5/7 輝くドラゴン
黄金に輝くドラゴンがあると聞いて、思わずやって来てしまったわ。韓国のソウル。本当は中国の上海に行くはずだったけど、飛行機の便を間違えてしまったのよ。時差ぼけならぬコロナ禍ボケを起こしていたのねおそらく。
ああ、朦朧とする頭を起こして見れば見慣れない建物が並ぶわ。日本とは一味違う感性ね。でも全体的に金色を多用しているという点で、通ずるものはあると思うわ。ほらこんな風に身体を横にしてみれば、あの曲線の金のビルも、お台場にあるあれのようにみえなくなくなくもないわ。
・・・ああちょっと気持ち悪くなったわ。何かしらこれ遅れてきた飛行機酔い?私はお酒が飲めないから二日酔いではないと思うけど・・・。ああいやだ。二十歳の時に飲んで失敗したのに凝りてお酒は飲めないでこの歳まで通してきたのに、なぜこんな風に二日酔いまがいの症状を味合わなければならないのかしら。歳を取るって嫌ね。遅れて来た筋肉痛の方がまだましだわ。
・・・ああ私はなにを考えているのかしら。いつまでもこんな態勢をしているから駄目なのよ戻しましょ。あー! あ、頭がすっきりしてきたわ。はいビルもちゃんとまっすぐに戻りました、と。しかしあれほんとに浅草のあれに似てたわね。やっぱり金色だからかしら。行儀よく例えるならば、大阪と名古屋を同じボールの中に入れて菜箸でかき混ぜた後で一晩寝かして感性のままに形を整えたような、そんな感じね。恐らく作った人もそういう一種のトランス状態で作ったはずよ。だって建築家って言ってみれば芸術家でしょう。言うなれば酩酊状態。そうよ酔ってていいのよ。そう酔ってて全然いいんだわ。嫌だわ私あのままでよかったんじゃない。・・・そう思ったらもう一度あれ見たくなってきたわ。やってもいいわよね。いいわよねやっても。肺周り見ても今は誰もいないから大丈夫。やりましょやっちゃいましょ記念だからはいはーい、はいやっちゃった。はい。あー、やっぱりやってよかったわああー。
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