第4話 冒険者ギルドに登録
有休を取得したことで私はこのまま地球にいたらどうなるか実験したところ、五日経過した途端にウォーズの世界に自動的に戻っていた。きちんと私が取っていた宿の部屋にだ。
地球で仕入れた砂糖・塩・胡椒を
私は服を忍び装束に着替えてお昼ご飯を食べに行くことにした。
宿屋の女の子に
「食堂を使いたいんだけど良いかな?」
声をかける。
「ヒヨリさん、ずっと部屋から出てこないから心配してたんですよ!食堂ですね、こっちです。うちのご飯はとっても美味しいから期待してて下さい!」
食堂に案内してくれる少女にお礼を言う。
「おう、嬢ちゃん。いつまでも顔を見せないから心配したぜ。飯なら日替わりメニューが外れがないな。水は銅貨7枚だ。」
店主の言葉に苦笑いを浮かべ
「心配かけてすみません。じゃあ、日替わり定食一つお願いします。」
注文をする。水が銅貨7枚って高いな。エールが銅貨3枚と安かったので
「エールをお願いします。」
エールを注文すると
「子供に酒は出せんぞ。」
断られた。
自分
の姿をそのままアバターにしたので、こっちの世界では童顔に見えるのだろう。
「これでも成人している。」
「あぁ、あんた魔族だもんな。人間とは外見が幼くても成人してるのか?でも罪悪感が沸くんだが…」
酒を出すのを渋る店主に
「子ども扱いしないで貰いたい。エールも頼む。」
不機嫌そうな
「今日の日替わり定食はオーク肉スープにサラダと黒パンだ。」
トレーに日替わり定食を乗せる店主。見た目は質素に見える食事だ。二足歩行の豚を食うのかと思うとちょっとげんなりした。
私は席に移動し食事を始める。
「………(不味い)」
凄く不味い。味が薄い!野菜とオーク肉の出汁がきいているかと期待したが、味が薄いのだ。少し塩味があるが、これは不味い。残すのはプライドが許さないので完食するが、絶対にここでは食べないように気を付けよう。
エールぐらいは美味しいのであれと思って飲むもエールも不味かった。
「お、隣良いかい?」
トレーを持ったおっさんに声を掛けられた。
「構いが。」
「ありがとな。ここの飯は美味いだろう!俺も日替わり定食なんだ。」
おっさんの言葉に私は愕然とした。この不味い飯が美味しいだと!?冗談ではない。美味いご飯は生きる糧なのだ。ご飯が不味いとは人生真っ暗である。
「そ、そうなのか。もしかして冒険者か?」
話題逸らしとばかりに違う話題を振れば
「おう、Cランクの冒険者さ。ここは飯が美味いからそれを目当てで食堂に来る奴がいるくらいなんだよ。カサンドラは良いところだぞ。そこそこ栄えているし、少し足を延ばせばダンジョンもある。それなりに実入りの良い仕事に有り付けるからな。」
ベラベラと喋ってくれた。中々優良な情報をありがとう。そこそこ栄えているなら塩などを卸しても大丈夫だろう。
「ご馳走様。」
私はトレーを持ちテーブルを後にした。
私は今、冒険者ギルドにいる。
「登録したい。」
「未成年は登録できませんよ。」
「もう成人している。」
このやり取りがループしているのだ。冒険者にならなくてもダンジョンをクリアすれば良いのだが、クエストは何故か冒険者ギルドでしか取り扱ってないようだ。狩ったモンスターの買い取りも一般だと値が安くなるし、解体は行って貰えないという。
こんな事ならゲーム時代に冒険者登録をしておくべきだった。
「何を揉めてる?」
50代ぐらいの男が受付嬢に声をかけた。
「あ、ギルマス。この子が冒険者登録したいと言うので未成年はお断りしていると説明したんですが、まったく聞いてくれないんです。」
「ステータス確認すれば良いだろう!何故確認せずに未成年だと断言するんだ。私は成人していると何度も言っている!私は魔族だ。人族の幼子と一緒にするな!」
「ふむ、その子の言う通りだな。ステータスは確認したのか?」
ギルマスと呼ばれた男の言葉に受付嬢はバツの悪そうな
「いえ、してません。」
「お嬢さん、すまない。今ステータス確認をさせる。こちらに手を置いてくれるか?」
拳ぐらいの水晶に手を置いて欲しいと言われたので、その通りにする。
ブンと表示された(私の都合の良いように偽装した)ステータスを見て驚愕するギルマスと受付嬢。
「レベル99だと!?しかもジョブが忍びとは!!」
ギルマスのその一言にギルド全体が騒めき出した。
「成人していることは解ってくれたと思うが、私は登録できるのか?」
ギルマスに聞けば
「勿論だとも!何故今まで登録しなかったんだ?」
疑問をぶつけられた。
「今までは必要が無かったんだ。しかし今後は獲物を狩っても解体する技術がないから解体をしてくれるギルドに登録しようと思ってな。素材買取もしていると聞くし、登録した方が良いと思ったんだ。」
「そうか、しかし高レベルのお前さんをFランクから始めさせるのは…」
ぶつぶつと呟くギルマスに
「私は別にランクがFからでも問題はない。地道にランクを上げれば問題ないからな。」
別に気にしないと言えば
「ギルド側の問題だ。高レベルの人材を遊ばせているほどギルドには余裕がない。一度ランクをFで登録して昇級試験を受けて貰おう。」
思いがけない提案をされた。いきなり昇級試験とか大丈夫か?ゲームではなく現実なのだ。体がきちんと動くか確認したいし、いきなり高ランクにされては困るのだ。
「それは構わないが、数回はFランクの仕事を熟してからにして欲しい。」
そう伝えるとギルマスは不思議そうな
「分かった。先ずは登録をしよう。簡単な任務をいくつか受けてくれ。そうだな、一週間後に昇級試験をしよう。それで良いな?」
あっさりとOKが出た。
私は銅色のギルドカードを受け取り冒険者ギルドにある図書でモンスターの生息地の確認や薬草採取の群生地などを確認してギルドを後にした。
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