第36話 前向きな西日
前の会社からかなり距離があり、車で4時間。今までとは違い、すごく田舎とは言えず、でも都会とも言えず。だけど時間は前の所に比べゆっくり流れているような、そんな場所だった。
年齢が年齢だけあり、会社の指定された寮に入れないので、自分でバタバタとネットで住むところを探していたが、来てみると想像とは違い、周りも静かで近くに公園があったりで、すごく外の空気も美味しい、そんなアパートだった。
リッチにカードキーの玄関、久々の一人暮らしは少しテンションがあがる。
ドアを開けると、左手前に細長い台所とその右にはお風呂とトイレ、さらに奥のドアを空けると6畳のワンルームだった。
ここが今からお世話になる家。
「よろしくお願いします!」
と深く家に向かって挨拶をした。こうして俺はいつも新しく住む家の時には毎回挨拶をしていた。これだけは忘れずに心がけている。
これからどんな暮らしになるんだろう。とワクワクしながら運んできた荷物を開け整理する。
片付けをしはじめて1時間、もう荷物も全て片付き一息つくため買ってきた缶ビールをあけ飲んでいた。
もともと自分の荷物はほとんどなく、しかも単身赴任だから荷物なんてすごく少なかった。
外は日が沈む頃、ちょうど西日が差してくる。俺はどちらかと言えば、朝日よりも西日の方が好きだった。
色んなことがネガティブに事を考えてしまうが散々堕ちたあとの次の日のスッキリは最高だったから。
でもそんな西日が好きな俺でも今日に限っては前向きな気持ちばかり。
西日なんてクソ喰らえだった。
「明日から新しい場所での初出勤。頑張ろう。俺には離れているけど、妻も子供もいる」
そう思い、もう一本缶ビールをあけ、ベランダにでてタバコを吸い、沈む夕陽を見ながらたくさんの元気をもらっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます