第23話 秋月(しゅうげつ)オープン
離れと母屋の改装が終わり、母屋の1階と2階が店舗、3階が食事処、4階と5階が宿泊施設に様変わりした。
屋根裏部屋は私専用の自宅になっており、念願の自分だけの風呂が搭載されている。
4階には大浴場、5階にはシアタールームを完備した。食事処の金額は銀貨2枚~金貨1枚、泊りは食事込みで一泊金貨2枚と割高な設定。割高な理由は食事と日に2回上映される英語吹替シアターにある。是非、日本の娯楽を楽しんで頂きたい。因みに日本の電化製品が使えるようにソーラーパネルを屋根に設置し、わざわざ配線工事までしたのだ。日本では配線工事に資格取得必須だが、ここはウォーズの世界!趣味で夜間部の 電気工事技術科を専攻してた甲斐があったもんだ。
1階と2階の商品のディスプレイも終わり、開店を待つだけとなった。
「
持ち場を指示して開店した。
1階は雑貨売り場だ。冒険者をメインとしている。売っている物は塩、砂糖、胡椒などの調味料から便利グッズ、テントや携帯食など様々である。変わり種としては薬局に置いてある薬も仕入れて売っている。地球産の物は効能が飛躍的に上がるので、此方の薬を買うよりも効果があるのだ。英語表記じゃないので、用法容量はパソコンで英語に翻訳した物をプリントアウトして付属している。
2階は洗髪剤や基礎化粧品、化粧品にアクセサリー、服など様々だ。因みに服以外は全部
3階の食事処はキッチンには私とオリビアとクロエ、ホールはアンとベラが担当する。エマとソフィア以外の女性陣には地球産の料理を教え込んだ。勿論、英語表記の料理本も何冊もキッチンに置いてあるし、スマホで
「「「「「いらっしゃいませ!」」」」
オープンと同時に客が店内に入場してくる。
冒険者ギルド、商業ギルド、竜の根城、大商会ヴェニスに店がオープンすることを伝えていたので盛況である。
一階では主に冒険者が物を買っていた。
「店員さん、これはどうやって使うの?」
女冒険者の問いかけにハリーが
「これはチャッカマンといって、こうやって火をつける道具になります。料金は銀貨1枚と安く、燃料が切れるまで何回も使えます。火起こしをしなくて便利ですよ。」
丁寧に説明していった。
「これがあれば火起こしをしなくても良いわね。それにこれが銀貨1枚って安いわ!買うわね。」
「ありがとうございます。」
「他にも冒険で使えそうな物はないかしら?」
「そうですね、テント、寝袋、LEDランタン、折りたたみ キャリーカート何かは便利ですよ。」
庭に用意した実演場でテントなどのグッズを実演して見せて購買意欲を刺激したりした。
「やっぱり、一番は方位磁石ですね。これがあれば道に迷わなくなりますよ。赤いほうの
「これで迷わなくなるのは良いわね。あら、時計も売っているの?いくらかしら?」
女冒険者は時計を手に取りデザインを確認しているようだ。
ハリーが
「腕時計はどのデザインでも金貨1枚にですよ。貴女のような美しい方には此方の淡いピンク色の時計が似合うと思いますが、如何でしょう?」
歯の浮くような台詞で女冒険者を持ち上げた。女性を接客する時はどこか褒めて接客することをルイスより叩き込まれている。得に男性に対しての接客の極意は教わっていない。接客五か条の教えを守って行動するだけである。
売れ筋的に1位が方位磁石、2位がチャッカマン、3位が携帯食、4位がテントと寝袋、5位が腕時計だった。
次に2階の女性向けコーナーでは、最初は人がまばらだった。基礎化粧もない所だからね。来店した女性客を化粧を無料体験して貰った。化粧を落とすことに最初は戸惑ってはいたが、使う洗顔石鹸や化粧水などの基礎化粧品を実感して満足された様子。反応は上出来だと言えるだろう。体験を受けてくれた女性全員が基礎化粧品と化粧道具一式購入してくれたのだ。ついでに服を見たり、アクセサリーを購入したり相乗効果が良い具合で満足だ。洗髪は出来ないので売り子の髪を見て洗髪剤を買ってくれる人がいたぐらいである。あとは口コミに任せるしかない。
私達3階の食事処は冒険者ギルドからの口コミで繁盛していた。安くない金額であるものの、注文が沢山入ってくる。一時的に入場制限しなくてはいけないぐらいには盛況していた。見たこともないメニューなため、一番注文が多かったのは日替わりメニューである。本日の日替わりメニューは煮込みハンバーグと大根とツナのマヨポンサラダ、豆乳ポトフ、カスタードプリンだ。お代は銀貨3枚とぼったくり価格である。ウーロン茶は無料で一杯付いてくるが、二杯目からは銅貨8枚の料金が発生する。ジュース類は銅貨3~5枚、酒類は銀貨3~金貨1枚と酒の方が高い。ウォーズでは考えられない常識だろう。
売れ筋は1位に日替わり定食、2位がオムライスのサラダセット、3位が酒類、4位が親子丼、5位がラーメンだった。
食堂の中にはミニシアターがあり、短編のアニメを放送している。これは宿屋の集客率を上げるためだ。アニメに興味を持った方には4階と5階の宿泊施設へ誘導した。
4階と5階は食事目当ての冒険者やシアター目当ての富裕層の人間が宿泊を希望した。部屋は7割ほど埋まったので初日から嬉しい限りである。
食事は基本的に朝と晩の2食出る。定食ではなくプレートになるためガッツリと食べたい場合は、別途オーダーして貰う必要があるのだ。
シアターは昼の14時~16時と夜の21時~23時の時間帯に放映される。シアタールーム前に時計と上映される演目が張り出されている。
本日は昼に『君の声は。』と夜に『スノーホワイト』を上映した。どちらも好評だった。また見たいと要望を貰ったので、月に一度人気があるのを再上映するのも良いかもしれない。それは皆の意見を取り入れていこう。
シアターとは別に大浴場が意外と人気があった。備え付けのシャンプーとリンス、ボディソープの使い方の手順を風呂場にパネルで設置して解りやすくした。風呂は朝10時~夜の20時までの間の利用になる。それ以外は清掃しているので利用出来ない。
特に風呂は女性に人気があった。
出店する前に出品した物の全ての特許を生産ギルドに申請するのには苦労したが、特許料を支払わなければ真似出来ない仕組みなので安心である。
特許料だけでも生きて行けそうな気がしないでもない。奴隷達には私のスキルや技術、その他全てに関して口外出来ない契約なので、地球産のあれこれの特許は私の物になった。
こうして
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます