奴隷オークション 【亜人】

中に入るとジメジメした湿気と悪臭が酷い


「え…なに……これ?」


真っ暗な牢屋の中に…

松明の灯りに照らされて見えてくる輪郭りんかく

耳と尻尾がある人間

しかも鎖で繋がれている。



「地下動物園にようこそ!なんだ亜人デミを見るのは初めてか?」

「当たり前だろ、普通に生活してたら見る機会なんてねーよ」

「そんなことより、飯だ飯!」


牢屋の前のテーブルにいる盗賊達の元へサービスワゴンを進ませる


「夕食を…届けに来ました…」


「おお!あんがとよ!」「うまそう」

「おっしゃソーセージもあるぜ」


美味しそうにサンドイッチを頬張る盗賊


「あとデービスさんはいらっしゃいますか?

副料理がコレを持って行けと」


「あむぐぅ!もぐもぐ、あぁかしらならそこで寝てるよ

ちょっと頭ぁ起きてください、飯がきましたよ」


少し離れた所の椅子で腕組んで寝てる男が1人


「んん?ふわぁぁ〜なんだ飯か」


あくびをしながらこちらにやってくる


「あの…これ副料理が持って行けと」

「おっ!あのオッサン気がきくじゃねーか!

………ぷはー寝起き飲む酒は格別だな」


「いいなぁ頭は」

「今日の仕事が終わったら飲めるからしっかりやれよ、おっ!こっちも飯も美味そうだ」



カシャン



鎖の音が聞こえた



「おまぇぇぇぇぇぇ殺すっ殺すっ殺すっ殺じでや゛るぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」


奥の牢屋にいるデカい男が叫びだす


「なんだぁ?さっきまで疲れて寝てた癖に

飯の匂いで起きるとは随分と野蛮だねぇ

デミは、人間様が食べてるんだ静かにしな」


「殺す殺す殺すぶっ殺すぅぅぅぅぅぅぅぅ」

「あぁん!五月蝿いなぁ、オイ!」

「へい!」


下っ端したっぱが牢屋の横にある錆びたレバーを引くと


牢屋の天井にさっき見たペロティのピンク色の魔法陣が現れる


バチバチバチッバチッバチッバチッバチッバチッバチッバチッバチッバチッバチッバチッバチッ


「んぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ」


ピンクの雷が男にまとわりつく


「…………………」


「はいストップ!」

「へい」

意識が飛んだことを確認すると魔法陣をしまわせる


「やっぱり凄いねぇユニーク魔法ってやつは」


「ユニーク魔法…?」


「魔道士の中でも才能のある一握りの者だけが使えるらしいぜ

まぁ支配人いわく、乙女の秘密らしいがな」


かしらいいんですかい?こんな子供にバラしても」

「いいじゃねーか知ったところで何もしねーよ、それよりデミの餌の時間だ」


先程の雷に怯えてるデミ

女性が3人男性が2人そして子供が5人

全て諦め絶望している者もいれば、震えながらこちらを睨みつけている者


下っ端したっぱが硬い黒パンを鳥にでもエサをやるように放り入れると


ガツガツガツガツっとデミ達が食べ始める


「「「わっはっはははは」」」

「やっぱり獣のデミは食い意地が張ってやがる」

「相変わらずこのガキは食いませんね」

1人こちらを睨みつける僕と同じくらいの子


「そんなもんほっとけ、ご購入された貴族様が調教してくださるんだからな」


「貴族に買われるんですか?」


「ったりめーだろ今夜の目玉の一つだぞ。

物好きな貴族様が沢山いてな価値は高い、服従させればいい戦士になるし、女で楽しみたいやつ、おかしな研究に使うやつもいる」


酒が入っているからか色々と教えてくれるデービス


「ご馳走さん!副料理長に礼言っといてくれ

そんじゃあ俺はあと1時間寝るかな」


かしらぁまた寝るんですか?

曲剣きょくけんのデービス】の名が泣きますよ」


「うるせぇ〜どうせお前らもまたカードゲームで時間潰すんだろ

なんかあったら起こせよー」


そういって椅子で腕を組むデービス


「じゃあ僕はこの辺で…」


からの皿を積み込み

「じゃあなー、今度は酒もくれって言っといてなー」


盗賊に感謝されながら牢屋からでる




貴族がデミを買ってるなんて聞いたこともなかった…

僕が思っていたよりものこの国の闇は深い…





































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