みんなが言う所によると、ゆう子と私は二人で一人、なんだって。「なにそれ双子ってこと？」って聞き返したけど、にやにや笑って誰も答えない。仲良きことは美しきかなってことなの？それとも、もっと直接的にレズって、言いたいの？

思えば物心ついた時からゆう子と一緒だった。だって家が隣同士なんだもん。同じベビーベッドで寝ていた、はないけれど、幼稚園も一緒、小学校も一緒。小さい学校だったからクラスも一緒で、都会の学校みたいに部活の数も多くないから、消去法で選べば必然的に入る部活も一緒。通学路も同じだから行くときも帰る時も一緒。ここまで来たら双子って呼ばれるのも無理ないよ。「打ち合わせした訳じゃないのに、何でだろうね」って、ゆう子は私の顔を見ながらいつも笑っていた。かわいい。私も顔を見合わせて笑う。いつまでも。レズどころか、手を繋ぐのもドキドキする関係。ゆう子の部屋に呼ばれる度に緊張して、前日なんか全然眠れない。

ねえこの気持ちあなた達に分かる？　分かんないだろうなあ。分かんないから自分達が分かる言葉に当てはめて私達のことを貶めようとするの。

私一生忘れない。黒板に相合傘は当たり前。トイレの個室に二人で閉じ込められて水を掛けられたり、あの世で普通の恋人同士になるために学校の屋上から飛び降りろって、あんた達言ったね。ゆう子は優しいから、泣きながらあなた達のことを許してあげようよって、言った。あいつら人の皮を被った動物なんだよ。動物なんだから語彙力なんか、ないんだって。

……でもさあ、動物なら躾が必要でしょう。人間様に混じって暮らすのなら、なおさら。だから私許すつもりなんか、ないの。とりあえず手始めに喋るの止めてもらおうと思って。だってあなた達動物なんだから人間の言葉なんか話せても、仕方ないでしょう？