。



********************



「ど、どうだ、みんな⋯⋯?」

「「「「「う⋯⋯」」」」」

「う?」

「「「「「うまーーーーーーーいっ!!!!!!」」」」」


 皆が驚きの表情を浮かべながら、興奮を抑えられないようで⋯⋯、


「このソース⋯⋯あ、えーと⋯⋯マヨネーズ! そう、マヨネーズ!! これ、すごい美味しいよ、リオ兄!!」

「初めて食べたけどすごい美味しい!」

「リオ兄! このマヨネーズの黄色みがかった色がすごく食欲をそそられるよぉ!」


 など、次から次へと嬉しい声が上がっていた。結果は上々である。


 俺がそんな子供達の反応を見て、一人満足していると、


「す、すごいわっ?! こ、こんなの、今まで食べたことないわ⋯⋯っ!!」

「こ、こりゃ、とんでもねぇ代物じゃねーかっ!?」


 シスター・マリーとウラノスの大人の二人が一際大きな声を上げた。


 どうやら、マヨネーズは大人にも通用しそうだ。


 俺は皆の反応を見て、確かな手応えを感じてい⋯⋯、


「おい、リオ! これは絶対に売れるぞ!」

「ええ、間違いなく売れると思うわ!」


 シスター・マリーとウラノスがグイグイと前に詰め寄りながらマヨネーズに対しての大絶賛の言葉を興奮気味に並べていく。ていうか二人とも近い。



 こうして、俺たちが次に売り出す商品は『マヨネーズ』に決定した。



********************



「おい、リオ。あとは何が必要なんだ?」


 その後、俺とウラノスはシスター・マリーに院長室で話をしようと呼ばれ、そこで3人で今後についての話を始めた。


「マヨネーズを入れる専用の瓶⋯⋯かな」

「そうね〜。これは孤児院のあった適当に見繕ったものだから、商品として売り出すならもっとちゃんとした入れ物は必要ね」

「はい。ウラノスはこういう瓶も加工できるの?」

「まー俺は魔道具以外にも生活用の金物とかの修理は扱っているが瓶の加工は専門外なんだが⋯⋯まーでも知り合いにそういうのを扱っている奴がいるからそいつの頼もう」

「ウラノス⋯⋯その人は信用できるの?」

「ああ、問題ない」


 ということで、瓶の加工はその人にお願いするということで俺たちはその瓶のデザインを考えることとなった。



「ま、こんなもんか」

「そうね。これならそこまで複雑じゃないから作りやすいと思うわ。それにしても⋯⋯リオが出したこの瓶のデザインいいわね。これはチェスの駒かしら?」


 今回採用された俺の瓶のデザインはチェスの「ポーン』を似たデザインだった。上部分が蓋の役割を果たす。ちなみに、この世界に『チェス』は存在していて、主に王族や貴族が遊ぶボードゲームとして定着していた。


「はい。チェスの駒って何となく高級感があるなぁ〜と思ったので」

「いいんじゃねーか? チェスは貴族がよく遊ぶゲームだからなじみがあるだろうし」

「ありがとうございます。でも、個人的にはこの瓶の中央あたりに『シンボルマーク』を入れたいんですよね」

「「シンボルマーク?」」





********************


【毎日12時更新】

 明日もまたお楽しみください。

 あと、下記2作品も読んでいただければ幸いです。


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://kakuyomu.jp/works/16817330650503458404


「生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜」

https://kakuyomu.jp/works/16817330655156379837

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