第13話 報告会

 統括部長が、作業報告するように言われた。なので、質問してみた。


「作業報告は、統括部長用に書類提出という形ですか?」


 その回答が予想外だった。


「いや、会議室で、私以外に何名か説明を聞くことになる予定。報告書類は5部くらいは用意しといて」

「はい、分かりました」


 返事をしたものの、放ったらかしの旧会議室でパソコン在庫をただ知りたいか?サボってないか確認したい、そういうことだよ。念のため、丁寧に資料作成やらないとな。


 翌日になり、統括部長から、『昼3時から会議室で作業報告会を行う』と話があった。さて、もう少し準備しますか。相変わらずのエプロン姿の人が、会議室に荷物を運んでいるので、ジロジロと見られる。Aチームの隣が会議室なのでエース長官とよく目が合う。


「ちょっと、マルタ君」


 エース長官から声をかけられた。


「お騒がせしてすみません」


 先に謝ると


「何、謝ってんの?そうじゃなくて、今日、会議室で何するか聞きたいだけ」

「はい、旧会議室で何やってるかの報告会みたいなものだそうです」

「そうなの、俺も参加していい?」

「何名参加されるか知らないので、統括部長に伺ってみられてはどうでしょう?」

「了解~」


 エース長官、そんな時間取れるのか?営業チームのエースだよ。むしろ息抜きで参加かもなぁ。報告会資料を余計に印刷して、さらに準備を進めた。


 会議室でスクリーンにパソコン画面を投影させたり、何言おうか考えていると、統括部長が入って来られた。


「もう、入っても構わない?」

「はい、どうぞ、お願いします」


 と、答え、少し緊張した。・・・ぞくぞくと集まる顔ぶれで緊張が加速した。


 統括部長、総務部長、Aチーム:エース長官、と入ってきた時、会議室の外で大声が響く。


「いや~、邪魔するよ」


 次に会議室に入ってきたのが、タナカ社長とトナリ社長だった。びっくりしすぎて、体と表情が固まった。


「おい、見に来たぞ」


 んだよ、これ!初めての報告会で、この顔ぶれって。感情が乱れて、ものすごく手が震えた。『あ、これ最後かも』勝手に、この会社の最後の仕事と思ってしまう。しかし、背水の陣なのは、この約1ヶ月やってきたことなので、それを伝えることもやりますか。


 着席された上司の面々に、資料を配る。


「はい、では始めます。第1回、旧会議室内のパソコン等機器の現状報告会です。お手元の資料をご覧ください」


 現状を伝えた。まず、動作可能のパソコンで、仕事に使えるもの、パーツ類検査確認には使用中のもの、動作はするが用途未定なもの。その他、使用可能なパーツ類を型式、容量、年代、個数等、一覧表で把握してもらう。

 次に、使用可能なパソコンパーツを社内で増設可能な台数がどれくらいあるか、提案を兼ねて伝えた。これには、総務部長から提供して頂いたパソコン購入リストを元に、調査した。パソコンメモリが、そこそこの数があり普段の作業効率を上げるには、この余ったメモリが役立つ。型式等条件が揃いさえすれば。


 ちょっと飽きそうな時間がきたので、会議室スクリーンの右側に置いていた1980年代によく使われたパソコンを部品交換による組み変え修理をしたので、電源を入れてみることにした。演出みたいなもんだよ。『ピポッ』という起動音とその昔当たり前なCRTモニター(ブラウン管)に画面が表示されると、一定年齢以上のおじさん達が身を乗り出していた。


「現状、電源が入り起動するまでとなっております。付属のフロッピーディスクやアプリケーションディスクも劣化やカビによって、動作できませんでした」


 と説明した。


 トナリ社長が言う。


「結局、何やったの?」

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