5/1 厳しい悪魔
「貴様最近たるんどるぞ」
「え?いや自分ではそこそこ頑張って生きてると思うけど?」
「いやたるんどるぞ。わしの感覚ではたるみすぎじゃ、特にその腹、お前の自堕落な性格が滲み出てけしからん」
「自堕落に見えるんなら別にいいんじゃないの?悪魔感覚では「堕落」は誉め言葉なんじゃないの?」
「言葉は正確に使え。確かに悪魔感覚では「堕落」は模範的な生き方じゃが……わしの感覚ではお前の堕落はけして良い状況ではない。……よいか、堕落というのはだな、元々真面目かつ清廉潔白な生き方をしている者がふとした拍子にするから大変趣があっておもしろいものであって、お前のような初めから堕落し切っている者が更に落ちた所で、大して変わらんからおもしろくも何ともないわ!」
「言ってくれるじゃないの?図星だけに多少心に来るものがあるわ」
「ふん!お主に傷つく心があるとわな。少し見直したわ。だが、どうせ嘘じゃろ。お前の心は外側だけにしか棘がついておらんからの」
「ドリアンみたいなやつね」
「ああそれじゃドリアンじゃ。……今でも思い出したら腹が立つ。生ごみの腐ったようなかぐわしき芳香につられてきてみれば、そこは殺人現場。制服姿で包丁を持ち血だらけで泣いておるお前にまんまと騙され契約を迫ったら今はこのザマじゃ!」
「あれ熱演だったでしょう。あの自主練があったから私田中監督に見初められてスターになったの」
「契約が成立した瞬間に殺されたやつ笑いながら起き上がりよった」
「高校の演劇部の後輩ねあれ。私のこと密かに好きだったんだって」
「それ言うの何度目じゃ!ああ趣味が悪い女優というだけでこんなだらしない女を好きになりよって」
「うふふふふ」
「なにがうふふじゃ! いいい加減服を着替えろ!休みだと言うのに三日連続寝巻から着替えず寝床にひっくり返って過ごしよって。貴様本当に女優か? その前に人間の女か!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます