第6話 不穏な流れ
不定期で『マイコー ライブ』が開催されつつ、そー娘がどうにか仕事をこなしつつ、数ヶ月経った。状況としては、相変わらずなので、近々、ライブの先行予告があるだろう。
以前は、Cチームがメインだったサポ班業務も、Aチームが増えつつあった。Aチームの取り扱いデータは客先に提出する見積りや詳細資料といった、より丁寧な仕事が求められるので、緊張感が違った。私も、主任代理として判断を任されることも増え、仕事量も増えていった。なので、日程に余裕がある作業は、そー娘にも作業分担して、慣れてもらう必要があった。
「そー娘さん、Aチームの事前案件の清書をお願いします。これ、今日中仕上げ希望だそうです」
確認をきっちりやれば、間違えにくい作業を渡した。
「はぁーぃ」
他業務をこなしながら、お互いに確認を取りつつ、小休憩。1Fの自販機にいると、声をかけられた。Aチームリーダー:エース長官だった。
「最近のサポ班、まとまってきたね」
「えぇ、経験者3人がいますし、サワコさんが、しっかりまとめてくれますし」
そう答えると
「サワコさんか、仕事内容もいいし、もっと話してみたいね。飲み会呼んでよ」
おやおや、エース長官。あなたの社内でのモテっぷりすごいのに、さらに積極さを見せますか?
「サポ班の定期飲み会以外の時に、お誘いします。『マイコー ライブ』も楽しめると思いますが」
「ん、なにそれ?面白そうだけど、なんか怖いから、普段でお願い」
話し込んでいると、コンビニさんが近づいてきた。
「そー娘が、探してんぞ」
2階に戻ると、頼んでいた書類が出来上がったようで、私の確認待ちだった。書類を受け取ってみると『どうやったらこうなるの?』という内容だった。誤変換の多さと、空白改行の乱用で、データ形式が崩れていた。普段は、やらない赤ペンによる校正をし、修正箇所を分かりやすくして、そー娘に渡した。
「この赤文字部分を修正してください」
そー娘が言うんだ。
「えー、面倒くさいですぅ。主任代理がやってください」
『何言ってんだ?』と言いそうになったが
「それを自分がやったら、何を間違えたか理解できないでしょ。その仕上りでは『主任確認印』は押せない」
と、突き返す。ムッとするそー娘。
席に戻ると、サワコさんが手招きした。
「ちょっと、この案件の締め切りマズイよ」
別件のBチームの現場用発送物が、納品遅れで発送準備ができていないことが発覚。事前から連絡はあったものの海外からの発送遅れ、国内の自然災害等が重なって、社内に届くのがギリギリになってしまった。
サワコさんが続けて言った。
「今日の夕方、会社に届くから、そのまま送って欲しいそうなので、内容確認して送ろうか」
「分かりました。1Fロビーで、作業させてもらいましょう」
そう段取りを決め、確認資料を準備した。
夕方になり、1Fで待っていると、運送会社からの荷物が届いた。内容物と個数確認をし、別梱包ダンボールに詰め替え、別途お願いした運送会社を待っていた。結構時間がかかり、帰宅する社員も多かった。
「おーい、資料ありがとね」
声をかけてきたのは、エース長官だった。
「今日のヤツですか?修正後を私がまだ確認出来てないですよ」
と、答えると
「そー娘から受け取ったよ?主任印押してあったし」
「え?」
まだ、確認したかったが、足早に会社を出るエース長官。忙しい人だ。
それから、しばらくして運送会社に荷物を渡し、2階に戻る。ほとんどの社員は帰っていたが、サワコさんが残っていた。
「お疲れ」
そう声をかけたサワコさんに聞いてみた。
「そー娘さんは、修正作業を完了した感じでしたか?」
「いや~、そー娘さん以外、席外すことが多かったから分からない」
誰が、作業確認したんだ?
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