ダンジョン都市カサンラカ

第10話 ダンジョン都市カサンラカ

  やってきました、ダンジョン都市カサンラカ!カサンドラよりも賑わっている。

 早速冒険者ギルドへ向かった。

 「すみません、カサンドラの冒険者ギルドから紹介を受けたヒヨリです。」

 カウンターの中にいる受付嬢に紹介状を渡す。

 「え?あ、はい。少々お待ちください。ギルドマスターを呼んできます。」

 彼女はギルドマスターを呼びに行った。ぼうっと待っていると

 「思ったより早い到着だな。あんたが期待の新人ルーキのヒヨリってやつかい?俺はカサンラカの冒険者ギルドのギルドマスターのタオだ。宜しくな。」

見目麗しいエルフの男が声を掛けてきた。

 「執務室に案内する。こっちだ。」

 ステータスを確認するとレベルは73と高い。冒険者だったらSランクに匹敵するだろう。

 「ささ、座ってくれ。」

 ソファーに促されたので遠慮無く座らせて貰う。

 「さて、話はカサンドラのギルマスから聞いているとは思うが、ダンジョンの調査をして貰いたい。その上で余力があるなら走破して欲しい。君に依頼をする理由は分かっていると思うが、改めて説明させて貰うよ。レベル99の冒険者は現在世界で君を含めて3人しかいない。本来なら君はレベルに合わせてSランクに昇格させてから依頼を受けて貰うはずだったんだけどね、実績が無い冒険者をSにすることは出来ないんだ。Cランクからは緊急依頼と指名依頼が適応される。だからこそカサンドラのギルマスはCまで君を引き上げたんだよ。」

 タオの説明は続く。

 「カサンラカのダンジョンで異変が起きていることは知っていると思うが、並大抵の冒険者では敵わなくてね。こちらが用意した冒険者とパーティを組んでダンジョンの調査に向かって貰いたい。これは君に対しての指名依頼になる。此処までで不明点はあるかい?」

 「三組のAランク冒険者パーティの中から選んで良いと言われたが、そのパーティは此処で待機しているのか?」

 ゲーム時代の時はソロでダンジョン攻略していたが、現実世界でソロで単ジョン攻略するのは無謀と思える。だからこそ命を預けるパーティメンバーを知る必要があるのだ。

 「勿論だとも、と言いたいけどね、君が来るのが早過ぎた。彼等はダンジョンに潜っているよ。戻ってくるのは二週間後ぐらいになるそうだ。」

 二週間あればダンジョン攻略の準備が出来るな。一旦自宅に帰って準備をするか…

 「もし合わないと思ったら単独調査をすることは許可されているのか?」

 高ランクの冒険者になるほど、その力を驕る傾向がある。それにゲーム時代ではレベル99は沢山居た。この世界では三人と数が少ない上に冒険者のレベルが低い。足を引っ張られる可能性が高いのだ。冒険者が指定する魔物のランクも低いのが幸いなのかもしれないが…

 「実力を過信することは良くないよ、ヒヨリ君。単独調査は許可出来ない。」

 ニコニコと微笑む彼の目は笑ってない。あっさりと駄目と言われたので

 「……力を過信しているつもりはないが、相手に合わせる努力はしよう。相手側から拒否されたら調査の話は無かったことにして貰えるかな?」

 仮にも一時的にだが命を預けるのだ。最低限信用出来ないと無理だからね。

 「その場合は調査の件は受けなくて良いよ。命あっての物種だからね。」

 「じゃあ、二週間後に顔を出せば良いのかな?」

 「うん、二週間後の朝に来てくれ。その時に彼等を紹介しよう。」

 タオとの話が終わったので、私はそうそうとギルドを後にした。



 私は商業ギルドに向かい家を借りる事にした。私一人なので一番小さい家で安い物件を借りた。一応、ダンジョンに潜るのだから三ヶ月の契約をした。金貨100枚である。宿を借りるのも考えたのだが、人の目が気になるので思い切って4LDKの家を借りてみた。

 家を借りたら買い出しに出かけるのだ!食事は大事だ。この世界の食事は不味い。煮るか焼くしか料理のレパートリーが無い上に調味料も無い。味付けは塩オンリーである。嗜好品などは庶民にの口には入らないのだ。あっても砂糖ゴリなゴリで甘ったるいだけな残念仕様。

 先ずは食器を買いに街に繰り出す。Googマップで評価の高い所を選んで行く。

 「おぉー結構あるなぁ。」

 木製の食器を選んでいく。皿を各種、丼ぶり、マグカップを10セットずつ購入した。これはAランク冒険者達の食器分も入っている。ダンジョンに潜っている間の食事が携帯食だと思うとやる気を失くすからだ。食事はわたし持ちで構わないから美味しいご飯だけは毎食食べたい。

 それにしても木製の食器は百均ひゃっきんより高価だった。平均銅貨3~5枚もする。

 「すみませーん、これください。」

 「はーい!わぁ、沢山買われるんですね!」

 大量に購入する私を見た店員さんは嬉しそうだ。

 「ええ、沢山購入するのでまけて下さい♡」

 ダメ元で値切ってみた。

 「ちょっとだけですからね。」

 店員さんの言葉に言ってみるものだと思った。お会計は合計で銀貨4枚と銅貨2枚だ。やっぱり百均ひゃっきんの方が安いな。

 「荷物はどうされますか?」

 「空間魔法アイテムボックス持ちなので仕舞っていくよ。」

 私は空間魔法アイテムボックスに買い物した品物を仕舞っていく。

 「珍しいスキルをお持ちなんですね。お買い上げありがとうございます!」

 ニコニコと笑顔の店員さんにお礼を言って私は食材市場へ向かった。

 野菜の名前は地球と同じにようだ。そういう仕様なのは有難いが肉は魔物の肉が売られていた。一応、豚や鳥・牛の肉もあるが捨て値である。値段は野菜と肉のどちらも地球より安い。卵は流石に菌が怖いので日本に戻ったら大量購入する予定だ。

 市場をのぞいて野菜を購入していく。大量購入する代わりに値切ったりした。十分に野菜を購入したら次は肉である!肉は捨て値で売られている鳥・豚・牛の肉を大量購入した。魔物の肉も考えたが、私にはヴァラーハとロックベアの肉がある。それに料理に馴染みのある肉の方が良かったのだ。肉は買うよりも狩れば良いと思うしね。

 買い物が終わり借家に戻った私は地球に戻って調味料や酒、アウトドアグッズなどを調達するのであった。

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