第二都市ベイルトリア

夜になり僕達は食堂へと案内された


ルーナ達女性陣の姿は見えない…別々か


お盆を持って列に並び

若いシスターから料理を配膳してもらう。


メニューは

パンに野菜スープ

蒸した芋一切れ、豆を煮たものが少し

かなり質素な部類だが

久しぶりの温かい夕食にみんなヨダレを垂らしている。


「皆さん食事の前に神のお恵みに感謝を。

さぁ祈りましょう!」


中年の太ったシスターがそう言うと皆一斉に手を組む


まるで本当に神がこの料理をくれたように感動して涙を流すものもいる


「私語は謹んで、感謝をして頂くように!」


皆が料理を噛み締めるように食べる


こんな料理、おばさんの料理に比べれば全然大したことない


でもクソっ…


美味しい…


一生懸命食べている僕達を



シスターたちがニヤニヤみていた…








「明日は皆さんの新しい人生のスタートです!今日はゆっくり休んでください」


部屋に戻り


隅っこに置いてあるわらを敷きベッドを作る


少しチクチクするが、馬車の硬い木材よりはだいぶマシだ


寒いのでボロボロの毛布だけは支給してもらい、2人で使う


ジオと2人で寝る時もたくさん本の話をした…















「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!

突風大鎌ブラストサイス】ぅぅぅ!」


ギュォォォォォォォォォォォォ



「ダメだっ!スピカ来るなっ!」


ギュォォォォォォォォォォォォ


「スピカぁぁぁぁぁぁぁやめろぉぉぉぉぉ」







「スピカっ!」


バサっと上体を起こし目覚める


「夢…」


外はまだ少し暗い


眠っているみんなを視認する


「全部夢ならよかったのに…」


どうしようもない現実が僕を押しつぶす


村での生活が懐かしい…




それから朝まで一睡もできなかった…





朝になるとシスターが出発を告げにくる。


あれからマリーとは一度も顔を合わせていない



修道院の入り口には僕達が乗ってきた馬車

御者ぎょしゃの盗賊も礼服に身を包んでいる


「おはようございます皆さん!

いよいよ旅立ちです!きっと素晴らしい未来が待っていますよ!」


マザー自らお見送りに来た。


みんなの顔が明るくなる


「皆さんの為にサンドイッチを用意しました。これを持って馬車に乗ってくださいね」


「「「「「ありがとうございます!」」」」」


目を輝かせてお礼をいい、馬車に乗っていく


僕も最後に貰い、馬車の1番後ろ座る

今回は後ろのほろは開けてくれるようで

景色を見ることができるようだ


「いよいよだね!」

隣にはまるで旅行に行くかのように 

ジオが目を輝かせている


馬車が動く


「いってらっしゃいー!」


マザー達が笑顔で手を振る


みんなも笑顔で手を振り返す


なんだこれは…気持ちが悪いにもほどかあるぞ


僕達は出荷される家畜なんだよ…


苛立ちから

マザーを視界に入れないように上を向いた。


修道院の2階にもシスター達が手を振ってるのが見える


ん?


なんかめっちゃくちゃ速く


目をかっぴらいて


ブンブンブンブンと手を振っている子がいる





スフィリアだ!



横にはマリーもいる



「ふふっ…」


僕も手をブンブン振る


スフィリアも気づいたのか


次は口を大きく開けて


ブンブンブンブンブンブン振り返す


「ふふっ、なにやってんだよ」




久しぶりに心からの笑った気がする







ーーーーーーーー


なだらかな道を1時間ほど行くと


大きな街が見えてきた


ここがベイルトリアか


検問もあっという間に終わった

どうせ根回ししていたんだろう




街並みに活気がある、久しぶりの都会だ


「凄いよカイン!お店がいっぱいある!」

田舎育ちのみんなは興味津々だ!


街の中を奥へ奥へ進むたびに

景色が豪華になっていく。


馬車のスピードが落ちた

どうやらここが目的地のようだ


「降りて2列に並べ」


着飾った盗賊に促され降りると


そこは




闘技場だった



























































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