第36話 王様と公爵の内緒話
スラム街の区画整理はそろそろ終わりを見せてきた。
立派な神社も完成した。鳥居から始まり参道を抜ければ
祀っているのは女神ユーノー、
スラム街の者達で巫女と神主を育てるのには苦労した。勿論、読み書き算術をマスターしている者達で、神聖魔法か聖魔法を習得している者に限り、巫女は神楽舞、神主は祝詞を覚えさせた。勿論、境内の掃除の仕方や神様への接し方など色々と地球の
授与所ではスラムに住む者達の中で裁縫が得意な者達にお守りを作って貰った。お札は
手先の器用な者達にはお守りの指輪や数珠を作って貰っている。
治癒院もドラックストアの薬やポーションや回復魔法を使い分けて対処している。勿論、薬代と治療費は貰う。
スラム街の住人は
スラム街の住人には建てたプレハブに住まう家賃として金貨2枚~7枚、福利厚生(雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、厚生年金保険、出産手当、子育て手当)金貨1枚が徴収される。
こうしてスラム街は見違えていくのだった。
スラム街が様変わりするに辺り、アシュヴィッタ王国の国王とナヴァール公爵が秘密裏に会談をしていた。
「日本国とは…
王の言葉に
「ええ…本当に……あれほどの技術を惜しげもなくスラム街に使うとは思いませんでした。彼女は何を考えているんだ!」
頭を抱える公爵。
「スラム街を解体したかと思ったら美しい建築物が立ち並ぶとは思わなかったぞ!しかも神社なるものでは治癒が安価で受けられると評判ではないか!?」
「各家に風呂を設置することが出来ないから大浴場が各地に設置されたそうですぞ。利用には細かいルールが決められているようですが、無料で開放しているとか…」
有り得ない!とばかりに唸る公爵に
「彼女を何としてでもこの国に留めておきたい。何か良い知恵はないか?」
分かるとばかりの
「爵位を下賜するのは如何でしょう?影の話では彼女は
公爵のアイディアに
「爵位を下賜するのは良いな。しかしいきなり伯爵は無理が無いか?この国でも爵位は買えるが買えても子爵位がギリギリ買えるかどうかってところだろう。」
特産物も無い、落ち目で借地になったリブラ・スプラウト領を欲しがるだろうか?彼女に旨味がないのではないだろうか?
「爵位は彼女の功績で良いのではありませんか?彼女が出した様々な特許で国は他国に追従を許さぬぐらい潤ったし、駄目押しとばかりにスラムの改革です。そして頭痛の種だった
「それもそうか、だが
王の言葉に公爵も功績者が裏組織と繋がっているとなれば糾弾されるのを理解したので、王に同意した。
「元スラム街は今は
「そうなのか?」
王城から出る事が殆どない王としては下町に興味があった。
「今や一大商業都市とも言えますね。学校というものが建築中とのことで、ヒヨリ殿に聞けばこの国の王立魔法学園とは違うそうですよ。初等科、中等部、高等専科に分けられるそうです。初等科は読み書き算術と礼儀作法を学び、中等部では高等専科に入る前の基礎知識と上級作法を学ぶそうです。高等専科は鍛冶・建築・美術・医学・商業の五つに分けられるそうです。大々的に教員を募集していたので、応募も殺到しているのだとか。」
公爵の零した情報に
「……それは凄いな。」
感嘆の声を漏らした。
「影が教材の一部を書き写したのですが、修学の内容は世界最高峰になると予想されます。学費は職についてからの分割返済になるので、就学中の負担は無いそうです。中退や退学する場合は一括返済になるみたいですが、就学後の分割返金であれば通う者も多いでしょう。」
「彼女には手出しせぬように貴族達に通達はしているが、ちょっかいを出す輩が増えるかもしれんな。」
これだけ財を投じる彼女に目を付ける貴族は少なくはないだろう。
王と公爵は彼女が爵位を得たら彼女に近寄る者が多くなるだろうと予測するのであった。
「美の魔法薬だけではなく、薬学に通じていますからね。他にも様々な特許を取得していますし彼女がこの国の経済を支えていると言っても過言ではありません。私が後ろ盾になっている意味を正確に理解している者ばかりではないですからね…彼女には忠告しておきます。」
奇しくも
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