第13話 お約束のアレ再び

翌日私達は西門でリアスを待つ。

ほどなくしてめっちゃ普段着のリアスが来た。


昨日は気づかなかったが、彼は少し筋肉質で

ガッチリとはいかないまでも鍛えていることが

すぐに分かった。それにイケメンだ。


ま、まぁ私には及ばないが。


「あんた・・・よく見るとイケメンだな」

と彼はつぶやく。


イケメンはイケメンを知る。ことわざ通りだ。

そんなことわざは知らないが・・・。


そして荷物を馬車に入れ

「今後ともよろしくな」と

さわやかな笑顔で私達に言った。


美香さんとリアスは拳と拳を突き合わせる。

ミノタウロスは変な風習を私たちに残していた。


出来れば上だけでも軽装鎧を付けててほしいと

彼に言うと素直にそうしてくれた。


そして全員の身分証を見せ街を出る。

御者はリアスがする。その隣に私。

勇樹君と美香さんは荷台だ。


走りながら雑談する。


ところで美香さん。と私は切り出す。

ミノタウロスって土精霊でしたっけ。


「いや、違うよ?」と美香さん。

「本当はね、ウンディーネ呼ぼうとしたのよ」

と続ける。


敵の強さが分かんなかったので同じ属性同士を

戦わせ、力量を知りたかったらしい。

・・・凄く冷静。


しかし体半分出現したら何故か引っ込んで

代わりにミノタウロスが出てきたらしい。

まぁ強そうだし、いう事聞きそうだったので

そのまま出現させたらしい。

・・・ワクワクが止まらなかっただろう。


そして、あんなことになったらしい。


よくよく考えるとミノタウロスはどっちかというと、

というか明らかに精霊じゃない。怪物だ。


この世界で怪物は未知なるものと言う意味がある。

魔獣とも違う、

ミノタウロス等は昔から存在を知られている。

もしかしたら魔族に当たるのかもしれなが、


ならば様々な書物には魔族として出てくるはずだが

一行たりとも魔族の表示はないのだ。怪物だ。


では、魔族とは・・・。存在すらないのに

なぜ魔族と言う言葉があるのか。


またしても私は魔族に対して考え込んでしまった。

いかんいかん。


ところで、「次の目的地は?」とリアスが聞いてきた。

このままいけばサボルチだが・・・。とも。


私はその通り。と答え目的を話す。


次の街で冒険者の名声を高めます。

やりすぎないようにしながら、そう、徐々に

ランクSの冒険者を目指します。


首都に入るまでにランクSにしたいと私は話した。


「いや、あんた達ならすぐだろうに」とリアスは言う。


「リアス、貴方は根本的に間違っていることがある。

 俺達は冒険者ではない」と勇樹君。

え!?うそ!と驚きながら美香さんは勇樹君を見た。


私はバカを発見した。


「まぁ詮索はしないよ、人それぞれだしな」とリアス。

「ところでなんでリアスは強くなりたいの?」と美香さん。


「俺はな、勇者になりたいんだよ。なんかかっこいいし。

 絵本に出てくるような。弱いものを助け悪を倒す。もう

 子供のころからの夢だ。勘当覚悟で冒険者になったよ」


「でも俺は弱い。だから強い人たちに学びたいんだ、色々と。

 もう小僧だ、奴隷とでも言ってくれ」

とガハハと笑いながら言った。


すまん、ほんとすまん。この3人に学べることなんかない。

私がそう思っていると、勇樹君が


「やっぱり奴隷っているの?」と聞いてきた。

そして私は答えた。


いますよ?青の国では低級使用人と呼ばれていますが。

青の国ではほぼ奴隷とは言われていません。

なにせ処罰がありますし。


でも黄の国では低級使用人の蔑称で今でも使われています。

・・・そして赤の国では今でも奴隷と普通に呼ばれています。


勇樹君は「俺、そういった呼び方するの嫌だな」とつぶやく。

そういったところが紫の国の王家の血を引いてるのでしょう。


昔・・・と私は話をつづけた。


紫の国の提案で奴隷と言う呼び方を禁止しようと各国に

呼びかけました。青の国はそれに賛同しました。


黄の国もそれに同調しましたが、まぁ政治的な立場でです。

しかし赤の国は

「言葉を取り繕っても、そいつらの立場はかわらない」と。

まぁ最終的には各国とも賛同はしましたけどね。表向き。



そんなこんなでお昼の食事の時間。


勇樹君がスモールサングリアを狩ってきた。

リアスは手慣れた感じで竈を作り

火をおこそうとしている。


少し湿っているのか、なかなか火が付かない。

美香さんがファイアを使おうとしたので

止めてくれと、マジでお願いした。


勇樹君は手慣れた感じでサバイバルナイフで枝を

細く削り火が付きやすくするとライターで火をつけた。


「な、なんなんだ、それは!

 その魔法の道具はなんなんだ!」と

驚きを禁じ得ない人間が一人いた。


そういえば、と勇樹君は私にライターを渡し

「あげるよ、これ。」と笑いながら言い、

約束だったしね、とも付け加えた。


私はそれを満面の笑みで受け取り

「本当にうれしいです!」とありがたく頂戴した。


火がつかなくなったら

コレでこうして、こういう風にして、こうする。

と、取り扱いも説明してくれた。


「あんたたち、なにものなんだ・・」とリアス。


美香さんは

「おいおい話すわ、おいおいね」とウインクし

「よし、今日は私が調理するわ!」と続けた。


・・・え?と勇樹君と私。

・・・沈黙が流れる。

おお、期待しときます!とリアス。



リアス・・・、その期待は裏切られるぞ。絶対に。

と彼を見ながら心の中で言った。


・・・お約束のアレだ。


勇樹君も彼を、なにか可哀そうな子を見るような目で

見ている・・・。

多分、私と同じことを心の中で呟いている。




























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る