第21話 勉強をしよう

 奴隷達を置いて、私は地球へと一旦帰宅した。勉強道具の買い物である。ウォーズの世界は英語圏だったので、文字の読み書きは英語を覚えるだけで良いのだ。

 算数と数学、理科と科学の英語表記の参考書を取り寄せた。そちらと並行して簡単に学べる英語ドリルを用意するのも忘れない。

 おもしろ科学実験セットは私の趣味でもある。きっと息抜きに楽しんで貰えるだろう。

 新しく人数分のノートパソコンを用意した。勿論、パソコンを使って勉強して貰うためである。全員分のパソコンの自宅のWi-Fi設定しチャットソフトを入れておいた。ついでに新古のスマホを購入して自宅のWi-Fiに繋いだ。これでウォーズでも使えるようにするためだ。ドラマ中心のプライムママゾンとアニメ中心のyTVに登録して各々が視聴出来るようにした。スマホには知育系のアプリを入れておいた。ゲームに関しては説明だけして、好きなゲームを各々探せば良いんじゃないかな。

 ウォーズの自宅に帰宅し、奴隷達をリビングに集めた。

 「今日から勉強をして貰う。文字の読み書き算術は勿論のこと世界情勢や歴史も知っておかないとね。世界情勢と歴史に関しては私も分からないから一緒に勉強するよ。」

 テーブルにノートパソコンとスマホを置いて行く。

 「今から使い方を説明するから私の背後に立ってくれるかな。」

 先ずはノートパソコンの電源を入れてパソコンを立ち上げる。チャットアプリ、ネット、WordとExcelの使い方にプライムママゾンとyTVの視聴の仕方を一通り教えた。

 各々に割り振られたノートパソコンで使い方を復習させる。WordとExcelに関しては英字表記の学習本とノートを渡して自主学習をして貰う。

 ノートパソコンの使い方に3時間も時間を掛けたので、昼食は簡単にサンドイッチと手作りドレッシングのコブサラダ、具がたっぷり あさりのクラムチャウダーで済ませた。

 ご飯が終わるとスマホの操作を教える。英語表記に基本設定をしているのである程度は分かるだろう。

 「次はスマホの操作を教えるよ。先ずは地図の見方からね。」

 Googマップを起動させて現在地を把握させる。移動してアイコンが動いたのを確認して使い方を説明した。

 便利だと歓声が上がる中で

 「外で使っても良いけど失くさないようにね。失くしたら借金が増えるよ。これ一つで白金貨100枚だからね。あとロックの仕方を教えるからちゃんとロックを掛けておくこと。」

釘を刺しておく。実際にロック設定させた。

 「次は知育アプリの使い方だよ。」

 実際に知育アプリを起動させて遊ばせる。奴隷達の中では大人の方が知育アプリにハマってしまったようだ。

 ネットの仕方やチャットアプリの使い方、ゲームの紹介などをしてパソコンとスマホの操作は一先ず終わりにした。

 「次は参考書、ノート、筆記用具を渡すから名前呼んだら取りに来て。」

 一人ずつ名前を呼んで参考書とノートと文房具一式を手渡ししていく。字が分からない者達もいるので持ち物にはステッカーを用意した。

 「自分の持ち物にこのステッカーを貼り付けてね。他人の物は使わないように!」

 「これ可愛いわ♡」

 「不思議な絵ですね!」

 「こっちは綺麗な柄だわ。」

 女性陣は和気藹々とした雰囲気でステッカーを物色している。

 「これ恰好良いな。」

 「ちょっそれ俺が狙ってたのに!」

 「取ったもん勝ちなんだよ!」

 男性陣は多少揉めていたが何とか自分のステッカーを決められたようだ。

 大きいステッカーはノートパソコンに中ぐらいはスマホに、小さいのはノートと文房具に貼り付けて行った。

 「明日から午前中は読み書き算術と歴史、世界情勢の勉強、午後はマナーの勉強だよ。」

 そう宣言して解散した。

 各々パソコンやスマホ、参考書で予習をする者、ゲームで遊ぶ者と様々だったが明日からの地獄に備えて頑張って欲しいものだ。



 朝食を終え、リビングにパソコンと参考書を持ち込んで勉強会を始めた。講師は私である。いずれは完全記憶のスキルを持つソフィアに講師をして貰う予定だ。

 「先ずは文字の読み書きからだね。この本の1ページを開いて。」

 アルファベットの書き取りを始め、簡単な単語の書き写しをして文字を覚えさせる。1時間経過した頃には文法を覚えさせた。

 「うぅ…難しい。」

 頭が宜しくないセオドアの泣き言を無視して

 「文法はまだ簡単な物しか教えてないよ。最後のテストに満点が取れなかったら飯抜きだからね。」

ビシバシと厳しく教えて行った。

 飯抜きは嫌なのか皆必死になっている。

 次は科学実験セットで化学の基礎を教えてみた。結構好評で、他のもしてみたいと要望があったので購入したシリーズを次回から試すことにしよう。

 小休憩を入れた後は算数だ。

 「足し算、引き算までは分かるんですが掛け算と割り算が…」

 そうそうに躓いたベラ達誓約アイトのメンバー。それと引き換えに平民の子供達の優秀なことよ。99の歌を皆で合唱して覚えさせた。

 算数の授業が終わり、ソフィアとピーターソン一家に講師をバトンタッチした。アシュヴィッタ王国の歴史と世界情勢を学ぶためだ。

 これには私も苦労した。ウォーズの世界史とこの国の歴史教本でも買いに行った方が良さそうだ。ノートにせっせと書き溜めて後で読み返そう。

 私とソフィアで作った小テストを皆でして午前中の勉強は終わった。

 午後からはソフィアとピーターソン一家に礼儀作法を指導して貰う。立ち振る舞いや歩き方、紅茶の入れ方など多岐に渡る。

 特に元伯爵だったピーターソン一家の礼儀作法は厳しいものがあった。私は人を使う側としての立ち振る舞い方を、奴隷達は主に使える従者の立ち振る舞い方を徹底的に叩き込まれたのだった。

 姿勢一つで鞭が飛んできた。あまり痛くはないけどビックリする。最初は主人に対してその様なことは…と言われ反対されていたが、私が物覚えが悪いし、上達できなかったら困るので多少厳しくてもマナーを身に着けたいと言ったら渋々了承してくれた。まぁ、本気で鞭を振るってないのは分かるので問題はない。抑鬱とした心の発散として鞭を振るった場合は倍返しになるけどね。

 こうして私達は急ぎ足の勉強会を開いたのであった。

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