第14話 二刀流と包丁と

もうすぐサボルチだ。

リアスは勇樹君に

「先ほどの、あの、サバイバルナイフというもの。

 あれは短剣なんでしょうか。」と聞いてきた。


勇樹君は違うよ?と。なんで?と問い返す。


いえ、勇樹君は弓のほかにそれも使って魔獣を

倒してるのかなぁと思いまして。


あーしたことないなぁ。と勇樹君。



この世界で武器は神の加護にて一つしか使えない。

人間ならば子供だって知っていることだ。


何か含んだようにリアスは続けた。


関係ないかもしれませんが、私は小ぶりの盾を

装備しています。結構剣士には多いですが。

ある時、そう去年のあの洞窟です。

私は魔獣に囲まれ、少し我を忘れ、

剣も盾も振り回しながら兎に角逃げていたんです。


一時して私は魔獣の群れを切り抜けていました。


剣にはべったりと魔獣の血、そしてですね、

盾にもべったりと魔獣の血。

私の盾は丸型ではなくひし形です。


返り血でそうなったと思いましたが盾の先端、

鋭利になっている所が特に血が付いていました。


私は盾で攻撃してたのではないかと思いました。

それからしばらくして私はある実験をしたんです。


盾で魔獣を倒してみようと。

弱い魔獣が出る地域に行き、勿論何かの為に

剣は帯同しています。


そして魔獣に対して盾のみで戦いました。

するとですね、剣と同じくらいの攻撃力なんです。


私はそれからと言うもの盾でも魔獣を倒せるよう

訓練しました。もうこれは一つの武器です。


形は違えど二刀流の様な物です。


「二刀流!」と美香さんが食いついた。

やっぱりあるのね、かっこいい~~と美香さん。


「ありますよ、わたし見たことありますし」とリアス。

でもなかなかいないんですよね、二刀流出来る人。


私、数十人は知っていますがほとんどの人は

左手の剣で相手の攻撃を受けるだけです。


そですね、知りうる限り一人だけです。

本当の二刀流と言える人は。


もう美香さんは目がキラキラしてて

早く続きをと強請るような顔をしている。


私も続けてくださいと伝えた。


で、では話は完全に横道にそれますが・・・と

前置きをし話をつづけた。昔・・・


テッセラン遺跡と言う所で魔獣を狩っていたときです。

突然、その遺跡にはありえない、居てはいけない怪物が

現れました。何故かはしりません。


まだランクBになったばかりでしたので

そんな怪物になんて勝てないとすぐわかりました。


私達は5人でしたが敵の攻撃で気絶したり発狂したり。

多分その怪物はハーピィだったのでしょう。


私はそういった魔法攻撃には耐性があるらしくて、

でも、それでも

意識はありましたが体が全く動きませんでした。


その時です。今でもはっきり覚えております。

その時のセリフを。・・・かっこよかった。


「てめえ、ピィピィうるせえんだよ、あ、

 ハーピィだからピィピィ。・・・うける。」

とハーピィに向かって言うとすかさずに、


まずは左手に持った剣で下から上に、そして

右手で、間髪入れず上から下へ。


それはもう自然に交互に攻撃を繰り返していました。

もう見惚れてしまいました。

攻撃がとても美しかったのです。


すぐに、ハーピィは勝てないと思ったんでしょう。

飛び去り逃げていきました。


「てめぇ、降りてこい、にげるんじゃねえ」と

その剣士はいいながらも鞘に2本の剣を仕舞いました。


そして私にいいました。

「よくあの声聞いてそれで済んでるんだな」と。

「今日は偶然に助かったんだ、だったらこれからも

 偶然に助けられるかもな。そんなもんだ。

 そういう奴は強くなるんだよなぁ・・・」


「あーでも、強くなるには強い仲間と行動するべきだ。

 あんなチビッて失神するような奴と組むな」


そう言うと回復薬を数本置いて去っていきました。


遠くからその方の仲間が名前を呼んでいた気がしましたが

よく聞き取れませんでした。でも仲間に猫耳族が居て。

他は人間・・・でしょうか、二人。

1人が竪琴を持ってたのは覚えてます。


「強くなるには強いやつと組め」は

じいちゃんが言ってたことと同じでしたので。

凄く説得力がありました。


少し桃色がかった、でもそれでいて白っぽい髪。

凄く綺麗で妖艶な女性でした。


「女性かよ!」と美香さん。

でもかっこいい!憧れるわぁと、それはもう

至福の顔で付け加えた。


まぁそんな感じで二刀流は私が知りうる限り

その人だけです。まぁでも赤の国とかには

沢山いるんでしょうね、あそこは武の国ですから。


話は戻します。

結論から言うと盾での攻撃は私が槍や斧使うよりも

火力が高いです。


この世には武器が12種類あります。


・・・それに盾は入っていません。


じゃあ、その勇樹さんが持っている

サバイバルナイフと言うもの。

カテゴリーが短剣でないならば、

私の盾と同様の事が起こるのではないでしょうか。


美香さんが横から質問する。

じゃあさ、包丁で戦うと?と。


多分、美香さんが、例えば槍で戦うよりも

効率よく敵を倒せると思います。


何故ならば武器と言うカテゴリーではないので。



私は目から鱗が出そうだった。


じゃあさ、包丁のさ、刃をすっごく長くすれば

私も剣っぽく戦えるのかなぁ。と、美香さん。


だって包丁だし。とも付け加えた。

いやいや、それは剣でしょう。と私。


私が包丁と思えば包丁なのよ、と美香さん。


私達は・・・

次の街サボルチで鍛冶師にちょっと長めの刃の

包丁を作ってもらい実験することとなった・・・。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る