第27話 幼少期の俺
ずっと俺は悩んでいた。
またいつもの悪いループ。頭で考えてもどうしようもないのに。
でもこんな時、よく親は言っていた。
「疑問があればとにかくやってみよう」
俺が中学の時、野球部に入っていた。
小学校の時には4番にずっと立たせてもらい、来る球来る球全部打ち空振りすることなんてほぼなかった。小学校の時は輝きを増し、その勢いで中学は県で一番の強豪校に入学した。
しかしその時にたくさんの挫折を思い知らされることになる。
投手のレベルも小学校の時とは遥かに違い、今まで打てていた球ですらも打てなくなった。
小学生の頃の輝きは一瞬にして消え、入部して約1ヶ月で部を辞めた。
授業が終わり皆が部活をしている中、俺はそうそうに家に帰って、部屋で宿題も何もせずにこもり、急に打てなくなった事にずっと疑問を持ち落ち込んでいた。
その様子を影でそっと見守っていた母は俺にそっと手を差しのべる。
そう。
あの言葉を言ってくれたのだ。
考えても前に進めない。とにかくやってみないと始まらない。
そう思い、その次の日から毎日バットを家の近くの公園で振ることにした。
バットを振っているとネガティブなことではなく、どうやったら球が当たるようになるかを考えるようになったのだ。
前に進めた。
そのおかげで俺は立ち上がり、後日再度顧問の先生に再入部のお願いにいき部活に戻ることになる。
皆に無視されるだろうと思っていたが、皆俺が帰ってくるのを信じて待ってくれていたのだ。
「海ー!待っていたぞー!」
「また一緒に野球やれるな!」
本当に皆優しい。部を辞めたときなんて皆に合わせる顔がなく、何も言わずに立ち去りその後もほとんど学校では話さなくなっていたのに。
母の一言で立ち上がることができ一歩前に踏み出せたことで、バットにも球が当たり、中学生最後まで4番とはいかなかったが3番の打席にずっと立つことができた。
あの頃を思い出す今の俺。
本当に何も変わってないなと思った。
皆は信じて待ってくれていた。それが一番何よりも嬉しかったんじゃないのか。
今ここで彼女と何も話さず、このままよくわからなくなって自然消滅しちゃってもいいのか?
疑問に思ったならその思ったことを伝えればいい。きっと彼女は話を聞いてくれる。
よし!会って思ってること全部話そう。
俺はそう心に決め、5ヶ月ぶりに彼女に連絡を
した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます