奴隷オークション 【来場者達】
クラウス・バロウズ、37歳
僕の元父様、七賢者オーガス・サンファーナルの片腕
とても研究熱心で魔法に
そしてとても優しい僕の魔法の先生だった…
なのになんでここに!?
カモミールがクラウスに気づいたみたいで
「あらぁ〜炎帝の
「これはこれはご無沙汰しております」
「今日は炎帝はいないんだぁ〜つまんない」
「オーガス様がよろしくお伝えくださいとおっしゃっておりました」
冷静な対応、昔の先生と変わってないな
「はいはい
「貴方にではありませんよ、バンコスカス殿にですよ」
「チッ…」
カモミールが舌打ちをする
「前言撤回、ちょっとは面白くなったじゃない、お父様に伝えておくわ、フンッ」
コツコツとハイヒールを強く慣らし去っていくカモミール
残されたクラウス先生は
「すみませんねぇ、血の
ニヤニヤと嫌味な謝罪を周りの盗賊にする
「いえいえ
そう言うしかない盗賊をよそに
「では私も会場に向かわせていただきます」
歩き出す先生
今声をかけたら助けてくれるだろうか?
思考が錯綜し身体が固まってしまう
先生の視覚に僕が入った
…
…
通り過ぎ会場へ向かっていく
顔に包帯巻いているし、もう3年も会ってないんだ、分からなくて当然だ。
こんなとこに僕がいるなんて思わないだろうし…
ちょっぴり寂しくなった…
同時にそんなもんなんだとも思った
感情に浸る間も無く勢いよく従業員達が動き出す!
僕も戻らなきゃ
「カイン遅ぇぞ何やってたんだよ?」
「来客に捕まって…」
「まぁいいや早く酒作れ、なんかワインカクテルはお前が1番上手く作れんだからな」
ルッツに急かされてカウンターに戻る
だいぶ混んできたな、客層も身につけている服装や貴金属などで貴族が増えているのが分かる
従業員達が急ぐわけだ。
僕はワインが苦手な人にも飲みやすいようにオレンジジュースやレモンジュースを混ぜてカクテルを作っていく、これもタリックおじさんから習ったものだ
「おい、そこの子供!!」
ぶっきらぼうな声がかかる
「はい!」
少しイラつきながらも笑顔を作り振り返ると
そこには僕と同じくらいの男の子が3人
「なんでしょうか?」
「お前、酒を作れ!」
未成年が面白いことを言うなぁ
笑顔で
「失礼ですが、お客様はまだ年齢がその子供には…」
するとムスッとした顔で
「子供に子供って言われたくない!」
「いやでも…」
「お前この方を誰と思ってるんだ
アルファナム伯爵のご子息のフリット様だぞ」
取り巻きの子供が説明してくれる
もう伯爵が来ているのか
「フリット様、まだかしらー?」
向こうのテーブルから女の子達が呼んでいる
「早く作れ、苦くない酒をな」
大体察したこいつは見栄を張りたいんだ、僕も男だそれくらい分かる、それに断って
「かしこまりました」
お酒が弱い人間にも楽しんで貰えるカクテル
僕はおじさんに教わった通りの配分でワインとジュースを3種類混ぜていく
「どうぞ」
グラスを出すと
「おいベント、お前先に飲んでみろ」
「はいっ!?僕ですが」
「早く飲め」
「はいっ!!」
取り巻きがグラスに口をつけると
「うっ…うまい!…けどちょっと苦いぃ…」
「貸せっ…」
今度はフリットが飲むと
「ギリギリ合格だな、貰って行くぞ
あとジュースを5つテーブルまで持ってこい」
どこまで嫌味なやつ、これでも弱めに作ってやったのに
「かしこまりました、少々お待ちください」
ジュースをお盆に乗せて持って行く
「あら、ありがとうございます」
「シンシアこんな奴に礼なんていわなくても」
「いいじゃないの、減るものじゃございませんし、それよりフリット様お酒はまだやめたほうが…」
「アルファナム家の男を舐めるなよ!
行くぞ…………ぅぅぅぅっ……ぷはぁぁぁ」
「さすがはフリット様!男らしい」
「フリットさま素敵!」
テーブルの皆が歓声をあげる
「まったく子供ね…」
シンシアがぽつりと呟く
能天気なフリットに僕も苛立ちを覚えながらカウンターに戻ると
「おらカイン!お前サボってんじゃねーよ!ったく目を離すとすぐどっかに行きやがって」
雑に怒られた、そしてまた仕事に戻ると
「皆さんしばらくお待ちください」
壇上の視界が笑顔を合図をすると
自然と談笑の声が止み
皆の視線が入り口の方に向く
空気が変わる…
闘技場の入り口の牢屋からコツ…コツ…
コツ…
何だ
不気味なのはみんな笑顔なことだ
緊張して笑顔がぎこちないのもいるが
そして…奴が姿を現した!
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