奴隷オークション 【支配人】
見上げるとそこには立派な闘技場があった
僕達が乗って来たのと似た馬車がが5台ほど側に止まっている
「ついてこい!」
3人の正装した盗賊に従い後をついていく、修道院での洗脳もあってか最初に連れられた時と違い誰も盗賊に対して恐怖を抱くものはいない。
まるで学校のピクニックようだ…
闘技場の裏手から入り、薄暗い道を歩いていく
ここは選手控え室だろうか…
それとも猛獣を入れおく牢だろうか…
巨大な通路の両脇大きな牢屋がいくつもある
中には僕の知らない奴隷が男女別に収容されている…
目的の牢屋前で足を止める盗賊
「ここだ!名前を呼ばれた者から入れ!
ニコル!……ジオ!」
何か書類を見ながら名前を呼んでいる
どうやら年齢別に分けられいるようだ
「次から呼ぶ者はこっちへ入れ!
ロビン!」
あれ??
「…カルロス!よし!これで全員だな」
「あの…僕呼ばれてないんですが…」
「お前は怪我人だろ…商品にならん
売れ残った者と次の会場に行ってもらう」
まさかの展開だった…
「お前は今日、雑用をしてもらうからな
商品じゃないから、こき使ってやるよ!」
盗賊が威圧的に笑う
………
「あ〜らぁ!その言い方は愛がないじゃなぁい」
後ろからねっとりとした声が聞こえる
「「「ペロティ支配人お久しぶりです」」」
3人の盗賊が頭を下げる
「は〜い
ダメでしょキッズには愛を持たなきゃ〜」
肩までピンクの髪、胸元の空いた派手な服
濃い化粧、強い匂いの香水…
そして…立派な喉仏に、シャープな筋肉をした男?が奇妙な笑顔を見せている
それに支配人だと…
「そうですね…愛ですよね」
「分かればいいのよぉ」
異質過ぎる存在に僕は固まってしまう。
「キッズ達!
アタシはここの支配人のペロティよ♡
狭いけど少し辛抱してね〜
もうすぐ貴族様から本当の愛をいただけるか楽しみに待っててねぇ〜」
「はい」「ありがとうございます!」
「狭くないです」
「ハァン!いいわよ!流石はベイリーク経由のキッズは違うわぁ!その愛を忘れないでね♡」
恍惚な表情を浮かべるペロティ
「
「はい!分かりました!」
そそくさと退散していく盗賊
「
「カインです…」
「今回は残念だったわね…
でもお手伝いして皆さんに愛を与えてあげてね」
冷静に答える
「がんばります」
「よろしい、ついてらっしゃい、キッチンに案内してあげるわぁ!まずは配膳からやっ…」
「カイン!!!頑張れよ!」
ペロティの言葉を遮るように
ロビンが涙目になりながら大声で激励する
「ッ!!!!!」
ペロティがロビンを睨む
ヤバいっ!
………
凍る空気
「い…いい!!他人を思う気持ち!
その愛100点よ!!」
ホッとした…
「ありがとうロビン…」
酷い目に遭ってもロビンだけは僕のことを最後まで心配してくれていた。
愛と言うのとは違うと思うけど
感謝している……まぎれもなく僕の兄さんだった。
ふん♪ふん♪ふん♪
鼻歌混じりに
腰をくねらせながら歩くペロティ
「ペロティ支配人お久しぶりです!
うちから連れてきた奴隷の帳面です。」
「あ〜らぁ
前から知らない盗賊が2人…
血の
「そっちの子は新入りさんかしらぁ?
いいわね、先輩と組めて!」
「はぁ…」
気まずそうな返事
若い盗賊は珍獣を見るような目をしている
まぁ普通はそうなるよな
「…ん?あ〜たもしかして?」
マズい空気になる…
それを察してか先輩盗賊が気を利かせて
「いやーこいつ人と話すの苦手なもんで!
2人の時ならちゃんと喋るんですよ。
そうそう!これから2人で馬の世話がありまして!」
「はっ?何言ってるんすか?馬の世話はアンタだけでしょ、あと肩組むのやめてください気持ち悪いっす」
ペロティの表情が険しくなってく
「お前ぇぇ愛がないじゃーないのぉぉぉぉぉ!
先輩に対する愛がなぁぃぃぃぃぃ!
悪゛い゛子゛はお仕置きよぉぉぉ!」
先程の態度から変わり吠えるペロティ
「愛は重いのよ!潰れなさい!
【
若い盗賊の右腕に魔法陣が現れる
「えっ?あっ…ぁぁ…やめ…」
みるみる腕が普通は曲がらない方へと…
ボキッ!!!!!!
「ぐぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
倒れ込む盗賊
「すんませんペロティさん!
こいつ照れ屋なんですよ!なっ?そうだろ?」
「…はぁ…い、恥ずかし…がって…ごめんなさぁい…
先輩と仲良くっ…しだぃ…です」
…
…
…
「ヤダぁ〜〜〜!
そうなら、もっと素直になんなさいよぉ〜
危うく殺しそうになったじゃな〜ぃ!」
明るい態度とは裏腹、物騒なことを口走る
「立てるか後輩、肩かすよ」
「すんません先輩、いつもありがとうございます!」
殺されまいと明らかに仲がいい演技をしているが
「そう!そう!その愛よ〜忘れないでね♡」
笑顔で見送るペロティだった
狂ってる…
それになんだあの魔法?
他の魔法にはない異質さを感じる
見たことないし、クラウス先生の授業でも習ってない
「行くわよぉ!あと3時間で客人が来られるんだからねぇ」
また腰を振りながら歩いていくのを僕は追った。
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