5/2 病気の勇者
ゴホゴホ……本当は家で寝ていたいんだけど、魔王を倒せるのは俺しかいないんだ。だからどれだけ体調が悪くても、剣を持って這ってでもいくんだ。
弟子の剣士のワルダーを代理で生かせれば良いって? そんな訳にはいかないよ。だってあいつ練習熱心だけど、碌に実戦を経験したことがないんだぜ。
あんな状態で戦わせたら、犬死にもいいとこだよ。かわいい弟子をむざむざそんな目に遭わせるなんて、出来る訳ないだろう。
修道士のアイリスも一緒に行かせれば良いって? だめだめ。アイリスは修道院の一人娘なんだ。院長様からくれぐれも娘をよろしくって頼まれているから、危険な目には遭わせられないんだよ。回復術もね、こう言ってはなんだけど花嫁修業のようなものでかわいらしいもんだよ。花がぱあっと飛ぶから見てくれはいいけどね。
じゃあ魔導士のキュリオーズも行かせて、遠隔魔法で遠くから攻撃すればいいだろうって? だめだめ戦闘はそんな簡単なもんじゃない。だって魔王っていうのは、文字通り魔の王な訳だろう。つまりは魔導士であるキュリオーズの大師匠みたいなもんだ。師匠に弟子が遠隔魔法ごときで勝てる訳がないだろう。なら接近して打てばいいだろうって? だめだね分かってない。接近魔法での勝負なんか、素手での殴り合いみたいなもんだから、余計に経験の差が出るだろう。つまりキュリオーズが魔王に勝てる手段なんか、ないんだよ。
なあこれで分かっただろう。魔王を倒せるのは経験豊富な剣士の俺しかいないんだよ。最悪パーティという形で、先の三人を入れてもいいけどな。ま、危ないから気はすすまないよ。だから止めてくれるな。ゴホゴホゴホッ…‥‥ああしんどいしんどいもう死にそうだ。
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