概要
組紐屋の養女、透緒子は、あやかしから受けた呪いで左半身を痣に侵され、屋敷の奥部屋で十年を生きてきた。
そんな彼女の元に、帝都を守護する退妖師の四大家、その筆頭家当主、朔灯がやってくる。
朔灯は透緒子の力を見抜き、自分の抱え組師になってくれと申し入れる。だが、透緒子は痣持ちの自分を育ててくれた家に恩を返すため、一生を屋敷の奥で終える気でいた。
諦めの中で生きる透緒子に、朔灯は言う。
「面白い。ならば賭けよう」と。
※※中編コンテスト参加作品につき、一区切りのところで一度完結となります。
※※本作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件・および、組紐伝統工芸とは一切関係なく、どうやら日本でもありません。
※※実際の組紐には、あやかしを封じる力は(たぶん)ありま
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!思わず見守りたくなるお話。そう、これは……親心!
明治日本に似た別のどこか、あやかし、鬼、退妖師、そして組紐!なんだかもうこれだけでありがとうございますと言いたくなるこのお話。
自分の置かれた状況の不遇さを自覚していなかったヒロインが、ヒーローとの出会いで徐々に徐々に変わっていきます。
彼女を変えるのはヒーローだけじゃなくてその周りも。生き生きとした登場人物達が諦めきったヒロインにじわじわ影響を与えるのです。
読んでいるうちにヒロインに対して「もっと欲を持っていいんだよ!」と妙な親心が芽生えます。彼女の味方には「いいぞもっとやれ!」、嫌なこと言う人には「塩蒔くぞ!!」と、見守るどころか口を出したく(?)なるほど入り込みました。
なんだっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!変えるよ。この恋はきっと世界を変えるよ!(予感)
舞台は人とあやかしが住まう桜和ノ國。
あやかしから受けた呪いにより、左半身はアザに侵され、声は老人のようにしわがれている少女、透緒子。八歳以前の記憶がほとんどない彼女は、ある特殊な能力を持っていました。
あやかしが明るい日の下で生きていくためには面隠しと組紐が必要だという設定がとてもおもしろいです。
ヒロインの透緒子は、その組紐を組む組師なんですが、これがまた非常に不憫な境遇でして。けれどそのことに本人が気づいていません。むしろ自分を住まわせてくれていた養親に大恩を感じています(なんてこった)。
そんな彼女も、帝都を守護する退妖師の朔灯や、彼の屋敷に住まうあやかしたちとのふれあい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!組紐が織りなす縁と絆の物語。じわじわ泣けるので読んでください!
不憫で不幸であることの自覚のないヒロインが、ヒーローやその家族によって、暖かくほわほわにされるお話が好きなら、是非、読んで欲しいお話です。
そして。
キャラクターが生きている。
様々なタイプのキャラが登場しますが、皆、いきいきとしていて虜になってしまう魅力があります。
私は作中のとあるマスコット的なあやかしに、すべてを持っていかれました。めちゃくちゃ可愛い……好き。もさもさわらわらいて欲しい。
ヒロインの周りのキャラクター達が暖かく、とても癒されます。
早く幸せになって欲しいという願いと、けれどヒロインが不幸を自覚してしまうのは切ない…という相反する思いを抱かせるお話作りは見事です。
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