第7話 天使と悪魔
そう。オレは家族がもう1人増えたのだ。
俺の妻のお腹の中にいて妊娠2ヶ月らしい。
俺は彼女としたあと強い嫉妬心と罪悪感に浸っていたが結局のところは自分も同じような事をしてる。
妻に、バレないようにする為断れなかったんだ。と勝手な都合をいつ言われてもいいように用意をしておきながら。
なんて最低なやつだ。
嫉妬心と罪悪感が抑えきれずに、毎日おびえ、彼女に嫌われたら愛し合えないというのと、周りにバラされるかもしれないという恐怖心から別の心の寄り所を見つけていたのかもしれない。
結局何もかも中途半端。誰一人も幸せにすることができない俺。最終自分がよければ全て良し。幸せなうちに、彼女と愛しあう前に考えとければよかったと。
ただただ普通に夫婦の営みとして、するぐらいならそこまで変な罪悪感は持たなかっただろう。避妊をしないと子供が産まれることも中学生じゃないんだしそのくらいわかるはず。
だから俺は決心した。
彼女と別れよう。
バラされるかもしれない。何を逆襲されるかわからないが、やはり子供の力には勝てなかった。全てを受け止めるから子供を大切にしたいと。
今まで本当に最低な事をしてきた。
浮かれてたんだ。
ちょっと職場で立場が上になって注目されて、つい誘惑に乗ってしまって。
上の立場になると周りからの誘惑に本当に気をつけないといけない。今まで全く相手にされなかったのに目の色を変えて寄ってくる綺麗な女性。
大変そうにしてるとかなりの絶妙なタイミングでお茶をそっと出してくるかわいい部下。
彼女もそうだ。
彼女が悪いわけではない。調子に乗った俺が悪いんだ。
それに一番はこれから産まれてくる、お天道様からいただいた天使という子供と、無事に授かってくれた妻を裏切るわけにはいかないと。
もう終わりにしよう。と決意し俺は彼女をいつもの駐車場で仕事終わり会うことを決めた。
そして会う当日の夕方に彼女にラインを送った。
「別れたいから話しよう」
と言うと会ってくれない気がしたから
「今日もいつものところで会える?」
と送った。
案の定すぐに彼女から既読マークはつき、
「うん!頑張ってみるね」
と返事が来た。
恐らく俺からの返事を待っていたのだろう。
頑張ってみるって言う返事を見たときは、心に大きな痛い物がたくさん突き刺さったような気がした。
本当に申し訳ない。
でも俺はここで終わらないと前に進めないんだと。
胸に大きな痛い物が刺さっていたが、受け止める決意で、それを抜こうともせず残りの仕事を終わらした。
そして仕事が終わりいざ彼女のところに会いにいく。
いつのもように彼女は車の窓からニッコリとした優しい顔でアイコンタクトをとり、俺は彼女の車に乗った。
その時にはすでに彼女は俺だけにしか見えるはずのない、胸に突き刺さった大量の痛い物が見えていたのかもしれない。
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