奴隷オークション 【開始】

「ようこそ、いらっしゃいました」

「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」



着飾った盗賊や闘技場のスタッフ達が来場者に挨拶をする


お客も立派なスーツやドレスを着こなしていて、見るからにお金持ちだ。


ナンシーお姉さんから聞いた話だと、貴族はもちろん、商業、工業、水産ギルドの資産家なども来ているらしい。


客はみんなが入っている、巨大な通路の牢屋を通って闘技場内に案内される。

奴隷達は番号札を首から下げさせられ、買い手はこの間に品定めをする。


客の出入りは自由、オークションは18時から始まる。

序盤は1番安くなる成人男性かららしいので

今来場している客は、安く働き手が欲しい層だ。


副料理長から任命されたソムリエの役目は公爵が来場した時のようでもう少し先だ。

僕は今は闘技場内にある立食パーティーのお酒の番をしている。


「君、エールを2つ」

「かしこまりました」


お姉さん達もお盆にグラスに持って会場を回っている為、ここまでお酒を取りに来る客は少ない。

それにここからならステージがよく見える。

あっ誰か壇上に上がってきたな。


「皆様、お待たせ致しました。

年に2回のこの時の為に我々も最高の商品をりすぐらせて頂きました。

商品は皆様の【愛】を待ち望んでおります。

それでは今からオークションを初めてさせていただきます。」


パチパチと拍手が送られる、僕も釣られるように拍手をする。



「では1番の者を此処ここへ」


ペロティ支配人の趣味であろう、ピンク色多めのタキシードの司会が進行していく。



「では銀貨50枚から初めていきましょう!」


「銀貨52」

中年の男性が手を挙げる


「銀貨55」

紳士風の男性が手を挙げる。


買い付けをしたい人達はステージの近くへ集まり

それ以外は談笑や料理を楽しんでいる


「銀貨95枚」


「金貨1枚!」

太った男性が高らかに手を挙げる

「おぉ、ここで金貨1枚です」


「………」

「………」



トンと司会者がハンマーを打ち付ける

「アメット様おめでとうございます!では奴隷紋どれいもんの手続きがありますのでこちらへ」


競り落とした人がステージの側のとても大きなテーブルに案内される


そこには


国家に認められた者だけが着れるローブを羽織ったものが3名


国家魔道士…ここまでくるとそんな驚きはしない

まぁいてもおかしくはないなと言ったところか


購入者のアメットの指を針で刺し、その血を


奴隷の首に一周、首輪のように描く


「この者を主人とし【愛】のもと

その命尽きるまで守り通せ!【愛の契約プロミスラブ】」


またピンクの魔法陣が出てきて、血の首輪が輪郭を現す。

多分あれも地下の魔法陣と同じくペロティ関連のユニーク魔法…




「何が愛だよっ」

ボソッと横にいた、青髪のルッツが口走る


「逆らえば首が飛ぶのによ、愛がどうのこうのバカバカしいにもほどがあるだろ」


「そう…ですね…」


明日は我が身だ…怒りより今は恐怖心の方が勝ってしまっている。




トン!

また高らかにハンマーの音にビクッとなる

「コーラル様おめでとうございます」 

 



1人5分もかからないほどのハイペースだが


オークションは円滑えんかつに進んでいく







2時間が過ぎると



「28番前へ」


「はい!」


見慣れた顔

壇上にロビンが上がってきた!


「では銀貨50枚から」


「80枚!」


「90枚!」


「金貨1枚!」


ワイン工房で働いていたこともあり筋肉質な身体と童顔でみるみる値段が上がっていくロビン


「金貨2枚と30」





トン!


「グランツ様おめでとうございます、ではこちらに」


髭を伸ばした強面のおじさんが席を立つ


顔のインパクトでよく覚えている

この人はさっきも2人買っていった



「なんだぁ?あいつは知り合いか?」


表情で分かったのか、ルッツが聞いてくる


「はい…家族…で…した」


「そうか…」

ルッツが頭をポリポリかきながら


「あのおっさんは当たりだ」

「えっ!?」


「マイティ・グランツ。水産ギルドの副長だ

単に働き手が欲しいんだとよ、それに一人前になれば奴隷契約を破棄して正式に雇うって物好きって聞くぜ」


「よかった…」


それを聞いて安心した、もう会えないかもしれないが、生きていてくれるそれだけで嬉しい



それからグランツは結局4人奴隷を買い

奴隷達と闘技場から出て行った。






















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