第21話021「スキルでマヨネーズを作るようです」
「⋯⋯機は熟した(くわっ!)」
ということで、俺は早速『マヨネーズ』をスキルで作り出そうとイメージする。イメージはもちろん、王道ど真ん中! 俺たちの『キ◯ーピーマヨ◯ーズ』だ!
「異論は認メーーーンっ!!!!」
バイブス上がりまくり! そして⋯⋯、
『イメージを確認。オリジナルと設計書を具現化しますか?』
「シクヨロ〜!」
頭に響く言葉に対して元気いっぱいに同意する。すると、
ボフン!
「おお!」
目の前の何も無い空間からマヨネーズのサンプルと設計書とそして⋯⋯『謎の大鍋』が出現していた。
「え? 何これ?」
その『謎の大鍋』は直径約1メートルくらいの大きさだった。蓋を開けると、
「あ、何か卵を入れるような窪みが、えーと⋯⋯1つ、2つ⋯⋯100個は入りそうだ」
何だかよくわからないが、どうやら卵を入れて何かするものらしい。ということで、設計書を読んでみた。
「何々⋯⋯えーと、ふむふむ⋯⋯卵の殺菌用⋯⋯魔道具。卵の殺菌用魔道具ぅぅ〜〜っ!?」
設計書にはそう書いてあり、どうやら鍋の縁にある二箇所の鉄製のポケットに魔道具のエネルギーとなる『魔力の入った魔石』を入れて稼働させるらしい。エネルギーとして魔石に流し込む魔力の属性は『無属性』である。
「つまり、この『魔石』の役割は魔道具を動かすための『充電式電池』みたいなものかな?」
ちなみに、この魔道具はこの世界の素材で作られているので『魔道具ギルド』で発注して作ることが可能⋯⋯と書いてある。何という親切丁寧仕様。
「えーと⋯⋯作業の流れ的には、卵の殺菌を先にしてからマヨネーズを作る⋯⋯ってことか」
うむ。ちゃんとマヨネーズを作るときの卵・酢・油の順番や混ぜ方まで細かく図を使って書かれている。
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謎の大鍋⋯⋯いや、卵の殺菌用魔道具に度肝抜かれた俺だったが、今は落ち着きを取り戻していた。
「さて、次は具現化されたオリジナルだけど⋯⋯おお、まさに俺がイメージしたキ◯ーピーマヨ◯ーズだ⋯⋯」
さっきの卵の殺菌用魔道具も驚いたが、この具現化されたオリジナルの再現度もまた驚嘆に値した。もうだって見た目あのまんま⋯⋯。キ◯ーピーマヨ◯ーズのこの再現度がえげつな⋯⋯⋯⋯ってか、ちょっと待て!?」
俺はここで初めてこのオリジナルの異常さに気づいた。
「こ、これ⋯⋯本物の⋯⋯キ◯ーピーマヨ◯ーズじゃねーか」
そう、つまり、このオリジナルは『異世界にある素材で具現化されたのではない』ということだ。
え? どうしてわかるのかって?
「こんな⋯⋯マヨネーズの容器、この世界に存在しないもの」
そう。今、目の前で具現化されたマヨネーズは日本で売られている
「⋯⋯てことは、具現化するオリジナルって日本にあったものを具現化しているってことなのか?!」
俺はすぐにそれを確かめるべく具現化できるオリジナルの上限である残り2つを具現化してみた。結果は、
「お、思ったとおり⋯⋯日本のもの、そのままを具現化してる⋯⋯!」
目の前に日本でお馴染みのキ◯ーピーマヨ◯ーズが3つ並んでいた。
前回の『ヘチウマたわし』の時は、素材が『ヘチウマ』で日本のヘチマとほぼ同じ見た目だったのでまったく気づかなかった。なので、さっきまで具現化したオリジナルも『異世界にある素材で具現化している』ものだと思っていたので、今回の新たな発見はかなり驚くべきものだった。
だって、見方を変えればねぇ⋯⋯⋯⋯『この異世界にない日本の素材まんまのオリジナルを3つ具現化できる』ってことだからねぇ?
「これ、使いようによっちゃ、えげつないチート能力かも⋯⋯」
とりあえず、いろいろと思うことはあるが、今は一旦横に置いておこう(現実逃避)。
「いずれにしても、オリジナルをこの世界で再現することは不可能だろう。だって、プラスチックないしね⋯⋯。となると、マヨネーズを入れる容器は『ガラス瓶』かな」
この世界には普通にガラスは一般化している。あと鏡も。
俺が読んでいた
「まーさすがに地球と同じってわけではないからこの技術の発達の違いも別に不思議なことではない⋯⋯のかな?」
まー別に俺もそんな地球の文化や技術の発展の知識などほとんど無い⋯⋯っていうかまったく無いので、考えても無駄だと悟り、すぐに放棄した。
********************
「ある程度目処は立ったけど、まだ確認すべきものはまだいくつもあるなぁ⋯⋯」
そう、まだ商品化までにはいくつもの確認することが目白押しだった。
「とりあえず、最初に確認したいのはさっきの『卵殺菌用魔道具』の魔石⋯⋯か」
今、俺は魔石を持っていないのでこのままでは卵殺菌用魔道具が稼働確認ができないのだ。
「魔石か〜。どうしよ?」
ということで、困ったときのシスター・マリー院長先生に話を聞きに行った。
おしえて、院長先生!
「え? 魔石⋯⋯ですか?」
「はい。実は⋯⋯」
俺はここでシスター・マリーに『スキル:造型士(無)』の話をした。以前『完全鑑定』の話をしたというのもあるが、それ以上にシスター・マリーにはいつかちゃんと自分のスキルについて話したかったというのもあったので、俺はこのタイミングでカミングアウトした。
「む、無属性のスキル⋯⋯造型士。想像した物を具現化⋯⋯。さらには、その具現化した物の設計書までも出現⋯⋯。何という、何とも特異性の高い、相当強力なスキルですね」
「はい」
俺のスキルの詳細を聞いて、半ば唖然としながらボソボソと感想を述べるシスター・マリー。無理もない。
「⋯⋯リオ。これは誰にも⋯⋯子供達にも話していませんね?」
「は、はい。もちろんです」
「よろしい。無属性スキルでさえ発覚すれば神殿関係者が黙っていません。ましてや、このような強力な生産スキルなど⋯⋯発覚し捉えられれば監禁され利用される可能性は非常に高いでしょう」
「あ、あの、シスター・マリー⋯⋯」
「何ですか?」
「し、神殿って、どうして、そんなにスキル持ちを欲しているんですか?」
「⋯⋯そうですね。リオがここまで無属性で強力なスキルを身につけた以上、神殿についての話もしましょう」
そう言って、シスター・マリーが何か覚悟を決めたような顔を一瞬見せ、それからゆっくりと話し始めた。
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【毎日12時更新】
明日もまたお楽しみください。
あと、下記2作品も読んでいただければ幸いです。
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
https://kakuyomu.jp/works/16817330650503458404
「生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜」
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