奴隷オークション 【地下牢へ】
「ここよぉ〜さぁ入ってぇ
はぁ〜いみんなぁ調子はどぅ〜?」
闘技場だけあって大きな厨房だ
料理人も30人はいるだろうか、忙しいそうに動き回っている
「見てわからないんですか?てんてこ舞いですよ」
奥にいる長い帽子を被ったおじさんが鍋を振りながら返事をした。
「料理長ぅ〜まぁそう言わないでぇ
今日の料理楽しみにしてからね♡」
「このペースでいけばギリギリ間に合いますよ
あとはVIPの方々の料理ですが、ご来場なさったらすぐに伝えてくださいね、取り掛かりますので」
「はいは〜いスタッフに伝えとくわ!
それとこのキッズ、ここでお手伝いさせてあげてね、怪我してるみたいだから簡単なことでお願いね」
「カインです、よろしくお願いします。」
「そう!いい挨拶ね!じゃあ頑張ってねーん」
僕の下げた頭をわしゃわしゃと撫でてペロティは出て行った
「じゃあ君はこのエプロンをつけてね」
若い女料理人から皆と同じピンクのエプロンを渡される
誰の趣味かは一目瞭然だ…
「何すればいいでしょうか?」
「じゃあとりあえず残ってる野菜の皮剥きかな」
奥に通されると山盛りの野菜が積み上げられてらいる。
その傍で4人の料理人が黙々と皮剥きをしていた。
「そこの包丁使っていいから、じゃあよろしくね。」
忙しいんだろう、そそくさと持ち場に戻っていった
「よいしょ」
単純作業のジャガイモの皮剥きを始めると脳内に余裕が出来たのか思考が巡っていく。
どうやら僕は怪我のおかげで奴隷になることが延期された訳だが…
複雑だ…一時期は死んでしまおうと思ってはいた…
でも今はそう思うとスフィリアの屈託ない笑顔が浮かぶ…
「痛っ!」
油断して指を少し切ってしまう
傷は浅いが血が流れる…血……
真っ赤な血を見ると最後に見たスピカの…
…
…くっ
「ほれ使え」
横にいた青い髪の若い料理人が絆創膏を差し出してくれる
「あ、ありがとうございます」
「気にすんな、考えごとするのもいいが手もしっかり動かせよ」
バレていた
「すみません」
それからは無心で野菜の皮を剥く
何も考えないほうが楽だった
1時間ぐらい経っただろうか
「そこの少年、地下のスタッフに食事を届けてくれ」
「副料理、そんなら俺が行きますよ!」
青い髪の料理人が割り込んでくる
「ルッツ、お前は仕込みの続きがあるだろう」
「でも…」
「今日は忙しいんだ、半人前のお前でも戦力なんだよ。少年はこっちにきてくれ」
しょぼんとするルッツを尻目に
副料理について行く
大きめの手で引けるサービスワゴンに料理がたくさん積んである
スタッフの早めの夕食だろうか
ソーセージと沢山のサンドイッチ
修道院から貰った、野菜とペラッペラのハムのとは違い、分厚い肉とチーズが挟まっている。
「あとこれも持っていけ!今日きたワインだ
ちゃんとデービスさんに渡すんだぞ」
「ゆっくりでいいぞ、
地下までの道を聞いて出発する
途中で盗賊とすれ違うが、ピンクのエプロンの効果か何も言ってこない
ここの傾斜を降れば地下らしい
食料が落ちないように注意を払う
暗くなっていき灯りは壁にある松明だけだ
不気味な鉄の扉の前に盗賊が2人いた
「すみません、副料理から頼まれたんですが」
「おっ飯だ!待ってました!さっ入れ入れ!」
警備の癖して全く僕疑わず扉を開けてくれた
ゴゴゴゴゴゴ
分厚い鉄の扉が開き足を踏み入れると
「えっ…」
とんでもない…光景がそこにはあった
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