第21話 核のゴミ最終処分場とかメガソーラーとか

 長崎県対馬市では現在、高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)最終処分地選定に向けての第一段階、文献調査の受け入れについて市議会特別委員会で話し合われている。話し合われていると言っても、その委員会で出た結論に関係なく市長の決断で調査依頼をするかしないか決まるのだけれども。

「調査するだけで20億円」

 という人参は、過疎を止める手立てがない対馬(『馬』の字に掛けているんですよ、という解説が虚しい)には魅力的なのかも知れない。

 しかし、もう既に今の段階でも風評被害というものが発生しているらしい。

 信憑性低いなあ。「風評被害」と言っている人たちが「新たな風評被害」を生んでいる一面もありますし。

 まあ、私は外の人なので考えを巡らせることはあっても、意見はしません。当事者がしっかり話し合えばいいことです。


 一方宇久島では、メガソーラー事業が開始して約10年ですか。主に海底ケーブルが及ぼす漁獲への影響を懸念する漁協の反対で工事が進んでいない様子。島内での準備工事はゆったりと進んでいますが。

 そもそも脱炭素、化石燃料の枯渇等、環境面での対策として進められている再生可能エネルギーの普及。

「太陽光パネルは環境を破壊する」と、一括して全てに反対する一部の意見は置いといて、「景観を損ねる」「緑地が減少する」なんてことも言われますね。

 景観については「手付かずの自然こそ正義」ならば人は都市部へ全て移動すべきってことになっちゃうし、緑地については、宇久島のケースでは当てはまらない。なんでも元々休耕地を借り上げ、パネルの下で牧草を育てるみたいなんで。島内には70程の繁殖酪農農家があって、パネル未設置でも借り上げた農地で営農して収穫した牧草は市価の半額程度で売っているそう。

 で、そのメガソーラー事業(設置工事)を行う合同会社の広報紙が島内各家庭に配布されました。


 ここからが本題。


 その広報紙。文章が非常に残念なのです。

 そもそも広報紙なんて、一般的な事業では各家庭に配りません。

 それでも広報紙をコストをかけて配るのは、件の事業が島民の生活や経済活動、感情への影響を考え、また、誤解による反対意見を減らすため、耳障りの良い言葉を書き連ねるのが目的でしょう(たぶん)。


 残念その1:興味のない方々には面白くもないかも知れませんが、牧草の生育試験のためにパネルを先行設置だけして、発電は行っていない箇所があるのですが、その育成試験についての説明が国会答弁っぽいのです。

 まず三月に配布された前号の文章を見てみましょう。こちらはホームページにも掲載されています。リンクは貼りませんが。


(略:各種データの取得に関しての説明文)今後、取得したデータを基に、分析と対策を行う予定です。(広報紙第12号より引用)


 で、今回配られた13号。


(略)収穫作業の検証を行いました。

 牧草の育成に関しては予想を上回る結果を得ることができましたが、課題も確認できました。

(略)今後の改善策の検討に活かして参ります。


 どう思いました?


「予想を上回る結果」

 おいおい、予想って誰の? 予想を限りなく低く設定していたのなら、そりゃあ上回るだろうし、なんの意味もない報告ですね。


「課題も確認できました」

 説得力ない。小学生の書く社会科見学の後の文章のよう。テンプレートから外れない。「いい結果だが問題点もあった」なんて報告は枕詞のようなもの。その先が説明されて初めて意味が生まれる。


「今後の改善策の検討に活かして参ります」

 今後の改善に活かせよ。策の検討に活かしてどうするん? 事業者当人が採取したデータだろうに。


 残念その2:ご機嫌伺いが下手クソか?


 こちらも近々ホームページにも掲載されるのでしょうが、敢えて記事全文を引用します。


 見出し「小中高合同海岸清掃に参加しました」

 以下本文

 6月15日(木)に大浜海岸で行われた小中高合同海岸清掃に、ボランティアとして参加しました。

 学生・児童の皆さんの一生懸命な姿に触発され、私たちもそれに負けないよう海岸清掃に取り組みました。

 今後も、海岸清掃をはじめ各種ボランティア活動に参加して参りますので、引き続き、ご協力賜りますようお願い致します。(広報紙第13号より引用)


 まず、ボランティアボランティアしつこい。

 子供の当たり前に活動する姿に触発されるまでは遊んでいたのか?

「それ」という代名詞が相応しくない。

「ご協力」とは何に協力して欲しいのか分からない。事業か、ボランティア活動か。


 対馬の核のゴミ問題には口出ししないと書きましたが、こちらのメガソーラーに関しては言いますよ。


“ポーズ” が見苦しい。


 正当な経済活動なのだから、もっと堂々としていればいいものを、自分の言動で行動制限しているように見えるし、とても信頼できるものではない。人間、正直に生きて欲しいものだ。でなければ信じろと言っても無理だね。


 と、今回はネットやツイッターで検索すると必ず出てくる触れずにはいられない問題に関してちょっとだけ(?)書いてみました。

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