第38話 島流しKさん、危機一髪

 元請け責任者のKさん。危なかったです。

 何が危なかったかって、私に怒られる一歩手前でした。

 いや、怒ってますけど、その怒りを外に出さなかったのでセーフですね。


 さて、話は二日前の金曜日のこと。

 もう面白いほど全従業員に呆れられているKさんが私の同僚(班長)とお話をしに来ました。案の定叱責されるKさん。それでも最後には笑い話にしてやる班長の優しさよ。

 その叱責された後に部屋を出てきたKさん。私の姿を見つけ寄ってきます。ヘラヘラしながら。

「西野ちゃんは大特のスケジュール貰った?」

 ここでいう「大特」とは大型特殊免許のこと。11日から15日までの日程で本土に渡り実家から自動車学校に通うのですが、その自動車学校の受講スケジュール。

 返答は「まだ頂いていません」なのですが、この時の私は確実に顔が引きつっていましたね。

「西野ちゃん」だあ? お前誰だよ。何様だよ。友達かよ。って感じです。

 Kさん、これだけでは終わりません。

 口頭でスケジュールを簡単に話し始めます。

「11日の朝の高速船で佐世保に行って」

 おい、ちょっと待て。

 私はあらかじめ、高速船ではなくフェリーでの移動を希望すると事務員に伝えていました。なのに高速船だとお?

「いや、私はフェリーが良いのですが」

 と言いながら、心の中では「話聞いとらんのかワレ」と思っております、この段階。

 私の「フェリーが良い」発言を聞いたKさん。

「えー? 高速船が良かろう? 3時間以上も船に揺られるの?」

「ええ、私は高速船は好きではないです」

「確かに高速船は欠航のリスクはあるけど。変わっとるねえ」

 はい、出ました。「変わっている」発言。

「はあ? 変わっとるって何がじゃボケ。何でも自分の尺度で考えとんじゃねえぞ。わしから見りゃお前の方が変わっとるんじゃ!」

 と、心の中で思いながら「ええ、フェリーでゆっくり横になって行くのが好きなんです」と多分笑顔で返せていました。

 ちなみにKさんは私の障害のことも病気のことも知っているハズです。いや、私も直接言って説明したことありますから、知っています。その上で「変わっている」と本人に言うKさん。

 危ない、危ない。もう少しで襟元掴んで持ち上げちゃうところでした。危機一髪です。私がね。


 さて、市営住宅の方はまだ連絡来ません。

 本当に入居できるのか?

 できたとしていつからなのか?

 続報をお待ち下さい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る