第35話 島流し

 宇久島は流刑地としては一次離島なので便利が良すぎですが、左遷先としては容易に呼び出せるだけ好都合でしょう。

 さて、今回は私の勤め先の元請け企業、その責任者についてです。

 思い切り「特定の団体、個人を非難する内容」です。権利を侵害したり差別したりってことはないので、ガイドラインには抵触しないはず。

 ノリとしてはダンナの文句を言う奥様的な感じのものなので「あー、ウチにもそんな上司いるわぁ」って感じで軽く読んでくださると助かります。


 福岡本社の企業で部長待遇だった責任者Kさん。年齢は50代後半でしょうか。直接の接触機会は月に数回しかありませんが、それだけでも「ああ、この人は島流しにあったのだな」と気付いてしまう。

 初めに衝撃を受けたのは、その下品さ。

「風俗店で、従業員に懇願して本番を強要するのが面白い」などと自慢気に言います。もっと下品な言葉を使ってね。ビックリです。

 そして、その元請け企業、70歳前後の島民方も多く働いています。

 Kさんから見たら全員が部下なわけですが、年齢的には先輩だらけ。

 その中のひとりを「まーにいちゃん」的な(実際は違いますが)呼び方で呼びます。島の人は多くが下の名前で呼び合うのですが、それを真似しているのでしょう。しかし、島の人であってもオフィス内で勤務時間中に部下に対してそんな呼び方する人はいません。陰で笑われておりますよ、Kさん。

 呼び方ではもうひとつ。30話に出てきた同僚Yのことをどう呼ぶかというと「お前」なのです。

 ひえー、怖い怖い。誰に対しての虚勢だか。

 もしも私に対して「お前」なんて言ってきたら、土下座謝罪するまで口撃しますね。


 さて、改行を挟みましたが、まだあります。

 ネットの情報大好きKさん。

 新しい機械を導入するとき、YouTubeでその性能を調べます。そしてそれを鵜呑みにします。

 あの年代にしてはビックリするくらいネットの情報大好きなのです。私たちの感覚では、ネットの情報をそのまま使うのは恥ずかしいですが、Kさんは違うのだなあ。

 それを証明したのが「お前(同僚Y)のいい所は、何か新しい言葉を耳にしたらすぐググるところだよ」という言葉。

「ネットで調べて調べた気になるな」というのが普通の上司っぽい言葉のような気がするよね。自分の頭で考えずにすぐネットに頼るんだよ。その行為を褒めるということは、自分もそうなんだろうなあ。


 最後に、とにかく仕事をしない。

 事務所を「現場見てくる」と言って出て、現場に居る私たちの目には触れない。一体どこに行っているのか。

 観光客に声掛けている姿を目撃されたこと多数。

 何故島流しにあったのか、なんとなく想像できちゃうね。多分定年までここに居るんだろうなあ。

 そんなKさんの下で直接働いてなくて本当に良かった。もし直接の上司だったら、その会社を即辞めていただろうな。

そういう意味では、本当に私は運が良かったのだと思うし、反面、紙一重だということ。

ひとつどこかで間違えば、私はいつでもストレスに負けて今の状況に耐えられなくなる。やーねー。

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