第10話 勤務開始一週間

「慣れ」

 そんな言葉が見え隠れ。

 日本語には当然のように、ひとつの単語に複数の意味が存在しますよね。

 慣れる。

 この言葉を聞いて、いい印象の方が強いですか? 悪い印象の方が強いですか?

 私は、どうしても悪い印象の方が強く感じてしまうのです。


 第三者から質問された場合はこの限りではありません。

「少しは慣れてきましたか?」

 と聞かれれば、笑顔で返します。

「はい。おかげさまで」

 そのひと言の後、不安点や疑問点を上げればいいのです。

 ただ、最初のひと言は相手を安心させたいじゃないですか。


 さて、悪い印象を感じる場面ですが、それは心構えの点ですね。自分自身の。

「慣れがあったんじゃないか」

 何か良くないことを起こしたときに、そう自分自身を疑ってしまうのです。

 あ、ちょっとこの文章、文法的な解説を書きます。最近以下の創作論で扱ったので。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654207270000/episodes/16817330654208409482


 はい、すみませんね、思い切り話の腰を折りまして。離島暮らしも何も関係ないのにね。


「何か良くないことを起こした」

 という文章の主語はなんでしょう?

 はい、正解は「私」です。省略されていますね、主語が。

 それはいいとして、主語が人間なので、述語が「起こした」となっているのです。

 もし、文章が次のようになっていたとします。

「何か良くないことが起こった」

 この文章の主語は?

 はい、この場合は「何か良くないこと」が主語なんですね。

 これは物事が主語なので、述語が「起こった」となるわけです。おもしろいねえ。


 何の話でしたっけ?

 ああ、慣れです。

 生活のサイクルに慣れてきまして。はい。

 仕事が終わった後に、ちょっと釣りしておかずを増やそうか、なんてこともできるようになりました。

 えー、この場合の「できる」は、可能性を表す言葉で、ってもう文法はいいって?

 うん、でもね、仕事帰りに釣りはできたけど、おかずは増やせなかったよね。まだ釣り場と釣り方と季節が上手くマッチできてないみたい。

 これからの試行錯誤も釣りの大きな楽しみのひとつです。


 そんな仕事も釣りも、「慣れ」から「飽き」にならないように、自然との対話を楽しんでいきたいですね。

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