第31話 小春が残した物
少しずつ仕事に影響ださず働けるようになったのは小春がいなくなってから1か月がたつ頃だった。
朝起き、妻と子供たちを見送り、いつものコンビニでカップラーメンを買い、仕事場にいく。
おはようございますと無表情で挨拶をし、自分のデスクに座り、次のプロジェクトに向けてキーボードを叩く。
昼になると食堂で一人で朝買ってきたカップラーメンを食べ一人でタバコを吸い、休憩時間終わりの20分前に自分のデスクに戻りスマホをいじる。
よくわからないお笑いのYouTubeを見て時間になるとまたひたすらキーボードを叩く。
そして時間になると無表情でおつかれさまでしたと挨拶をして帰る。
これが俺の今までの姿だ。
どれだけ小春の存在が大きかったか。
小春がいるときには自然と笑顔になるから周りの人も俺に話しかけやすくなる。
小春が会社にいると思うと仕事のやる気もでてくるから、かなり捗り会社の売り上げにもかなり貢献していた。
いわゆる彼女は俺にとって不倫相手でもありアゲマンだった。
ただ単に小春と出会う前の自分に戻っただけ。
今までの自分が覚醒してた。
そう考えて見れば俺一人では何もできないただの人間である。
自分で空を飛ぶ羽根をつくることもできず、彼女に羽根をもらい、さらに自分に合うようにうまく彼女が羽根を改良してくれていたんだ。
しかもそれはどんだけいい羽根でも彼女がそばにいないとうまく飛ぶことはできない。
彼女はその飛べない羽根だけを残し俺の前からいなくなった。
俺はどうしたらいい。
空を飛ぶ必要なんてないのかもしれないけど、飛んでいるときは本当に気持ちよかった。
自分自身もだし周りも見ててそうだったと思う。
もう一度。
もう一度、飛びたい。
俺はそう思った。
まずは自分で改造してみよう。そう考えた。
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