収穫祭 【VS国家魔道士】

息を殺す…もしかしたら見つかってないのかもしれない


そんな淡い期待をよそに


「そこに居るのは分かってる、諦めて降りてこい」


クソっ…なんで…どうすれば…


「【魔法弾マジックミサイル】」


魔法使いの手から弾が飛び、ツリーハウスの土台の木に命中


バキッバキッバキッ

床がぐらつく


「次は家の方を狙う」


完全に追い込まれた…


スピカはまだ起きてはいない…


寝顔をみて覚悟を決める


呼吸を整えてゆっくりと階段を降りていく。


「逃げた子供ってキミだったのか」

冷静に周りを観察する

男爵の魔法使いと盗賊が2人か…


「もう1人はどうした?」


「ここにはいない!先に逃げた」


「かっこいいねぇ、お姫様を守る騎士か、いや魔法使いか」


「何を言ってるんだ?ここには僕しかいない」


「ははははっ、キミさぁ?何でボクがここまでピンポイントで来れたのか分かってるの?」

「…」


「【索敵エネミーサーチ】って便利な魔法があるんだよね」


「っ!!」


索敵エネミーサーチ】名前の通り敵の位置を把握する呪文、使用者の魔力によって範囲が異なる。


でも


「【索敵エネミーサーチ】は上級魔法のはず、それに範囲だって」


「勉強熱心だねー、そう普通の魔法使いなら君達は逃げれた。でも僕は国家に認められた魔道士だからね♪残念でしたー」


「なんで!?なんで?国家魔道士が村を襲うんだよ!」


「ボクはお金目当てかなー?他の理由は男爵に聞いてよ、でそろそろいいかな?投降するなら痛い目に合わないで済むんだけど」


「金って、ふざけるなっ!魔法使いなんだろ?魔法は人を守るためにあるんだ!」



「うるさいぞ」

軽い口調から急に凄味を聞かされ、怖気おじけ付いてしまう。


「お前ちょっと本の読みすぎだよ、

その格好ガルマニック騎士団のセラムだろ」


「ガるマにック?なんすかそれ?」

後ろの盗賊が尋ねると

「学がないなぁ、これだから脳筋は…御伽話おとぎばなしだよ!綺麗事ばかりのね」

「すんません、ところでラスティさんそろそろ…」



来るか!?木槌を構え、臨戦態勢をとる。


「ふふっ……魔法使いがハンマーって、

そうだ!いい事思いついた!キミが僕に血の一滴でも流すことができたら、2人共見逃してあげるよ♪」


思ってもみない提案に表情を変えず

「本当…か?」

と冷静を装い返事をする。


「本当だよ♪」


「ちょっと!ラスティさんふざけないでくださいよ!?」

盗賊が止めようとするが…また凄みをきかせ

「喚くな……ボクが負けると思ってるのか?」

「いや…」




「じゃあ魔法使い君始めようか!

よーいスタート!」



開始の合図とともに、ダッシュ!

相手との距離は15メートル、まずはふところに入らないと


「ふふっ【魔法弾マジックミサイル】!」


チュン!チュン!チュン!と飛んでくるを弾を軸をずらしながら走り回避する。



弾速も目で追える。

5メートル、4メートル、3メートル近づいていく。


「危ないなぁ、これならどうかな?

魔法弾•拡散スプレッド】」


ドドドドドドドド

と小さい魔法弾マジックミサイルが無数の花火のよう僕に覆い被さる。


「ぐっ…う゛ゔゔゔゔ」

小さなジャブを何発も貰っているようだ…


これならなんとか耐えれる

まだ倒れる訳にはいかない

歯を食いしばり


2メートル



1メートル






いまだ!



「くらぇぇぇぇぇぇ」


わざとらしく声を上げ


バーガンの木槌を思い切り振り上げ全体重でラスティの顔面を目掛け叩きつける。


防護壁プロテクト



バキッッ!木槌が砕ける


それと同時にラスティのニヤつく顔が見えた…










屋敷にいた頃にクラウス先生から教えてもらったことがある。


『魔法使いたる者、相手の接近を許してはいけません、それだけで2流です。

ですがもし懐に入られてしまった場合

防護壁プロテクト】などで回避しますが、必ず体全体を守るようにしてください。

接近戦に慣れていない者は一部だけに魔力を集中して、足元がおろそかになってしまいます。』




そう


足元!


囮の木槌から手を離し




勢いよく足払いを仕掛ける。


「なにっ!?ぐっ…」




すっ転ぶラスティ


だけど



僕も勢いあまって転んでしまう。



早くたつんだ!

お互い立ち上がりながら


僕がナイフを構えるとラスティと目が合う


僕の方が少し速い

近距離ならこっちにがある


「ゴミの分際でぇぇ!【火球ファイアボー…】…」


火球ファイアボールの発射までのチャージ中


僕は片手にナイフで突進しながら

もう片方で無数の釘を投げつけた。


「くっ…」


隙が1秒だけ生まれる

それだれあれば充分だ



「うぁぁぁぁぁ」


軸をずらし、ラスティの伸ばしている腕の肘から肩にかけてを斬り抜ける!




かなりの手応えがあった!




勝った!



振り返ると下を向いているラスティの左手腕からボダボタと血が地面に滴り落ちている。




「僕の勝ちだ!」



そうハッキリと言った。



































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