奴隷オークション 【金帝】

金色のコート中には黒の礼服を着こなし

紫の杖を鳴らして、長い白い髭に白髪頭の小柄な男性

いや老人と言った方が適切だろう、奴が姿を表した。



と同時に


皆バッと頭を下げた


僕も釣られて下げると

壇上の司会が

「金帝ゴルドー•グラオンザーム様、よくぞおいでなされました。」



「よい、よい、皆頭を上げなさいよ」


優しい声に従い頭を上げる


「今日は領主ではなく客として来てるんじゃ、ちょっと挨拶に来ただけで中断せんでええわい!皆も楽にせえ」


「「「ありがとうございます」」」


金帝…元父様と同じ七賢者の1人だ

見ると随分歳をいっている70歳ぐらいだろうか?


周りに警護が2人

1人はニヤニヤした金髪の若い男

もう1人は目つきの悪い大男


そして特筆すべきは


鎧を着た犬…いや狼と言った方がいいかゴルドーの2倍ぐらいの大きさを誇っている。


それがゴルドーの右側でピクリとも動かず礼儀正しくお座りをしている


「そんじゃワシは部屋に戻るから、皆もいい買い物を楽しんでな」


そういって来た道を戻っていくゴルドー


誰かが拍手をする、それが広がっていき退場に合わせて大拍手が起こる。


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……




「それではゴルドー様もご来場されたことで

男児の部に参りましょうか!

では75番こちらへ、では銀貨50枚から!」


こうしてオークション第二部が始まった




僕みたいな子供が商品となり壇上に上がっていく

きっと村のみんなもいずれ出てくるだろう


「肉料理にあうワインを2ついただけるかね?」


「はいかしこまりました。」


客が増えてきて壇上を見ている暇がない


「おめでとうございます金貨5枚でご購入となります。ではこちらへ」


司会の声を聞いていくと子供は大人と比べて高価なのが分かる。


「なんだまた知り合いがいるのか?」

チラチラ壇上を気にしていると、ルッツが聞いてきたので



「まだ出てきてませんけどいつかは…ルッツさん、どうして子供の方が値段が高いんですか?労働力なら大人の方がいいのでは」


「昔から貴族の子供に奴隷の子供を小間使いにする慣わしが名門貴族にはあってな、一種のステータスだな。

それが半分と、あとは貴族以外にも素直に子供から育てるといい労働力や戦士になるってこった」


そんな慣わし聞いたことがないぞ、少なくともサンファーナル領にはなかった…いやあったのがもしれない、たぶん母様がウチには入れなかったんだろうな、本当に僕は何も知らない…


よく見るとそこらじゅうで貴族の子供が親と一緒にあれが欲しいこれが欲しいとオークションを楽しんでいる


「貴族に買われたらいいってもんじゃないぜ、そいつが使えなかったら、売り飛ばされるやつもいる、いや売りとばされるだけならまだいいな、殺されるやつだっているんだ」


酷い現実だ!だが感傷に浸る間もなく酒の注文で身体が動かされる!


酒、ジュース、水、空いたグラスの波状攻撃だ


「そこの少年」


「お待たせしてすみません、なんでしょうか?」


笑顔を作るとそこにいたのは


従業員の盗賊


「出番だぞ、副料理長がお呼びだ」


伯爵が到着したようだ


「分かりました今行きます」


「カインっ!出過ぎた真似すんなよ、慎重にな」

ルッツにぶっきらぼうなアドバイスを貰いコクンと頷いた。






















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