第4話 宇久島に見つけた仕事と居場所

 さて、この文章を書いている現在、引っ越しの荷物を全て纏め、段ボールに詰め終わり、宅配業者の集荷を待っている段階です。

 荷物の送り先は、佐世保市宇久町。

 九州以外に住まわれている方の多くは、長崎県すらどこにあるか知らない方も多いでしょう。佐世保なんて、ハンバーガーとハウステンボスの印象しかないかもしれません。

 ましてや五島列島ともなると、北方領土だと思っている人も多いらしいですね。なんてことだ。

 佐世保市宇久町というのは、佐世保市に属してはいるものの、五島列島の最北部の島なのですね。何かの地図アプリで場所はご確認ください。地図帳で見ても良いよ。


 場所は分かりましたか?

 ちなみに私の出身地は、各所のプロフィールにある通り、長崎県西海市です。

 まあ、宇久島も近いと言えば近い、かな? 直線距離では。

 場所が把握できましたら、宇久町、または宇久島でネット検索してみましょう。

 何がでました?

 灯台? きれいな海と砂浜? かわいらしい仔牛?

 それとも新しい事業?


 ちょっとここで数字を見てみようね。

 

 2007年4月の宇久町人口は、世帯数1,515(100,197)・人口2,894人(254,176)

 2023年2月の宇久町人口は、世帯数1,023(103,455)・人口1,744人(236,317)

  ※( )内は佐世保市全域。

 人口は当然のように減ってますね。過疎ってます。

 佐世保市の世帯数が増えて人口が減っているのは、核家族化、単身世帯の増加なのでしょうが、それにしても人口の減少と世帯数の増加のバランスが妙ですね。全国的にこんなものなのかな? ま、いいか。


 2020年の国勢調査時の年齢分布も見てみましょう。

 総人口1,888人

 0-4歳  28人  5-9歳  34人

 10-14歳 29人 15-19歳 26人

 20-24歳 12人 25-29歳 22人

 30-34歳 42人 35-39歳 45人

 40-44歳 67人 45-49歳 72人

 50-54歳 81人 55-59歳 134人

 60-64歳 195人 65-69歳 288人

 70-74歳 220人 75-79歳 176人

 80-84歳 183人 85-89歳 136人

 90-94歳 78人 95-99歳 16人

 100歳以上  4人


 思ったより子供たちも多いですね。

 90歳以上が100人弱いらっしゃることも驚きですが。四十名入居できる老人ホームもありますからね。離島で過疎地域といっても、一定の利便性はあるのでしょう。

 生徒数が少ないとはいえ、学校も小・中・高とありますし。


 そして、生計を立てている産業ですが、意外と一番多いのは第三次産業で、サービス業のようです。観光の島なんですね。

 移住者の多くも、この飲食店などのサービス業を始めるパターンでしょう。

「観光できて惚れ込んで、ここで自分の城である店を持ちたいと思った!」

 というふうに、お金と体力とやる気とコミュ力に満ちた人が来るわけです。

 で、あとは昔からの漁業や酪農の第一次産業が続いて、公共工事の落ち込みで第二次産業は一番の少数です。

 ……と、いうのはちょっと前の話。


 メガソーラーって耳にしたことありますでしょ?

 Twitterとかで見た、なんて人は、きっとかなり隔たった意見しか目にしていないでしょうね。

「太陽光発電は再生可能エネルギーどころか、環境を破壊する!」

 ……へぇ。

 で、過去の極端な例の一部の側面とかだけ見て、隕石が落ちてくるかもしれないから地上は危険っていうレベルの論理で危険性を話していたり、エネルギー問題なんて存在していないかのように「景観」を不可侵領域のごとく論じたり。

 チャレンジしようよ。今の厳しい状況で、未来を進む突破口を見つけるまでの数少ない道なんだから。


 と、ここで宅配業者が、私の引っ越しの荷物(段ボール七箱)を集配に来ました。

 一万円行かなかったぜ。良かったよ。ほっとしたよ。ペイペイで払ったよ。でもペイペイのくじ外れたよ。


 話は戻って産業の話。

 第二次産業が衰退した島で、新たに始まるメガソーラー事業。

 当然島外から人を集めなくては人手が足りません。

 はい、そこのあなた。私もそれで島に行くのだと思ったでしょう?

 一時的に不足する作業員として島で働くと。

 それが違うんですよね。

 私が属すのは第一次産業。農業です。ですが、メガソーラー事業と無関係でもない。

 うーん、これ以上細かく話すとアレなんで(どれ?)、私の勤めの内容についてはこのくらいにしときましょうか。


 いづれにせよ、ですね、仕事はある!

 ああ、ここまで長かったな。ごめんなさいね、余計な数字とかも出しちゃって。


 そして、宇久島の市営住宅に空きが出たというのも、この島が変わろうとしている時期、奇跡のようなことなのです。

 元々宇久町は離島であり、過疎地域であるので、一般の市営住宅より、その利用者の制限が緩いんですね。住宅に困窮している必要はない。言ってしまえば、住みたい人は誰でも住めるんです。


 さて、市営住宅抽選申し込みの日。

 私は会場が開いた三十分後ぐらいに行きました。そして書類を提出。

 そのあと、係の人から私の「番号」をもらうわけですが、その番号は「2」でした。

 つまり、もう既に他の申込者がいたということ。

 さすが五島。移住したくても人気がありすぎて、住む家の供給が追い付かないとも言われているだけある。過疎地域なはずなのに。どっちやねん。


 結果から言えば、この市営住宅の抽選は外れ。

 せっかく仕事見つけたのに、住むところが……。

 実はある。うん、あるのだ。

 その会社、寮と社宅がある。

 もうね、逆に市営住宅外れて良かったですよ。

 だって、冷蔵庫とか洗濯機とか、市営住宅なら買わなきゃいけなかった。あ、奈良で借りている部屋は、家具家電付きの物件なのね。だから、持っていける家電なんてはなから持っていないのよ。

 で、家具家電以外にも、いわゆる敷金礼金とかもいらないわけで。

 保証人が要らないのもいいね。


 さて、今後の私の予定ですが、3月7日に長崎入りして、役所や警察署を回り、各種住所変更手続きを済ませ、実家に一泊し、翌8日に宇久島に渡り、当日と翌9日はゆっくりと休み、10日から仕事を始めます。

 まあ、9日は今さっき宅配業者が持って行ったダンボール七箱が届くので、その荷解きなどしなくてはいけませんが。

 あとね、島内の移動手段が今のところ私の両足しかないのよ。

 一番欲しいのは軽バン。軽トラでも可。無理ならとりあえずスクーターか。

 島の北部に釣り道具を積んでいく手段が欲しいよー。


★次回は番外編「光回線がない宇久島! ネット環境はどうする?」

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