概要
トゥトゥは竜の祝縁、すなわちその声を聴くちからを持つ。
ある日、空で、ひとりの男を救った。
セイラン・ウォジェ、堕ちた英雄。
予期しない出会いが、二人の運命を大きく変える。
その道程は遥かに、そうして驚きと幸福に溢れたものとなる。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!飛べるよ! 飛ぼうよ! あの空へ!
うわわぁー! と、ふわふわした浮遊感も感じるのに、風を切る爽快感もある、そんなあったかく、爽やかなお話です。
主人公のトゥトゥちゃんは、竜の声を聴ける力の持ち主。その竜たち、まぁー! 可愛いです! そして、その竜と戯れているトゥトゥちゃんもまぁー可愛い!
恋のお相手セイランさんは、堕ちた英雄といわれていますが、トゥトゥちゃんと出会い、また竜と飛ぶ喜びを思い出します。私からすれば、全然堕ちてなんかいません! ただ色々と、臆病になっていたんじゃないか、そう感じました。
そんな二人が結ばれるのは必然だった、それぐらいお似合いな二人のお話を、ぜひ! - ★★★ Excellent!!!世界を吸いこむ。世界を肌に感じる。世界が、吹き渡っていく。
私がたびたび小説をほめるときに、その世界の実在感、質量感というものを取り上げるのですが。
この作品もまた、そういう部類のものです。
この作品の世界が、肌感覚として伝わる。リアルに存在するように感じる。
竜に乗り、風を切る感覚。早朝の澄んだ空気を、深呼吸する感覚。
文章のリズムが、言葉選びがそうさせるのか。そこにあるものとして、確かに感じられる。
世界に酔いながら、澄み渡っていく。
そしてその世界を生きる人々は、地に足をつけ(空を飛ぶ人々にこの表現が適するかはさておき)、力強く心を持っている。
主人公のトゥトゥをはじめ、登場人物の一人一人、心折れた人も含め、確かな芯というものを感じます。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!表紙を捲ればそこは異世界。貴方は空を舞い、命と話し、喜びを分かち合う
冒頭だけで鳥肌が立ちました。すごいです。
表紙を捲って小説を読み始めたはずなのに、異世界にいたんです。まるで、扉を開いてくぐり抜けたみたいに。
世界が、登場する人々が、竜が、風や草木が。すべてが生きています。こんなにも命が輝き、種種の愛情に満ち、感謝や祝福に溢れた世界があるなんて。
そして、自分もその一員になれる喜びを知りました。
私が特に好きなのは、竜の飛翔シーンです。竜の背からの視点、少し離れたところからの視点……と自由自在に切り替わりながら、竜と飛ぶ・竜が飛ぶとはどういうことなのか、わかります。映像や感覚がリンクします。竜とはなんて力強く、愛らしく、美しいのでしょう。
もうひとつ特に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!とってもハッピーなファンタジー!オススメ!
幸せなのだなあ。
とっても良いのだなあ。
主人公、トゥトゥは、竜の心がわかる、「祝縁」を持って生まれ、白薄荷の宮で、竜のお世話をして暮らしています。(天職!)
黒玻璃城の次男に見初められ、思わぬ玉の輿、となるのですが、夫は、「堕ちた英雄」の後ろ指に苦しみ、
「自分のところに、本当に嫁に来るとは思わなかったよ。」
なんだかウジウジ言ってます。
そんなセイランに、トゥトゥはたまらず、「私は竜のお世話をしに、ここに来たのですっ!」と言い放ってしまいます。
さあ、この二人、どうなるでしょう?
物語はスッキリしていて、竜が空を飛ぶ疾走感が心地よく、セイランが、妻のおかげで前を向いていけるさまが爽…続きを読む - ★★★ Excellent!!!筆者はこの世界を、「見てきた」のだ。
第1話で、こころを持っていかれました。
風を、つよい風が吹くのを感じたからです。
これまで読んだお話の中で、これほどの風圧をかんじたのは初めてでした。
圧倒的な世界観。
世界の広さというよりは、その深度、解像度の高さに驚かされました。
まるでほんとうに、歴史上にこの世界が存在していたかのような、「本物の世界」が描かれているのです。
色も、においも、風も、音も、ひとびとの暮らしも、生き物たちも、すべてが本物のようなのです。
しかしそれ以上に素晴らしいのが、トゥトゥとセイランの人となり、そしてふたりの関係性。
竜の背に立つヒロイン・トゥトゥ。
トゥトゥが竜と語らい、自然と語らうさまはうつくし…続きを読む