6/15 大切な睡眠 ※15分経過時点で書きかけだったが田中に対する気持ちが盛り上がっていたので10分延長して完成させた
「田中君、きょう、どう?」
「‥…‥‥…」
「いや予定があるならいいよ。また今度で(こっちだって誘いたくて誘ってるんじゃないからな。無理やり誘う気はさらさらない。そんなことしたらパワハラだと思われる)」
「‥‥‥…行きます」
「え? そうなのいいの?(行くのかよ)」
「……上の階の魚民でいいですか……?」
「うん……」
「飲み放題2時間、予約しときました」
「あ、ああありがとう……(いつもながらタメが凄い。ところで自分のクレジットカードで精算してポイントを溜める行為、地味に横領なんだが、経理課の上司としていい加減指摘するべきか……)」
――魚民にて――
「はい、じゃあかんぱーい。‥‥…どう仕事慣れた?」
「はい、お陰様で」
「気苦労とか、ない? といっても経理課は僕と君の二人だけだから、気苦労があるイコール僕のマネジメントの問題ってことになっちゃうね。……実際の所どう? 問題があるなら早く解決したいから、もうはっきり言ってくれていいよ!」
「……」
「(まただんまりか。最近の新人は分からん。Z世代というのか、感情が全く読めんな)」
「……いえありがとうございます」
「ありがとうございます……ということは一旦大丈夫ということでいいのかな?」
「…………」
「‥‥‥…え?(何で黙る!?)」
「……課長がそう思われるのであればそれで」
「え?(なになになに?)」
「それが組織だと思うので」
「……それはどういう?(これ……これやばいやばいやばい俺の評価……!!!)」
「……いやもう僕は」
「僕は?(ギャー!!!!!!!! いやいいやいや平常心平常心何か言わないと今何か言わないと言わないと言わないとやられるやられるやられる!!!!!)」
「……辞めないでね……?(謎の微笑みも付けよう。とりあえず笑っとけばなんとかなる)」
「え?」
「辞めないで!!!だめ!!あきらめないで! コミュニケーションをあきらめたらだめ!!! 俺にもう一回チャンスを頂戴!!ね!?(おおおおおお見られている見られている他の客に見られている!!!もう死にたい死にたいが言ったもんは仕方ない!!!)」
「……」
「僕は田中君のことが好きなんだよ」
「‥‥…」
「好きなのに見捨てるの!? 経理課の課長の僕を!!!」
――翌日――
「(ふふふふふふふ出社して席がなかったらどうするか。しかしとうとう俺もセクハラで退職か。しかも相手が男。ある意味新しいなふふふふふふふふふふふふふうふくふうぐふぐふぐ!!!!!‥‥…くふぅ‥‥…)
「‥‥…課長おはようございます」
「!?!?!?!?????? え? 田中君!?」
「おはようございます課長……」
「田中君…………僕人事に呼ばれてない?」
「いえ」
「じゃあ社長は?」
「いえ」
「社長秘書は?」
「いえ‥‥…桜子さんなら今専務と多目的トイレに籠ってます」
「……じゃあ僕は誰にも呼ばれてないわけだね……」
「‥‥…一応、僕が今声を掛けています」
「そうだったね……田中君きみ……昨日の飲み会について何か思う所、ある?」
「…………刺身がうまかったなあと」
「ああ刺身! 刺身ねえ!!……そうだよねえ!!! チェーン店にしてはうまかったよねえ!!」
「数量限定で産地直送」
「君がネットで予約してくれた特典だったよねあれ!!!!……ってそういうことじゃないんだよ」
「‥‥‥…」
「もうはっきり言ってくれ」
「はっきり言ってくれよ不快だったって!!! 気持ち悪かったって!!! どうせお前らのことだからネットに晒してるんだろ!!! そして今もスマホで録音取りながら陰で笑っているんだ!!!!!」
「……課長落ち着いて下さい」
「落ち着けるか!!!! そんなに優しい言葉を掛けるってことは!? さてはお前動画も取ってるな!!! 俺がこの体勢でいたら画角が悪くて全身が映らないからまっすぐ立たせようとしてるんだろ!? あれだ、全ては撮れ高のためだな!!! 撮れ高の映えで再生数を稼ぐためだな!!!!」
「……課長、僕youtubeほとんど見ません。見た目から常に流し見しているように見えますが、見ないんです……そして昨日のことは、ただの裸の心と心のぶつかり合いだと思っています」
「嘘吐けお前!!! そういう破廉恥な言葉を自ら使うことで俺の不適切発言を誘導しようとしているなその手には乗らんぞ!!!!!!」
「課長、ならばカミングアウトしますが、実は僕は快適な睡眠のために寝る時は全裸です。仕事中にネットで見たんですけどこうやると睡眠の質が上がるらしいからやってます。……僕が課長を陥れる意思があるとして、このカミングアウト、する意味ありますか? ……さあ仕事に戻りましょう。皆が今、僕達に注目しています。課長の一挙手一動に皆が舐めるような視線を絡め……」
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