第31話031「いざ、再び商業ギルドへ行くようです」
次の日——俺とシスター・マリー、ウラノスにペトラ、ミトリ、ケビンで領都へとやってきた。
というのも、今回商品登録する上でマヨネーズはもちろんだが、同時に『卵殺菌用魔道具』も商品登録しようという話になったため、荷車に卵殺菌用魔道具を乗せることとになったため、その人手としてペトラたちも一緒にやってきたのだった。
「いつ来ても領都ってすごく人が多くて賑やかだね!」
「ああ。それに屋台には美味しそうな食べ物がいっぱい並んでるしな!」
「うんうん。美味しそうな匂いがあっちからもこっちからもして我慢できないよぉ〜!」
「⋯⋯ったく。ミトリとペトラは相変わらず食い意地しかないな。もっと何かないのかよ」
「何よ、ケビン! あんただってこの前来た時、領都の食べ物に興奮してたじゃない!」
「そうだ、そうだ」
「そ、そりゃ、口にしたことない物ばかりなんだから、それくらい仕方ないだろ! 俺が言いたいのは」
そんな3人は、ペトラとミトリが浮かれているところをケビンが斜に構えた態度でツッコミを入れるといった、いつものやり取りをしていた。⋯⋯うんうん、3人とも領都を楽しんでいるようで何よりである。
「約10日ぶり⋯⋯か」
俺は前回からおよそ10日ぶりに商業ギルドへと足を踏み入れた。すると、前回受付にいた職員さんが俺のことを覚えていたようで、今回もまた慌てて商業ギルド長を呼びに行った。
恐らく、前回オスカーが「時間など気にしなくていい。私は待っているよ」と俺に言っていたのを聞いていたのだろう。それがこんなにも俺が早くに尋ねたことを驚いたのだろう。案の定⋯⋯、
「え? リオ⋯⋯君⋯⋯」
「ご無沙汰しております、オスカーさん」
「ま、まさか⋯⋯?」
「はい。先日約束していた新商品の商品登録をしにまいりました」
「な⋯⋯っ?!」
オスカーさんもまた職員と同様、かなり面食らった顔をして棒立ちとなっていた。しかし、少し、間があったもののすぐに正気を取り戻したオスカーさんは、
「と、とりあえず、私の部屋へ行きましょう」
と俺たちをオスカーさんの専用室へと案内してくれた。
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——商業ギルド長専用室
「ちょっと、まだ少し混乱しているのですが、えっと⋯⋯リオ君、今日は⋯⋯本当に新商品の商品登録に参ったのですか?」
「はい」
「い、いやでも⋯⋯まだ『ヘチウマたわし』の件から1ヶ月どころか10日ほどしか経っていませんよ?」
「はい、まーできちゃったものはしょうがないかな〜って⋯⋯」
「こ、この子は⋯⋯」
オスカーさんは半ば呆れた様子で俺の顔を見ながら一度深いため息を吐いた。
「⋯⋯オスカー」
「あ、あなたは⋯⋯! ウラノス!!」
「お久しぶりです、オスカー様」
「シ、シスター・マリーまでっ!!」
「いや、オスカー⋯⋯お前今頃気づいたのかよ?」
「そうよ。だいぶ反応遅いわよ?」
「い、いや、リオ君があまりにも商業ギルドに商品登録で戻ってくるのがあまりにも早過ぎてそれどころじゃなかったんだよ!? あんたらだってわかってるだろ、それくらい!」
「まーな」
「まーね」
どうやら、3人は知り合いのようである。
「シスター・マリー⋯⋯あと、ウラノスも⋯⋯オスカーさんとは知り合いなんですか?」
「ん? ああ、まーな」
「ええ、そうね」
「そうですね。それなりに⋯⋯」
「?」
三者とも何やら『濁す』ような反応に見えた。⋯⋯気のせいか?
「とりあえず、その話はいいとして⋯⋯。それではリオ君、早速君の新商品を見せてもらえるかな? 正直、『ヘチウマたわし』以上の商品かどうかずっと気になっていたものでね」
「わかりました。こちらです」
そう言って、リオはオスカーに孤児院で作った商品を表すブランドロゴである『十六菊花紋』の入った『マヨネーズ』を見せた。
「これは?」
「マヨネーズ⋯⋯といいます」
そうして、俺はマヨネーズの商品説明をした。
「た、卵を使った調味料⋯⋯ですか。しかも生卵を⋯⋯。しかし、大丈夫ですか? 卵は生で食べるとお腹を壊しますよ? それを加工した商品なんて⋯⋯大丈夫なんですか?」
「もちろん。ちゃんと生卵は殺菌してあります」
「殺菌?」
「はい。卵をそのままで食べると『菌』が入っていて危険なのですが、その『菌』を殺している⋯⋯『殺菌』というのですが、そうして殺菌してから加工しているので問題ないです」
「なるほど、そうなんですね。で、このマヨネーズ⋯⋯は何につけて食べるんですか?」
「基本、野菜などですが、それ以外の食材にも合います。いわゆる『万能調味料』といったところです」
「ほう?」
「ただし! これは中身に油も入っているので付け過ぎると太りますのでご注意を」
「ふむ、わかりました」
そう言って、オスカーがその場で「試食ついでに皆さんもどうですか?」ということで、メイドに人数分のサラダを用意してくれた。
「では、早速⋯⋯」
そう言って、メイドが運んできたサラダにマヨネーズを適量かけ口にした。すると、
「っ!!!!」
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明日もまたお楽しみください。
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