第37話 地球から職員を調達してきた

 スラム街は一大商業地区に生まれ変わった。特に食事処のキッチンで働く従業には引き抜き防止のために魔法契約を交わす徹底ぶりだ。

 新作料理を直ぐに他の店に流されたらかなわないからね!あとは他の業種と一緒に3年契約である。最初は半年間の使用期間が設けられる。そこで読み書き算術と一般教養にマナー、武術を習得して各部署に配置されるのだ。自衛団や職人も同じ扱いをしている。

 給与的に自衛団は月額金貨25枚~、巫女や神主は金貨20枚~、職人は金貨18枚~、料理人や売り子は金貨15枚~になる。取得したスキルや販売数によって手当が付くので多い者では金貨50枚以上を稼いでいる。

 秋月あきつき神社が運営する秋月あきつき孤児院には未成年の子供が300名ほどいる。神社の巫女や神主だけでは手が回らないので、孤児院には子供の面倒を見るのが得意な高齢者や女性を職員として雇っているのだ。

 そして待望の学校だ。

 校舎が作られ在籍人数は約1000人収容出来るように作った。内訳は初等科は500名、中等部は300名、高等専科は200名の定員の作りになっている。

 寺子屋では読み書き算術を教わることが出来るが、それ以上の教育を目指す人間向けに用意した。優秀な人材は青田刈りしたいと思う。

 制服は実費だが勉強道具一式は学校側から支給される。学生服を作る店は秋月しゅうげつ衣料専門店と決められており、特殊な糸で秋月あきつき家の家紋が刺繍されているから偽物だとバレるのだ。

 あとは教師陣だ。こればかりは地球で調達しようと思う!地球での生活に疲れた人間を連れて来ようと思うのだ。

 私は地球に戻り自宅のパソコンにて死ぬ前に異世界で教師しませんか?と募集をかけた。こんなのを真に受ける頭のおかしい人材を募集しているのだ。給与は金貨30枚~である。

 募集したのは初等科と中等部は言語教師、数学教師だ。マナー講師と世界史、歴史講師は貴族の子息・息女辺りから優秀な人材を見繕った。高等専科に関しては、経営学、ビジネス基礎学、情報処理を専攻した人物を。また建築家、大工、鍛冶職人、彫金師、デザイナーや医師や看護師など幅広く募集してみた。

 スラム街の街並みが一大商業都市になる様を写真と動画でUPしてみたり、学校の建築をインスタで上げたりしたら効果があった。

 面白半分な人が多いのは承知の上だ。

 送られてきた自己PRを確認して虚偽の有無やスキルチェックをした。目ぼしい人材には私から採用の通知と日本行きのチケットを送った。

 採用通知には地球には二度と帰還出来ない旨を記載してある。



 5月某日14時、成田空港にて200名の外国人の集団が出来ていた。

 「Hello everyone.I am Hiyori Akitsuki, my employer and guide for today. I'm going to move places now, so please follow me.(こんにちは、皆さん。本日の案内役であり、雇い主の秋月あきつき燈由ひよりです。今から場所を移動しますのでついてきてください。)」

 歓迎のプラカードを持ち、大型バスに案内する。4台の大型バスを走らせ竹林公園へ向かった。

 公園を貸し切りにしたので人は誰も来ないはず…

 バスの車内には契約魔法の掛かった書類を皆に配り同意書のサインを貰う。この異世界片道ツアーに参加したのだ身辺整理を済ませておくようにと事前に通達しているので、後からの文句は受け付けない。

 竹林公園に着いたら書類を回収し、サイン漏れが無いか確認した。200名全員OKのようだ。

 「Everyone, we are moving to the world of Wars now. Please note that it is not possible to return to Earth after relocating. Do you have any questions?(皆さん、今からウォーズの世界に移転します。移転した先で地球に帰還することは出来ませんのでご了承下さい。何か質問はありませんか?)」

 私の言葉に

 「Is it really a different world from here? Can't we come back here anymore?(本当に此処とは違う世界なのかい?もうこっちには戻ってこれないのかな?)」

恰幅の良い男性が質問をした。

 他の皆も同じことを思っているのか異世界へ移転するという事を大嘘と思っているのだろう。

 「It's a different world. Well, isn't it a medieval world view with magic? I will never be able to return to Earth again, so please feel free to tell me if you want to retire.(違う世界ですよ。そうですね、魔法があり中世の世界観じゃないでしょうか。二度と地球には戻ってこれませんので、リタイアされたい方は遠慮なく言ってください。)」

 「Do you understand the language?(言葉は通じるのかしら?)」

 最もな女性の質問に

 「The common language is English, so you can communicate. Do you have any other questions?(共通言語は英語なので通じますよ。他に質問はありますか?)」

安心して英語だよ!と答える。他の質問も無いか確認するが特に手が上がらなかったので無いようだ。

 私は空間支配を使って彼等をウォーズの学校内にある講堂へ移転したのだった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る