懇願
コンコン
「カインです。」
「入れ」
「失礼します。」
書斎の机に座って仕事をしている父様
僕が目の前にくるとペンを置き
「昨日、クラウスと話した事を伝える。お前に魔力が宿ることはもうない。従ってサンファーナルに置いておくことはできない」
覚悟はしていた、でもでもでも…そんなことはないと思っていた、いいや覚悟なんてしていない…でも
「嫌ですっ…」
そう絞りだした
「お前も知っているだろう、七賢人の家を継ぐ意味が、これでも譲歩したほうだ、ただでさえ息子が魔力を持たないことは私の【汚点】なのだ」
「嫌っ…嫌だ、僕はみんなと別れたくないっ母様と別れたくないっ!嫌だ嫌だ嫌だ!」
冷静になんかいられず
「我儘はやめろ、元はと言えばお前が悪いのだ、私がどれだけ苦労したと思ってる」
「そんなの知らない父様こそ、僕がっ…どれだけつらかったのか知ってるの!?」
泣きながら気持ちを吐き出す
「黙れ!本当ならお前は消しているんだぞ」
「えっ」
血の気が引いていく
「イザベラにお前の命だけは助けてやってくれと
親に消す言われた絶望、何も言えず、ただ涙が滝のように流れていく
「お願い…しますっ…なんでもしますから、ここに置いてください…おね゛がい゛しますっ」
土下座する、1人で生きていくなんてできない
嫌だ
「もう決めたことだ」
「お゛ね゛か゛い゛…しま゛あす…」
「明日、リベルと模擬戦をやれ、戦い方ならクラウスから習っただろう、負ければでていってもらう」
「は、はいっ!」
泣きながら大声で叫ぶ
リベル•サンファーナル8歳
5歳で魔力が発現した、同世代なら敵なし
普通にやったら絶対に勝てない
だけどこれしか生き残る方法はない
僕は父様の部屋を出ると直ぐに必要なものを集めに裏庭に行った
裏庭で必要なものを集めているとレイネ姉様が走ってやってきた
僕を抱きしめて、謝ってくる
「何もできなくてごめんね、カインごめん私の力じゃ」
「あっあぁうぁぁぁぁぁ姉さまぁぁ」
優しくされて、姉様もどうにも出来ずに謝るこの状態で自分の追放の実感がまた涙になり押し寄せる
姉様によると先程、父様が姉弟に模擬戦の話をしたらしい
それでレイネ姉様が母様に問いただすと、半年前から魔力が発現しなければ追放は決まっていたことが分かった
「母様を責めないであげて」
本当は処分されるのをなんとかして命は助けてもらう約束なので、これ以上僕の味方はできない、そう聞かされた
レイネ姉様と母様、愛する人が2人もいるこの
家を出て行きたくない
そう思わされた
そして次の日
中庭での対決の時がやってきた
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