第15話 対峙、そして・・・

サボルチの街に入り宿屋で部屋を押さえ

4人は武器鍛冶屋へ向かった。


店に入り、包丁を作ってほしいと言うと

「なめんじゃねえ!ここは武器屋だ」と

店主がお怒りになられたので

日用雑貨店へ向かった・・・。


「包丁を作ってほしいんだけど」と

美香さんが言うと、奥から

店主らしき人が現れ

「既製品じゃダメなの?」と言ってきた。


「でっかい魚を捌くのに長めの奴が

 欲しいのよ。80センチくらいの」

と美香さん。そう言うと同時に

金貨を3枚ほどカウンターに置いた。


店主は少し待ってほしいと言い奥に入り、

一時して職人と一緒に戻ってきた。


「詳しく聞かせてほしい」その職人さん。

美香さんは丁寧に作り方までお願いした。


勇樹君は「それ刀のつくり方じゃ・・・」

と言いかけたが止めた。そしてその職人が


「折り返し鍛錬は4回までならやる。それ以上は

 俺には無理だ。気力が持たんと思う。」


「焼き入れはしない。そんな行程ムリだ。


 でも研ぐのはしてやる」


「3日待ってくれ、後あんたが気に入ったら

 少し代金に色を付けてくれ。」


とまで言った。何気にやる気満々だった。

そして帰り道の居酒屋で食事をする。


今後の予定として包丁が出来上がるまで

冒険者ギルドで小銭稼ぎとクラスアップを

しようとなった。


勇樹さんと美香さんの身分証は

ランクAクラス2だった。


冒険者はまず

SS・S・A・B・C・Dのランクという大枠があり

その枠で今度は低い方から1~4段階のクラス。


ランクアップで一番手っ取り早いのは

ボス級の討伐である。

だからと言ってランクCの者がボス級に挑戦と

なると中々簡単にはいかない。


全員Cランクの仲良しグループならば

挑戦することも可能だが

2~3人のランクCパーティがボス級討伐募集

をしちゃうと、まず集まらない。

他の募集に入ろうとしても、必ず断られる。


そりゃそうだ、ランクCだし。

でもランクAとなれば集まる。

・・・クラスが3か4であれば。


なので細かい依頼を複数こなし、この街で

クラス4まで行こうという事になった。


そして、雑談などをし、

宴もたけなわだったが、このままだと二日酔いが

ひどくなるという理由でお開きにする事となった。


まぁお開きも何も・・・

4人とも同じ宿屋の同じ部屋だったが・・・。


そして翌朝、私が目覚めるとすでに

リアスと美香さんが居なかった。


「よい構えです。初めてとは思えません。

 そしてよい動きです。」

とリアスが言うと


棒っ切れを持った美香は

「ふふん、どれだけアニメを見、どれだけ漫画を見、

 そして、どれだけゲームをしたと思ってるのよ」

と言い返すと、リアスは


「なるほど過去のパーティにすごい剣士が居たのですね。

 そういった人の行動を見て覚えたのですか・・・。

 しかし、アニメさんとか、マンガさんという剣士は

 聞いたことないですね・・・。青の国の人ですか?」


とわけわかんないことを言った。


美香はアニメの主人公の動きの真似をしているだけだった。



お、ここに居たんですね、と私が声をかけると

二人は振り向き「特訓中」と真顔で言ってきた。


後ろから勇樹君が来て

「お、様になってるじゃん、黒の剣士様」と

ニヤニヤしながら美香さんに言った。


「ゼッケンといってほしいわ」と美香さんは

笑顔で返した。


4人で朝食を取り、冒険者ギルドへ向かった。

「どんなのがいいの?さっぱりわからない」と

美香さん。

「そんなことはないでしょう」とリアスさん。

「いえいえ」と美香さん。

「またまた」とリアス。


結局リアスが適当に見繕うという流れになった。

依頼書はほぼ魔獣の核集めで中級魔獣討伐だった。


そして依頼書開始。

洞窟ではなく、ちょっと深めの森林での戦い。

ある程度片付くと美香はタクトを引っ込め

落ちていた木の棒で構えを取る。


をい。何をする気だ、木だけに。と私。

沈黙が流れたが気にしない。慣れている。



魔獣と対峙する美香さん。


美香さんは木の棒で、魔獣を迎え撃つ。

彼女は左腕を顔の前に構え、顔をガードする。

そして右手で木剣を担ぐように持つ。


全員がかたずをのむ。


魔獣が美香さんの攻撃範囲に入る。

美香さんはすごい勢いで木の棒を振り下ろし、

魔獣の頭に当たる。


そして!・・・木の棒は折れた。


遣られたと思ったのか魔獣も止まっている。


沈黙が流れ、美香は木の棒を捨て、唯タクトを持ち

魔獣の眉間に「プスッ」と刺した。


魔獣は煙と共に灰になった。


「ま、こんなもんね」と赤面の美香さん。


しかしリアスは褒める。

「本当に美香さんは精霊使いなのですか?

 今の攻撃凄いですよ。

 木の棒なのに閃が見えました、折れたけど。」


勇樹君も

「もうアニメの主人公かよと思ったし、俺。

 折れたけど」と褒める。


そして私も

使える武器が一つじゃなかったら美香さんは

一流の剣士と言っても過言ではありません。

折れたけど。


と、言った途端、私だけ蹴られた。




そうこうして依頼を5件片付けギルドに戻り

報酬をもらう。

半日程度で完了したもんだから受付が驚く。

私達はそそくさとギルドを出た。


少し早いが居酒屋に行くこととした。

食事と飲み物を頼み、今日の事をガヤガヤと

話していたが、勇樹君だけ何か考え込み黙っていた。


しかし、ほどなく

「次の依頼の時にさ、俺も

 サバイバルナイフ使ってみようかな・・・」

とつぶやいた。











































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