第29話 それぞれの道

私は宿屋で寝ていたが変に酔っぱらってて

つい目が覚めてしまった。

まだ暗かったが、窓の所に外を見ている

影があった。・・・勇樹君が居た。


眠れませんか?結構飲んだでしょう。と私は言う。


勇樹君は

「寝る時に色々考えてしまって・・・」と。


私は

勇樹君が好きだ。

あ、でも同性愛ではないですからね。と

言ってから話をつづけた。


勇樹君が悩むのもわかります。

父様が悩み、錯乱して。

母様が魔族で、自分も魔族かもしれない。


そして自分はこれからどうするのだろうか、と。

そりゃあ、気がおかしくなりそうだと思います。


勇樹君、でも、だから、それが何なんです?

いいですか?

バーボン様は異世界の転移者。

勇樹君の母様と美香さんの母様は魔族。

勇樹君も魔族認定待ち。

ルナティア様は神。

美香さんは出戻り転移者。


もう、なんだそりゃって事だらけじゃないですか。

自分が何者かなんて大したことではないですよ。


もう一度言います、私は勇樹君が好きです。

この人と一緒に居たいと願っています。

だから自分が思うようにしてください。


冒険者でもいいし、国を興すのもいいし

私のように引き籠るのもいいし。


でも私はそばに居たいと思います。


と、力説。が・・・


「でも美香さんと一緒に行くんだろ?」と

勇樹君は笑いながら言った。


そして

「俺はね、ずっと考えていた事があるんだ」

と言うと話をつづけた。


ミネルヴァ母さんはどういった気持ちで

俺と逃げたんだろうか、と。

どういった気持ちで俺を育ててくれたのだろう。

どういった気持ちでこの世界に戻れと言ったのだろう。

どういった気持ちで魔剣を作ったのだろう。


最後の時にも「こうしてほしい」とは

言わなかった。

ただ、「帰れ」としか言わなかった。


それだけなんだ・・・。本当に。

だからバーボン様が言った事なんて

本音を言えばどうだっていいんだ。


安直に考えれば魔剣で創造神エアストを討て、と

言ってるんじゃないかと思う。

でも、違うんじゃないかとも思う。


だから、俺は美香さんに、

ウォッカさん、美香さんの母様に会って

聞いてほしいんだ。


「魔剣とは何なのか」と。


勿論俺が行って直接聞いた方がいいかもしれない。

でも同時に、そんな事はほっぽいて

みんなと楽しく過ごす場所を作りたいとも思ってて。

何からも逃げることなく・・・。そんな場所。


だったらさ、もう王子様気取りで堂々としててさ、

「美香さん、ウォッカさんに会って色々

 聞いてきて」と言ってみちゃったりとか。


だから俺は美香さんがウォッカさんに会って

色々と聞いてくるのを待ってるよ。

ミネルヴァ母さんの村、・・いや街で。


まぁ何言ってるかわかんないけど、そんな感じ。

酔っぱらってるな、完全に。そりゃそうだ。

あれだけ飲んだんだし。


と苦笑い。


私は「バーボン様は?」と聞くと

勿論ついて来てほしいと思ってる。と勇樹君。


もう酔っぱらった勢いで言っちゃおうかな。


と前置きをすると、私に向かい、


「コルン、私が一番信頼する者よ。ジヴァニアと共に

 ウォッカを探せ、そして魔剣についての

 情報を聞き出してきてほしい。頼んだぞ」


と、真顔で、そして威風堂々と言い放った。


私は全身が何かに撃たれたような衝撃を覚えたが

凄く心地よく、そして、身が引き締まる気がして、

そして・・・と色々考えて武者震いしてたら


「なんちゃって」と言われた・・・・。


続けて

「まぁ、そんな感じで美香さんと仲良く

いってらっしゃい」

と突き放された・・・・。


私達は爆笑し、そして寝ようと言い合った。



翌朝、朝食を取りながら作戦会議っぽいものをした。


美香さんはやはり母様と会いたいと。

勇樹君は村に帰り今後のことを決めたいと。

でも決まっていることがあり、漠然としているが、

俺はみんなが楽しく過ごせる場所を作りたい。と。


そしてバーボン様に師事したい、と。


私達はウンウンと頷き、そして決まる。


美香さんと行動を共にするのは私、コルン。

勇樹君と村に帰るのはリアス。


勇樹君は

「多分俺は迷い続け考え続け、苦悩するだろう。

 しかし、結果はどうであれ自分で何かを決め

 そして行動したい。だから、俺の仲間に、

 俺について来てくれないか・・・」と

少しうつむきながら言った。


「バカね!」と美香さん。

私とリアス、口が開き沈黙。


「もう仲間だし、ついて行ってるじゃないの、

 今頃何言ってるのよ」と

「わかった、勇樹君が言うなら仕方ないわね、

 気がすすまないけど会ってきてあげるわ、母様に」

とも言う。


全員、そう、勇樹君を含め全員が

「気がすすまない?それは嘘だ」と思った事を

この後、打ち明け合った。


そしてバーボン様の屋敷に向かう。

庭に入り私達は執事の人を探していると

突然大声で

「おとーーーさーーーん!出てきてえええ!」

と美香さん。それは・・・ちょっと。と思ってると


速攻で出てきたバーボン様。

「呼んだかい?」と笑顔で言っていたが

少し息が、というかだいぶ荒かった。

めっちゃ走ってきたのだろう。

人はこれほどまでに走れるのかと思うほどに。


よっぽどうれしかったのだろう

「お父さん」と呼ばれたことが・・・・。


「母さんにあってくるわ。だから父さんは

 勇樹君と一緒に居てあげて」と


なんかこう

可愛げにおねだりするような感じで言った。


さすがにそれはないと全員思っていたらバーボン様は


「ジヴァニアが言う事はなんだってやってやるぞ!

 お父さんはな!すごいっていうとこ見せてやる!」

と只の子煩悩になっていた。


しかし勇樹君は跪き

「バーボン様是非お力を私に」と言う。


バーボン様は真顔になり言う。

「違うなそういう時はこういうんだ。」と。

「私と共に歩んでほしい」と。


そして勇樹君の手を取り立ち上げさせ

「わかった」と一言。そして


「まかせろ、一緒に青の国をつぶそうではないか。

 あそこの財宝は凄いぞ。全部貰おう。

 そして、ばばぁ・・いや、ベルジュラックと

 ルナティアをぎゃふんと言わそう。というか

 もう国ごと乗っ取ろうではないか」と



わけわかんない事を言った。






























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