出来損ないの近距離魔法使い
@asgiri
序章
10歳の誕生日
なんとなく分かっていた
「カイン様には魔力がございません。」
父様と母様に僕の家庭教師のクラウス先生が頭を下げた。
今日は僕の10歳の誕生日だ、先程まで家族と屋敷の使用人達と楽しく食事をしていたのに…
今は父様母様の部屋でこの重苦しい空気に晒されている
「そうか…」と顔色ひとつ変えない父様
「…」と何も言わず下を向く母様
10数秒の沈黙の後
「クラウスお前はよくやってくれた、今後についてだが」と僕と母様を少し見て、父様は席を立つ、何かを察したかクラウス先生も後に続き部屋を出ていってしまった。
母様と僕しかいない部屋
「母様ごめんなさい」
「いいのよカイン、良くがんばったわね」
母様が涙目になり僕を抱きしめる
「ごめんなさぃ」それしか言う言葉が見つからなかった
10歳までに魔力が発現しなければ魔法使いにはなれない
それがこの世界のルール
七賢者の父様オーガス•サンファーナルと
神官の母様イザベラ•サンファーナルの間に生まれた待望の長男が僕カイン•サンファーナル
僕には姉様が2人、弟が2人いる
本当なら僕がこの家を継ぐのだが、魔力がないときたものだ。いままではいつか発現する可能性があるため大事にされていたけど、今日のこの日で完全に父様に捨てられただろうな、というか7歳を過ぎた辺りから僕の扱いが悪くなってきた。
でも僕はもう解放されたんだ、魔法の授業も使用人達からの
「カイン貴方はとても優しい子よ、大丈夫心配しないで私が守ってあげますからね」
母様に抱かれて安堵しつつも、罪悪感を覚える
次の日の朝食
家族7人でテーブルを囲んでいると1番下の弟、三男のリベルが突っかかってきた。
「兄様はこれから何をするんですか?」
「えっ!?何って?」
「もう魔力がないのですから、ここにいる意味はないですよね?」
僕が言い淀んでいると「やめなさいリベル!」母様が助けに入る
それを聞いてか、最年長の長女のネーナ姉様も
「リベルの言う通りよ、今まで我慢していたけど、魔力がない人間ならここにいる必要はなくて?カイン貴方も分かってるでしょ?」
「うぅ…」悔しさと家族からそんな言葉を聞いた悲しさで涙目になる
次女のレイネ姉様と次男のジェイスは2人をなだめているが、なだめられていることもチクチクと僕に刺さる
ちなみにだが4人とも魔力が発現している
中でもジェイスは3歳で発現した
ネーナ姉様とリベルは昔からよく突っかかってくるが昨日の今日なので
その時
ドンッ!とテーブルを叩く音
父様が一喝する
「食事中だ」
皆が推し黙る
「それとカイン」
「は、はいっ!」
「食事が終わったら私の部屋に来てくれ」
「わ、わかりました!」
何を言われるんだろうか?
やっぱり怒られるのかな?
もしかしたらまだ魔力を得られるのか?
昨日はもう魔法の勉強から解放できると嬉しかったが、自分を騙す嘘だとまだ僕は頑張ればできる、何か特別な力があると心では思ってる自分がいた
頭の中がぐちゃぐちゃになりながら
父様の部屋のドアをノックした
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