第40話 クエスト
「いいのか?」と前置きをしてバーボン様は言う。
俺は今、青の国の人間じゃなく紫の国の人間だ。
それも元帥だ。他国の元帥を捕らえるんだ、覚悟は
あるんだろうな。
言っておくが俺たちは強いぞ?
「というかさ!」と続ける。
現皇女のルナティア様はどこにいるんだよ!
ルナティア様に用があってここに居るのにな!
早く出せや!もったいつけずに!この小物が。
小物と呼ばれた政務官長は
「ルナティア様は急な病で床に伏して居る」と。
「ほ~う。じゃあ見舞いに行ってやる。部屋はどこだ。
昔お前がルナティア様を軟禁していた部屋か!」
と・・・返す。
「軟禁だと!?ルナティア様は大切な御身だった!
お部屋におられるのが当たり前だろうに!」と・・・返す。
「よさぬか政務官長!」
「よさぬかバーボン!」
同時に二人の声がする。
「これは大変な失礼をいたしました。
この後、元帥には強く言っておきますので
なにとぞご容赦を」と勇樹君は拝礼。
「こちらこそ大変な失礼をした、詫びよう」と
マルチネ様。
「ところで」と切り出す勇樹君。
本当にルナティア様はご病気なのでしょうか。
であれば見舞いたいと思いますが、と続けた。
行方不明になっておる。昨日から。
場が騒然となった。
後ろに列席していた黄、赤の国の人たちもざわついている。
しかし動じていないものが2名いた。
「貴様が拉致監禁したのではないだろうな!バーボン!」
と、政務官長。
「てめえがルナを殺ったんじゃねえか!?ああ!?」
と、うちの元帥様。
あってます。えぇ、あってますとも。
政務官長が正しいです。はい。大正解です。
この屑がやりました・・・。しかし言えない。
だって!私も実行犯ですし!
だって口止めされてるんですもん!
もしこの事言ったら
ルナティア様の「おっぱい」をわしゃわしゃしてたって
大陸中に言いふらすって!いうんですもん!
わしゃわしゃしていないのに!もう!しとけばよかった!
私、人生最大の後悔!
「もしなにかお手伝いできることがあれば
何なりとお申し付けください。」と勇樹君。
しないでください・・・お手伝い。
「元帥、お前はルナティア様と親しいそうだな。
何か心当たりはないのか?」とも続ける。
「そうですねぇ、只闇雲に探すよりも考えられる事を
キチンと精査しましょうか」と屑・・いや、バーボン様。
「ふん!貴様らの手何ぞ借りんわ!」と政務官長。
「いい加減にしろと言ったよな?」と
超凄んで言っちゃったマルチネ様。
あらやだ、おほほほと、扇を片手に口元を隠す。
「バーボン、済まぬが手を貸してくれるな?」とも言う。
「もしお許しいただけるのであれば城の中を少々
見回ってもよろしいか?」とバーボン様が言うと
「許さなくても見回るのだろうに」とマルチネ様。
流石、ルナティア様の母上様、よくわかってらっしゃる。
「バーボンさん・・いや元帥。こほん。
私はな!こう見えて向こうの世界では推理物が
大好きだったんだ!そう!アニメに始まり
マンガ、小説すべてだ!」
俺も推理させてくれと、目を輝かせながら勇樹君。
「なんと、向こうの世界におったのか!
様々なことが終わったらゆっくり話そうではないか!」
と目を輝かせるマルチネ様。
「私も色々と考えてみよう。そうだな、
ルナティアを探し出したものには褒美をやる」
とも・・・言っちゃった。
そして大推理大会が始まる。
元皇女の名のもとにクエストが発動された瞬間。
クエスト名「皇女ルナティアを探せ」
もう何しに来たのかわかんなくなってしまった・・・。
既に列席していた他国の方々はいない。
アホらしくて帰ったのだろう・・・。2名を残して。
もう謁見の間に居るもの全てが「じっちゃん」の名前に
賭けていた!
そして全員があーだこーだと言い始める。
その時だった!クエスト開始から2分!
「見つかりました!ルナティア様ご存命です!」と
息を切らしながら走り込んできた兵士。
全員がその声の方を向く。
凄い形相で全員がその声の主を見る。
「あ、クエストは無しね、褒美も無し。」とマルチネ様。
凄くつまらなさそう・・・。
兵士は言う。
地下牢に監禁されておりました!
頭には、いや、額には殴打された跡がありました!
それに毒の匂いがしました!
なにかアルコールの様な!純度の高い謎の毒かと
思われます!
顔も毒に侵されているのか熱があるように赤みを帯びています!
今ベルジュラック様が手当てをすると言い、人払いをし
ルナティア様の部屋で治療に当たっております!
ベルジュラック様はその毒に「見識」があるらしく
すぐに解毒すると言っておられました!
バカなんじゃないか?こいつ。
という目で兵士を見ているバーボン様。
あかん、終わった。私、終わった・・・。
もうわしゃわしゃしとけばよかった・・・。まじで。
ベルジュラック様が治療しているとなれば安泰だ。
と全員安堵。・・・私とバーボン様以外。
と思ったら、バーボン様も何故か安堵。
言い直します。私以外、全員安堵。
少し時間がたち、
今ベルジュラック様から順調に回復出来ていると
報告がありました。
と入ってきた兵士。
もうみんなホッとした顔をしてそれぞれが
笑い合っていた。勿論私の父上も。
あれ?政務長官は少し苦虫をつぶしたような顔。
バーボン様は苦虫を4匹ほどつぶしたような顔。
なんで?
「もし回復したらなぜそのようなことになったかを
聞いてもよいな、はっはっは」と私の父上。
貴方は自分の息子を殺す気ですか・・・。
一時が立ち、また別の兵士が入ってきて
「ルナティア様が回復なされました。
まもなくこちらの間に参ります。
今回の件をご説明されるかと思われます」と言う。
コルンの頭の中に終了の鐘の音が鳴り響く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます